地震史料集テキストデータベース

[未校訂]一今嘉永七申寅年十一年初五日夕七ツ七歩時頃大地震但七八
寸震リ位、此時急チ湯出止ミ、夫ヨリ宝永度旧例之通、道
後社中自力ヲ以温泉湧出迄両社并玉之石亦ハ一之湯ニおゐ
て、為御国恩之祈禱勤行致候事但玉の石前江三間ニ五間之
小屋掛致候事、且又同年十二月朔日神木杉苗
（中略）
一温泉湯気出始事左之通
安政二乙卯年二月二十二日温泉一ノ湯釜ヨリ湯気相見、釜
ノ内湯溜リ一尺五寸温気甚薄ク、冬日如朝井水且漸湯相
増、同廿三日一尺七寸二歩同廿四日一尺九寸八歩夫ゟ追々
増益之事、旧冬嘉永十一月ゟ翌安政夏四月迄凡一百五十余
日ヲ経テ同四月六日ヨリ如元之諸人入湯御免之事、同八日
予入湯ニ参見請候処、以前ヨリ湯口出方半分位にしてぬる
き方なるべし、其後通例ト成ル
右温泉一条大満説（ママ）目出度申納候也
一此度大地震ニ付当松山痛所之義は　御城山石垣少々御破
損、大林寺境内　御霊殿向御破損并ニ御家中屋敷三拾軒程
大破之内四軒倒レ、家町方かや町筋立橋口七分崩痛、其外
御城下之内一分五厘通破損痛所有之候、御領分内諸郡死人
は弐人在家痛所は伊予郡中通筋松前浜辺格別大破損、其余
何れも壱歩五厘痛位ト申風聞なり
一此度地震噂遠国取沙汰、京都無事、江戸松山震リ同様位之
由、大坂四歩通痛崩別而南川筋津浪橋落船破損数多有之
由、且東海道筋三河・遠江・駿河・伊豆・相模・安房の国
迄大地震津波出火等有之由、其余大概是ニ准ス
一諸国供々山方は震リ軽し痛少し、南諸（請カ）海岸有之国々は痛流
失強し
一右地震翌年中之事
正月中毎日昼夜四五度宛位纔不止
別して十八ノ夜八時[執分|とりわけ]大震リ有之候
二月十二日朝五時同廿三日七時大概の大震リ
三月八日頃より十四日頃迄毎日小震繁々
四月十六日夕刻より夜中七ケ度大地鳴り
同十七日朝五時迄大概大地震有之候
同廿二日道後湯社神木五百植
五月七日朝五時大概の大地震有之候
同十二日夜半頃より大響地鳴、朝方迄ニ三度
六月十七日夜八時大地鳴いたし候
○七月三日申ノ中刻、同五日九時半頃於江戸表ニ大概大地
震有之由申来候
八月十日小震地震、同十二日昼八時亦七時大鳴地震強
く、一応ハ家ヲ逃出者有之位也
九月八日夜八時頃地震、同九日夜大地鳴二度
同廿六日廿七日廿八日毎日小地震有之候
十月十日頃迄は毎日少々宛地震有之候