地震史料集テキストデータベース

[未校訂]○一同十一月五日七ツ半時頃古今未曾有之
大地震ニ而御城郭ヲ始御家中大破不少、市中崩家も少々は
有之、新田堤不残流候、尤暮六つ時頃津破（ママ）ニ而星弥兵衛門
前にし上而之処迄汐押上、北付ハ馬場下大松有之辺迄入汐
致、御馬屋黒門ゟ汐入信川浅太郎門前之辺へ入汐、市中は
新町口川汐アフレ新丁町市家はえより組屋敷之辺迄四尺も
汐上候由、誠以非常之大変、此事ニ候
右市中之者共追手下馬前へ御救小屋出来仕御救米等被下
置、竜光院にても仮屋ヲ建十五六日程も下山不致由、五日
後七日四つ時過又大地震ニ而是又破損不少、其後十二月二
日頃迄昼夜之内十五六度位つゝハ相止不申候、其後も一両
度震動ハ相止不申候事也
一同十二月八日右大変ニ付御破損場所も数々有ニ付左之通願
出候事
口上覚
今度未曾有之大地震ニ付、御城郭ヲ始其外御破損所広太
之儀候処、始御普請御取駢（カ）等莫大の御物入と奉恐察候、仍
之乍聊御普請場御雇入ニ相成候同百姓十五人役貨銭ヲ以成
上度願敷奉存候、至而些細之儀ニ而御為ニも相成候義ニも
無御座候得共、此等之趣御聞届も被成下候ハゝ、難有仕合
奉存候、此段不苦儀ニ御座候ハゝ、桑折左衛門殿迄被仰達
被下度奉頼候　巳上
月　日　桜田主水
桑折中務様
小島安左衛門様