[未校訂]地震
藩領内で発生した地震の記録を示したの
が表三―四七であるが、蒲刈島でその被
害の状況を記したものは少ない。
しかし、安政元年(一八五四)十一月四日に東海地方
で発生し、全国に被害を及ぼした大地震は蒲刈鳥にも及
んでおり、前述の「年代記薄」には、「当年十一月五日七
ッ時ニ大地振アリ、十二日迄少々宛ゆり」と、五日に大
地震に襲われ、余震が十二日まで続いたことが記されて
いる。更に続けて「其時清水之出見とまり、十五日ノ間
白水ニナリ、少々宛出タルアリ」とも記もており、蒲刈
島の銘水である向浦の本宮神社東下の湧き水「清水」が
白濁し、湧水量が減少したと、この地震の及ぼした影響
について伝えている。