地震史料集テキストデータベース

[未校訂]五〇五　安政大地震の伝聞を記す（安政二）
香草上野屋文書「嘉永始続年代記」
十（安政二）月二日、江戸大地震并出火之次第、広島鍋屋より
写し来ル
一当月二日亥之刻大地震始り、夫より出火、是ハゆり崩
レ家より起与見へ、一口ハ丸之内姫路様上屋鋪、一口
ハ会津様上屋鋪、一口ハ松平下総守上屋鋪より丸之内
御西丸下御大名様上中屋敷不残、夫より愛宕中通り芝
辺不残、一口ハ松平紀伊守様上屋鋪ヨリ小川丁辺御大
名旗本御屋鋪一円、夫より池端下谷辺不残、新吉原猿
若町三芝居花川戸辺、浅草通り本所多ク、薬師辺深川
仲町近辺不残、一口ハ京橋五郎兵衛町南伝馬町弐町目、
竹川岸南八町堀築地辺、翌三日五ツ刻未火鎮り不申、
其余町家よりもえ出し候処、凡五拾ケ所計り、怪我人
数不知、諸侯様方御姫様方御立退之騒動ハ筆紙ニ難尽、
冨沢町辺人形町日本橋本町辺、地震別而はげしく、土蔵
人家過半崩レ、死人多シ、されとも火難ハ無御座のか
れ申候、惣而小屋敷町家寺院之崩レ、焼失数、不知由申
来候