[未校訂]地震
能生町には地すべりが多く発生する
が、地震についての災害の記録はまっ
たくない。地震があっても比較的規模が小さく被害が少
ないので記録されなかったものであろうか。
能生町を震源とする地震の記録は明治以降に一回だけ
ある。能生谷地震という。しかし、この地震も一か月後
に発生した柵口の地すべりが、あまりに被害が大きく、
被害の少ない地震の方が忘れられたようである。
昭和二十二年四月十四日二時三十一分ころ、能生谷を
震源とする上越地方一帯に、中震ないし強震程度のやや
大きい地震が発生した。震源地は名立町の東飛山と、能
生町の西飛山の中間ぐらいにある水見平山と推定され
た。崩・田麦平・須川・川詰が強震、筒石・能生・島道
が弱震、あとの能生谷の各地区は中震と記録されている。
被害は予想外に少なく、地割れがしたり、壁に亀裂がで
きたり、墓石が移動したり倒壊した程度で、家屋の倒壊
等の被害はなかったという。しかし、この地震が柵口地
すべり発生の直接原因と推測されている。