地震史料集テキストデータベース
[未校訂]乍恐以書付奉願上候
私酒造稼先年書上候通、正造米高三百拾石所持仕并去ル午
年大門町徳兵衛所持之正造米五百五拾石八斗之酒造稼譲
受、酒造商売仕罷在候所、去々丁未三月変災ニ而、酒造諸式
共焼失仕業躰相失難渋至極仕、漸去年中他借入金仕、手
狭成酒造普請仕候得共、諸道具等今以出来揃不申、多分
之品不足故、纔之酒造仕候得共、諸雑費而已相嵩、此躰
ニ而ハ金主方利揚之程も無覚束、商売向相続ニも相成兼可
申と誠心痛仕候、然ル所右徳兵衛方ゟ譲り請候正造米五
百五十石八斗之酒造稼、椚原宿中村六左衛門方ニ而譲り受
申度趣去冬中より内談在之候間、任其意譲り渡仕度奉存
候間何卒御鑑札御下ヶ渡被成下置、且譲り渡之儀 御許
容被成下置度奉願上候、左候得者、右譲り渡代金融通を
以先年ゟ所持仕居候正造米高ニ而、酒造相稼□ニも家名相
続仕度奉存候、前奉申上候通極々難渋ニ陥候時節柄 御
賢察被成下置、出格之以
御憐愍願之通 御聞済被成下置候ハヽ、莫太之御仁恵と
難有仕合ニ奉存候、以上
嘉永二年酉正月
西之門町
願人伊右衛門代小兵衛印
西町親類甚右衛門印
組合栗之助印
組頭文次郎印
御役所
前書奉願上候通、承届候処相違無御座候ニ付奥書印形仕
差上申候、以上
西町
庄屋銀兵衛印
一札之事
拙者儀、酒造商売相始度候処、
御免酒造米高無之差支候ニ付、貴殿江及御 示談御役所江
御願立、 御聴済之上者拙者宅ニ而造込并ニ売捌致し、元手
金之義者、拙者ゟ差出し、売徳之内当戌年金弐両弐分貴殿
江御渡し可申候、其余利潤之義者元手金利子并諸雑用とし
て拙者方へ引取可申候、
一貴殿御名前ヲ以、内借地借等一切致間敷、何事ニ不寄御
迷惑不相成様可仕候、
一室御役料之義者貴殿御名前ニ而拙者上納可仕候、其外酒
造ニ付従 御上様ゟ被 仰付候義者、是又相勤、諸入用
差出可申候、
一向年貴殿方ニ而右稼破成候歟、又者外方ヘ稼譲致し候歟、
其外御差支之義御座候ハヽ、御断次第酒造相止可申候、
其節ニ至り少茂異議申間敷候、
一明亥年相稼候ハヽ、売徳之内金三両弐分御渡し可申候、
残り利潤之義者前同断、
一明後子年引続相稼候ハヽ売徳之内金四両弐分御渡し可
申候、残り利潤之義者前同断、其後増減之義者御相談之
上取極可申候、
一貴殿江相渡候利潤金相定、其余如何程有之候とも、拙者
宅江引取候上者損益ニ不拘定之分者無相違差出可申候、
右之通対談規定致し候処相違無御座候、為後証仍如件、
嘉永三庚戌年八月
大門町中沢平作殿
西町定治郎印
組合死失藤兵衛代証人孝太郎印
証人幸吉印
乍恐以書付奉願上候
大門町平作儀去ル未年変災之節、酒造蔵初諸道具不残焼
失後普請出来兼、然ル処親類西町定治郎儀身寄之方ゟ引
請置候酒造道具少シ有之候ニ付、同人宅ニ而造込則為売捌
申度奉存候、尤室御役料之儀者是又同人ゟ上納可仕候何
卒出格之之（ママ）以
御憐愍願之通 御聴済被成下置候様偏ニ奉願上候、以上
嘉永三戌年八月
大門町
酒造稼人平作印
親類組合兼弥助印
西町売捌人定治郎印
親類組合兼合地死失藤兵衛殿代孝太郎印
組頭清吉印
御役所
前書奉願上候通、相違無御座候ニ付、承届奥書印形仕差上
候、以上
大門町
庄屋与三右衛門印
西町
庄屋銀兵衛印
九月十六日西條与五兵衛様ゟ御聞済之御沙汰有之、十八
日御受ニ廻勤為致候、
一金弐百疋 年様 一金弐百疋 中野様
一金百足 山極様 一金百疋 吉田様
一金五十疋 水科様 一金五十疋 西條様
一金五十疋 岩下様 一金五十疋 藤井様
一□百弐枚 □昌殿 一同壱枚 米倉様
一同弐枚 峯村殿 一同弐枚 田川殿
一同弐枚 徳武殿 一同弐枚 三俣殿
十二月十三日 西条与五兵衛様を以御願書仕、当年室役
籾上納之儀御免願之通御聞済被仰候、
乍恐以書付奉願上候
私共儀糀商売仕候処、大災後売方相減殊ニ近来在方ニ而、
数多蒸出町々雑売仕候ニ付猶更商売躰難渋仕候間、一昨
年御歎奉申上候処、格別以 御憐愍室役半減上納可仕旨
被仰付難有仕合奉存候、然ル所追々不陽気故、誠ニ聊宛商
売仕銘々取続兼候程之次第ニ而難渋仕候、奉恐入候御儀ニ
御座候得共、重々以 御憐愍室役五ヶ年之間半減御上納
仕、右ニ而 御聞済被成下置候様奉願候、幾重 御情之程
奉仰候、以上
嘉永六丑年十二月
糀商売願人惣代
西之門町伊兵衛
西町彦右衛門
御役所
乍恐以書付奉願上候
私共義酒造稼仕候処、大災後薄元手ニ而仕入方行届兼其上
近来他所入酒相増、商売躰難渋仕候間、一昨年中御願奉
申上候処、格別以 御憐愍室役半減上納可仕旨被 仰付
難有仕合奉存候、然処追々不陽気故誠聊宛商売仕リ、銘々
取続兼候程之次第ニ而難渋仕候、奉恐入候御義ニ御座候得
共重々以 御憐愍室役半減上納仕、右ニ而御聞済被成下置
候儀奉願上候、幾重 御情執成之程奉願候、以上
嘉永六丑年十二月
願人
東門町友八
西町定治郎
御役所 御□□
御役場