(外題)「仁王講表白」
(端裏書)「仁王講表白」
元禄十六年冬江戸再三出火過半焼失、殊更中冬下旬大地震、城内城外破損、諸大名屋敷并町屋焼失破損、絶言語、依之横死之人不少剰小田原津波漬民屋死者不知数、惣江戸四十里四方地震災患不一、依之洛中洛外寺社蒙 台命祈念、就中当山座主院家寺家各依、紹意祈請、寺家山上山下共於清滝宮拝殿、翼年自正月二日一七ケ日仁王講被修之并不動供五十座修行、仍此表白西往院賢隆法印草之、於山下被用之云々、一見之序書写訖九日巻数献上、所司代被請取之云々、
権少僧都社参記
注、本史料は、醍醐寺聖教のうちのひとつである。『特別展鎌倉災害史』の解説によると、「仁王講表白」は、「仁王般若経」を講じ読誦する法会に際し、その趣旨を仏前で読み上げ、仏法僧の三宝および大衆に告げた文章のことである。元禄十六年の江戸大火や元禄地震、小田原の津波などによる犠牲者のために、将軍の命をうけ、元禄十七年正月二日から「清滝宮拝殿」において十七日間仁王講修法を執行したことが記されている。