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項目 内容
ID J3000942
西暦(綱文)
(グレゴリオ暦)
1854/12/23
和暦 嘉永七年十一月四日
綱文 安政元年十一月四日・五日・七日(一八五四・一二・二三、二四、二六)〔関東~九州〕
書名 〔大王町史〕○三重県大王町史編さん委員会編H6・8・1 大王町発行
本文
[未校訂](注、中村伊十郎の「津波の始末記」(「新収」続補遺別
巻六七七頁)についてのべた。さらに喜田四郎兵
衛も『諸事手控』の中に次のように記している)
嘉永七年十一月四日、朝五ツ時迄天気西風にて晴天也。
五ツ後(午前九時ごろ)古来[稀成|まれなる]大地震、程なく大津
波は二、三度汐ゆご迄ひく、北浜より館瀬(世)古迄土手を越
す。是より南土手より二、三軒汐越す。南大道筋は寺
下迄残らず汐入り。これより南腰折、汐一面になる。
程なく浦は一度に波高し、[出張|でばり]、[宮後|みやじり]、[浦作|うらずくり]一統破損、
北の大道筋中頃でうち合い、南は館瀬(世)古中頃迄浜、浦一
同に入る也。其まま山に登る人は無難、宅に長居致す
人、又は二度め道具取に参る人は大難儀に相成候間、
以来も右に候節は心得第一也。
同五日暮六ツ(午後六時)頃大地震、汐浦畑一面へ上
ル事、此日は大坂表は大津波の由、それより十四日晩
五ツ(午後一〇時)前地震、十六日昼八ツ(午後二時)
後より大雨降、十八日夜八ツ(午前二時)後地震、二
十五日朝地震、同日東南風、此の内小地震数度これ有
り、
十一月四日より十二月十三日迄は山小屋住居仕候、十
三日より宅に居申候、諸道具等は暫く山に置申候
 伊十郎の「始末書」、四郎兵衛の「諸事手控」ともに津
波については「いち早く高き山へ避難することが心得第
一である」と記しているが、船越区の地形から考察すれ
ば今に通ずる言葉といえよう。
 波切村の地震津浪の記録は少なく、ただ『仙遊寺古過
去帳』の欄外記に次のように見える。
嘉永七年霜月四日、大地震引続キ津波、是ヲヨクヨク
知ルベシ、大地震ノアトハ津波アルモノト知ルベシ、
四日早天ヨリ好天気也。村中エホシモノ沢山イタシ処
ニ五ツ半時(午前九時)大地震引続キ大津波ニテ鰹船、
テント船、サッパ舟、チョロ舟取揃エ二百余モ破損流
失、其外櫓、網等数知レズ流失、大里浜ヨリ大波打入
リ、浜辺ノ家二十軒余打破レ、小保エモ打入リ、小池
エ打入リ、波当寺エモ少々打入ル、地震ニテ破レシ家
同様也。浦ノ田地破損多シ。
 波切村は津波の浸入口が狭く被害は最小限にくい止め
たようで、家屋の被害は二〇軒としているが、この時の
先島組大庄屋中村伊右衛門(船越村出身)が先島組各村
へ廻状をもって被害者への救済について触れている。
村継を以て申達候、然ば先達て御代官様御見分遊成さ
れ候流失家・[潰家|つぶれいえ]・流死・怪我人へ御救米を下され候。
則、左に
流失、潰家 十二軒 波切村 十六軒 船越村
二軒 片田村 百三十六軒和具村
四十四軒 越賀村 一軒 浜島村
〆二百十一軒
右は水難の場へ御救の為、沢手米一俵ツツ下され候。
流死人三十六人、怪我人十一人 和具村
流死人二人、怪我人五人 越賀村
流死人一人 波切村
流死人一人 船越村 流死人二人、怪我人一人 片田村
右流死人、怪我人へ御救沢手米二斗ツツ、一人前に下
され候。
右之通り仰出られ候御救米、流出潰家の儀は追て書申
仕、今般幸便村継の序を以申達すべく候、以上
十一月十七日 鳥羽詰 中村伊右衛門
波切村より浜島村迄、庄屋衆中
(志摩町越賀地下蔵文書)
 この記録が先島組各村の被害の実体を最も正確に把握
した文書のようである。これによれば、波切村・船越村・
名田村の被害記録は『嘉永七年寅十一月四日、大地震津
波荒痛控帳』が東京・国立史料館に所蔵されている。こ
の控帳は名田村から鳥羽藩庁へ出した被害人名簿である
が、概略は次のとおりである。
大痛屋 十五軒 大痛土蔵 五ヶ所
大痛納屋 十二軒 流失浜小屋 二軒
漁船破痛 五艘 流失[千代呂|ちよろ]舟 十三艘
流失漁網 六帖 流失櫓 十八挺
堤防破損 大井の浜 十七間
堤防破損 大野 四十間
極難渋者 四十一軒 二百七人
 名田村は村落への津波は堤防で食い止めたが大野、大
井の浜の田地が潮入田となり極難渋者が多く出ている。
 以上三カ村(波切・船越・名田)の地震津波記録から
みた村の実状であるが、この年は余震が翌年春ごろまで
続き、日本各地に大地震が頻発したため一一月二七日嘉
永から安政と改元した。このため、この年の地震のこと
を、後に安政の大地震というようになった。
出典 日本の歴史地震史料 拾遺 四ノ上
ページ 907
備考 本文欄に[未校訂]が付されているものは、史料集を高精度OCRで等でテキスト化した結果であり、研究者による校訂を経ていないテキストです。信頼性の低い史料や記述が含まれている場合があります。
都道府県 三重
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