地震史料集テキストデータベース
[未校訂]イ 御役所様
右口上書犬飼郡蔵様江藤内を以差出ス
去月廿四日夜大地震ニ付犀川筋山々抜出し水相湛、小市
舟渡ゟ水少も下り不申、今ニも抜山押切川中島一円満水ニ
可相成趣ニ付、誠ニ心配仕居候処、廿五日青木惣右衛門殿
并家内半之助方江被罷越候得共、斯大川水下り不申程
ニ而者大変之義ニ付、半之助并家内共松代御領清野村江一同
立退候、然ル処村方一同大騒動最寄〳〵江江（ママ）立退候、欽次
義者臨時御用筋も可有御座与奉存、七之助藤内与申もの初
メ相応之ものとも如何様之義ニ而も立退不申、夫々差図可
仕与決着仕屋敷大木江登り御用意仕、村中心付罷在候処、
廿七日ニ罷成候而者大半立退残少ニ罷在候、其内赤坂舟場江
松代ゟ御出役有之、川向江渡候義者不相成犀川山抜き筋江
人足ニ罷出候様厳重之申付故、逃去候ものも多分被追返、
既ニ甚七与申ものハ荷物等右場所ニ而被追落逃返り候程
ニ而、如何様之変事ニ可相成義哉与当惑仕居候所、稲荷山御
出役先ゟ急御用状ニ而無難之地江立退候方可然哉之趣被仰
下候ニ付、厚以
思召被仰下候御趣意ニ振（カ）候而者奉恐入候ニ付、当用之書類
持出し、猶又人足手訳（ママ）仕村中右御仁恵之趣再応相触候中、
最早追々日暮ニも及ひ、且又赤坂舟渡場渡候義も相成兼
候趣ニ付失前後罷在候処、松代御家老様犀口江御乗出しニ
付、道橋御懸り役鉢（カ）呂山清太夫様与申方当村役場江御越被
成加勢人足可成丈差出呉候様御頼ニ付、欽次義村中駈歩
行人足催促仕候得共、大半立退残居候ものハ足弱且老人
ニ而多勢差出し候義も難相成、漸三十四五人も右清太夫様
倶々差出候様手配仕同人江相頼候者、急難ニ而逃去候場ニ而
人足差出し候ニ付而者、只今村役所ニ而一先立退候間、右人
足差出候引替ニ当役用簞笥并私引纏候人別無遅刻舟場御
渡被下候様赤坂舟場御出役江御印鑑被下度、右相成兼候
ハヽ人足壱人も難差出廻り道致し立退可趣申述候処、御
承知被下印鑑被下候ニ付、猶又右之趣手（カ）別人足ニ而村中江
不洩様申触追々出立仕候処、役用簞笥人足外六十九人集
候間、村出口ニ差控又々再触出し候得共壱人も参り不申ニ
付、七ッ半時前出立清野村裏月夜平山与申所江同夜九ッ時
着仕候、然ル所火急之立退故夫喰等も一向用意不仕実々
及困窮当惑仕、無拠廿八日夜九ッ時出立
御救筋奉歎願候処、厚以
御憐愍此度御救小屋御普請被成下置、夫々罷出有難仕合
奉存候、右ニ付此上当村方江立戻ニ相成候得者一同大悦ニ者
御座候得共、村方人気不和合ニ而立戻候而も納方無御座、
手段ニ尽果落凋（カ）仕候ゟ外無御座候、斯大変ニ付御上様
ニ而も格別御心痛被成下置候時節、右様之義奉歎願候義も
重々奉恐入候得共、極御内々別帋ケ条之趣御憐察被成下、
以来村方大小共和合仕、御百姓相続仕候様御憐愍之程奉
願上候、数（カ）日夜心配仕失前後役向勤方も忘（ママ）脚仕、只々当
惑仕候斗ニ御座候得共、前広ニ乍恐以口上書荒増之処奉申
上候、余者御尋之節以口上可奉申上候、以上
未四月四日
御代官様
戸部村庄屋添役馬場欽次印
庄屋馬場喜右衛門印
同馬場半之助印
ロ 極御内々別紙
一組頭民次義、手前之家財穀物等迄親類小舟山村庄九郎
と申もの方江馬四五疋ニ而持運ひ、不残乍片付、村役所
役用書類等ニ者一切不構、焚火等不相成火之元別而入念
候様厳敷申触候をも不顧、村方水油屋之油持出し、大
釜ニ而大勢寄集りつけ揚致し候趣、且組頭重左衛門酒蔵
之酒を（ママ）を持出し、二ヶ所江釜を仕懸多人数過（カ）酒仕、且丗
日ニ者同人方ニ而餅を搗、昼夜理不尽之執斗致候上、虚説
申触し人気を犯し、廿八日夜四ッ時頃清野村迄罷越、
喜右衛門欽次重左衛門江過言申述居村江引取候始末、組
頭役相勤候詮も無御座哉ニ奉存候、
一組頭喜惣太義、廿七日夜私共一同月夜平江罷越候所、
追々多人数夫喰ニ差支困窮仕候ニも不構何方江歟立退
候、然ル所廿八日夜九ッ時急難御救願として上田表江罷
出候節、堂しま茶屋前ニ罷在候ニ付、急難之義如何共手
段無御座歎願ニ只今罷出候間、其元者早々登山一同江心
添致呉候様情々相頼候処、納得之旨乍申宿元江罷帰り
居一向不相構始末、是又組頭役相勤候詮も無御座哉ニ
奉存候、
一犀口出役藤左衛門忰大十義、廿八日両度月夜平山出張
先江罷越種々悪口等仕、其儘立退村方江立戻、右民次と
同様仕、半之助喜右衛門欽次共乱心仕候趣申触し、多
人数之人気を相犯し候趣ニ御座候、
一吉平七五郎義、廿七日七ッ時頃水押切候由ニ而隣村ゟ早
拍子木ニ而為知参り候ニ付、本文之通無拠役用書類持出
し、無拠只今村役所ニ而立退候間、火之元等入念相消一
先無難之地江立退可申旨人足手別而村方不残申触候所、
追々人集り右両人義も村役所迄罷越申述候者、乱心之
庄屋立退候姿恐敷、我等ハ跡々ニ而庄屋役ニ相成候様与
種々悪口申之候ニ付、稲荷山村御出役先ゟ御用状之趣
篤与申諭候処弥悪口相募り、七五郎義は帯刀致居既ニ刀
を抜かけ候ニ付、不得止事（カ）イタ江申聞、捕押可申与奉存
候所、斯而大変之場ニ而右様之小事ニ携り候而者大勢之も
の路頭ニ迷ひ候間、只管勘弁致し早々引纏立退呉候様
一同愁歎仕押止候ニ付其儘差置、夜九ッ時頃月夜平山江
立退安心仕候所、右七五郎跡々ゟ引続罷越、久兵衛と
申ものと種々悪口仕候得共、前丈之通勘弁仕居候得共
何分気遣ケ鋪奉存候間、亀次市三郎又四郎米吉与申も
の江内々申含心付居候所、夜七ッ時頃歟七五郎久兵衛
相騒仕抜身ニ而側ニ差置候鳶口之柄江切付候ニ付打驚存
意承糺度欽次罷越候所、組頭重左衛門并九左衛門其外
大勢押留候ニ付是又勘弁仕、組頭重左衛門并イタ両人差
添七五郎久兵衛義者其場を為立退申候、
一吉平義、廿八日夜立ニ而上田表江欽次罷出候趣及承り、
翌廿九日猶又小屋〳〵江罷越欽次乱心致し逃去候間、
一同早々帰村民次吉平之差図を受可申旨小屋〳〵江罷
越申触候ニ付、一同歎騒き途を失ひ多分帰宅仕候由、然
ル所丗日朝御出役様一同右山江罷越候処右之趣及承り、
誠ニ以心配仕候所、河内吉次様稲荷山御出役先ゟ被成
御越、急難眼前ニも相見ひ（え、カ）候間、一先無難之地江立退候
様、且御救小屋之義戸部村ニ残居候ものとも江申触候様
被仰付候ニ付、長百姓惣太并人足市三郎直様村方江為立
帰、軒別ニ厚
御憐恵之趣夫々申聞候所、吉平義申述候者、其様之差図
被致候御出役与我等罷越
懸合可申抔与悪口申之、私共居候近辺江者不罷越候得共、
遠手之小屋〳〵江又々罷越、大造ニ人気を犯し言語ニ絶
候始末ニ御座候、
前書之通ニ付、村方江立戻候而も中々納方無御座当惑之極
ニ奉存候、乍恐篤与御憐察被成下置、村方一同和融仕御百
姓相続仕候様御憐愍奉願上候事、
右四日八ッ時青木三八郎様御役所江藤内を以差上ル、
御取次犬飼郡蔵殿
ハ 以書付奉願上候
当廿四日夕五ッ半時ゟ大地震、夫ゟ廿九日明六ッ時迄震
通し、其上西山中岩倉山犀川江押出し、水内橋端山を押出
し、廿四日ゟ今廿九日迄犀川を〆切あやしきニ付、当村者
東山江小屋懸ニ而時送り致候得とも、此上静り候ても村所
江水一水も参り不申候得者、村方江帰る事も難出来、以御
上様御慈悲を一命御救被下度奉願上候、以上
四月廿九日 戸部村仙三郎
村御役所
右願書月夜平山江差遣ス
口上書
私共義御救小屋江罷出居数日御役人中御心配被成下、役
前者不及申一同忝仕合奉存候、然ル所昨夕松代御領岩野村
上原倉之助と申仁ゟ私江為見舞酒被差遣候所、斯而大変ニ
付御救小屋江罷出居候場ニ而酒給候訳無御座哉ニも奉存候
ニ付、弐斗各々様江差上候、幸ひ今日者御領分一同大祭休
日被仰付候ニ付、乍聊御披露被下候ハヽ本望之至奉存候、
以上
四月五日朝
秋和村
御役所
御小屋場ニ而馬場欽次
右江干たら三枚添差遣候処、四ッ半頃組頭壱人判頭和源
太庄兵衛村方惣代として礼来ル、
ニ 海野町高橋峻岱ゟ其村御助小屋江罷越候もの江施薬致
度旨、則御聞済候而、右薬次郎左衛門宅江相廻居候間、受
取ニ可被罷出候、此段申達候、以上
四月四日
追而紺屋町宮下弁覚、本文之ものとも江施療治致度旨是又
御聞届済候ニ付、右療治受度与申もの有之候ハヽ右之もの
方江可被申遣候、以上
別紙療治施薬之義、戸部村庄屋欽次江も心得之義可被申
達候、別段欽次江不申達候、以上
秋和村
庄屋中
宇川次郎左衛門
田中勘兵衛
右五日四ッ時頃組頭御小屋江持参致ス
ホ 乍恐以口上書奉申上候
昨四日夕方御小屋江村方ゟ着仕候ものゟ在所之様子追々
承り候所、大造ニ未タ鳴渡り一時も安堵不相成上、当村方
抔者呑水等無御座候隣村松代御領下布施ゟ貰水仕、漸少
しツヽ用ひ居候由ニ御座候、最初立退候節厄介ニ相成居候
御徒士頭清野村近藤紋九郎殿ゟ別帋之通書状着仕候ニ付
奉入御覧候、右ニ付篤与勘弁仕見候所、松代様御見込之通
抜山を乗越定水ニ落下り候得者、差当水之愁ひ者無御座哉
ニ奉存候得共、用水堰押潰候得者容易ニ水引候様ニ者相成間
敷、無程苗代水ニも相成差懸り籾子落し不仕候得者、当秋
毛開作も六ヶ鋪奉存候、且御見定之通抜山ゟ定水ニ下り
懸候ハヽ、打驚兎ニ角逃出し可申歟、其節千曲川渡寺尾赤
坂矢代三ヶ所江多人数追々相重、我先ニ与逃去候義故渡舟
相成間敷、粗風説承り候者弥大変与相成候節者渡綱を切、
水主も逃去候趣、左候得者水下りあし（ママ）め（はじめの意カ）
昼ニ而も混雑可仕、万一夜分只今水下り初候趣承り候
ハヽ、聢与仕候義も不見極中火急ニ逃散可申、其節者右三
ヶ所舟渡ニ而如何程之混雑出可申哉も難斗、斯大川今日迄
水下り不申上次第〳〵ニ増水可仕、弥下り初候ハヽ如何
様之大岩ニ而も押返し可申、数日心配仕居候老人小児とも
者途を失ひ死人怪我人も出来可申歟、乍去便（カ）々
御救小屋ニ多人数罷在、大造之奉蒙御救居候而者御時節柄
実以重々奉恐入候得共、前文之趣故急々帰村仕候而も無
覚束、人命者何品ニも難替与者決心仕居候得共、数日無心御
小屋ニ罷在候義も奉恐入如何可仕哉与当惑仕候、且又村方
ニ立戻居候老人之類ひ江右之趣申諭度奉存候得共、兼而御
内々奉申上候仕合故此義も相成不申歎敷次第ニ奉存候、
何れ共私義者乍恐御上様之御差図奉待居候外無御座与決
心仕罷在候、依之存意之所乍恐以口上書奉申上候、以上
未四月五日
犬飼郡蔵様
浅井源治様
細田十兵衛様
御小屋場ニ而馬場欽次
右口上書亀次を以八ッ時頃郡蔵様江差出ス
ヘ 乍恐以口上書奉申上候
昨五日八ッ時頃私決心奉申上候趣、同役喜右衛門江も篤与
申談事候所、同意仕候ニ付、則口上書奉差上候所、七ッ時
過喜右衛門忰嘉十郎御小屋場ニ而何歟親子ニ而及内談、私江
申聞候者、村方も不締ニ付直様帰村致度旨申之候ニ付、私
申述候者、着御届も奉申上候上外人と違ひ役前之義ニ候得
者其筋江御届被申上帰村被致可然趣申之候所、一刻も猶予
不相成早々帰村仕度御届ニ不及旨ニ而振切、同人役簞笥壱
幸助与申ものニ為持、嘉十郎一同早々出立仕候、其跡ニ而昨
夜迄着当イタ相除五拾弐人之内喜右衛門外八人帰村仕度
旨申出候ニ付、施薬御救筋等之義且昨日奉申上候水下り
之趣壱人別ニ情々申諭候得共、一先帰村仕度旨頻ニ申出候
ニ付、押止候ニも相成兼候間任其意帰村為仕候、右様之義
ニ付私罷出夫々奉申上度奉存候得共、役用書類も気遣ケ
敷、且ハ御小屋場暫も罷出候而者相残之ものとも存意も難
斗奉存候ニ付、乍恐此段以口上書奉申上候、以上
未四月六日犬飼郡蔵様
浅井源次様
細田十兵衛様
御小屋場ニ而馬場欽次
右六日朝林太殿ニ為見、七之助を以細田様江差出ス、
ト 口上書
只今私支配下ゟ出張候上田横丁油屋勝右衛門方ゟ、為見
舞酒少々并するめうと五わ致至来候、然ル所御救小屋ニ而
右様之品給へ候趣意無之候間、数日御厄介ニ相成候ニ付、
乍聊致進入候間宜御執斗可被下候、以上
四月五日夕 馬場欽次
御救小屋懸り
御人足中
チ 四月六日
一疵薬五わ
但、壱わ拾貼入
右之通被下置難有受納仕候、追而御礼ニ罷出可申候、且其
筋江も早速御届可仕候、以上
四月六日 戸部村庄屋馬場欽次印
山崎勝兵衛様
リ 乍恐以口上書奉申上候
御高五石八斗六升一合
家内五人 戸部村年三十八七之助
御高四石八斗一升家内十三人 年五十四市郎右衛門兄藤内
御高三石一斗五升家内五人 助次忰年二十三亀次
御高八石六斗一升四合家内六人 友弥忰年二十八又四郎
御高壱石四斗
家内四人 小兵衛忰年二十九米吉
御高弐斗五升
家内四人 年四十九助八
去月廿七日七ッ時頃水押切候趣、隣村ゟ早拍子木ニ而為知
参候ニ付、村役所立退候候旨触為知候所、右之もの共即刻
駈付欽次心添仕、役用書類等持出、夫々荷拵人足手配等
世話仕候上、火之元入念其外之義等村中不洩様触歩行右
用簞笥警固仕、親妻子共江ハ人頼仕、夫々申含松代辺親類
共方江為立退、私一同同夜清野裏山江立退、昼夜とも不厭
寝食小屋夫喰手当ハ不申及、其外申諭等差図ニ随ひ、弥御
救小屋江罷越、在所親妻子之方江は便毎ニ安否を為知万端
差図ニ随ひ、役用書類等心付罷在候躰、誠ニ貞実之もの共
ニ御座候、一躰村方立退候節者民次喜惣太義者未残居外役
人共者離散仕居合不申ニ付奉困入、民次喜惣太方江申遣候
所、喜惣太義者同意仕候得共、民次義者不承知ニ而殊之外立
腹仕、村役所之庭江罷越大勢罷在候処ニ而申聞候者、弥立退
候ハヽ居家江火をかけ立退可申旨再応申聞候得共、火之
元入念致候様厳敷申触候時節故居宅江火も被掛不申、無
拠六十九人同道仕立退候義ニ御座候、斯大変之場ニ而私江
心添致居候ものニ御座候処、此上私身分如何様成行候も
難斗奉存候ニ付、前広ニ乍恐右之段以口上書奉申上置候、
以上
未四月七日九ッ時 馬場欽次
御三人様
右口上書細田十兵衛様江九ッ過差出ス
一四月七日七ッ時頃瀧沢半右衛門殿并中島林太殿宇野弥
学様江被呼出、御代官御手代御立会之処ニ而思召被仰聞
候ニ付、右御両人御小屋江御出委細被申聞候付、欽次存
意之趣申出候処、同夕直様申立ニ相成、五ッ時頃又々右
御両人御出今日御存意之趣申上候処、水之手定り候迄
無心置御小屋ニ罷在候様被仰付候旨申聞有之、
ヌ 乍恐口上覚
押流し候村々
一 三水村 一 今泉村 一 氷熊村
一 水内平村 一 上条村 一 新町村
一 吉原村 一 穂苅村 一 下市場村
一 大原村 一 飛那村 一 和田村
一 河口村 一 遠野村 一 井附村
一 牧島村 一 飯縄山
〆十七ヶ村
右之通昨九日夕方迄ニ虚空蔵山大崩上迄流村仕候趣ニ御
座候、尤一昨八日秋和村御小屋出立三人見届ニ差遣候所、
水きわ迄罷越篤与見定、今暮六ッ時頃爰元迄罷帰り注進
仕候ニ付、乍恐此段奉申上候、以上
未四月十日 御三人様
御小屋場ニ而馬場欽次
右十一日未明藤内を以郡蔵様江差出ス
四月十三日七ッ時犀川湛候場所一時ニ押払、川中島一円
及満水候見定、鶴吉民次夜明七ッ時両人御小屋場江注進ニ
罷越ス、右ニ付
矢代宿十三日夜四ッ時出立市三郎一同夜七ッ半頃同断注
進ニ罷越ス、
右注進ニ付西条山迄矢代筋江水見届ニ作次多作遣ス、地蔵
峠江吉五郎三太郎、
右注進ニ付欽次御小屋場ゟ初テ上田表江注進ニ罷越ス、犬
飼郡蔵様江罷出罷（ママ）出、明六ッ時前委細申上候処、喜惣太義
も稲荷山村御出役先ゟ御用状持参、是又罷越居候、
乍恐以口上書奉申上候
此度喜祖五郎首縊仕候得共、犀口水口之義今晩も難斗、
一番之湛ひ（えカ）水中ニ罷成、弐番之大崩中程ニ穴明水もり、昨
十二日ゟ猶上ゟも水のり、三番之崩ニ而溜居候所、土ニ而と
まり有之候間、一度ニ切可申与奉存ニ付、村ニ残居候ものも
今晩者立退候趣ニ付、御検使様可有御座心痛仕候、何卒水
口相定候迄御日延奉願上度、乍恐此段以口上書奉願上候、
以上
四月十三日
御奉行様
戸部村組頭儀右衛門
〃喜惣太
〃重左衛門
〃民次
庄屋馬場喜右衛門
乍恐以書付御届奉申上候
戸部村喜祖五郎
右之もの去月廿四日夜大地震ニ付居家潰し、漸引出気を
打罷在候所、乱心仕候哉当月十二日首縊、女房驚早束引
下し灸治薬養等仕候得共、養生不叶相果申候段、私共方
迄申出候ニ付、乍恐此段以口上書奉申上候、以上
未四月十三日
御奉行様
右五人
右届書十三日重左衛門内々御小屋江立寄為見直様郡蔵様
江差出候所、其筋江被仰立、夕方御沙汰有之候者、仮埋被
仰付追而御沙汰可有之旨被仰渡候由、夜五ッ時頃重左衛
門御小屋江罷越泊り、
一十四日川中島水見届として被仰付山崎勝兵衛様上下弐
人御出役被成候、
一十五日五ッ過御状左之通り
戸部村役人江得御意度義有之候間、此差帋参着次第犬
飼郡蔵宅江罷越候様可被申付候、此段申達候、以上
四月十四日 宇川次郎左衛門
田中勘兵衛
秋和村
庄屋中
急用
村継
右ニ付亀次犬飼様江罷越候処、被仰聞候者、戸部村ニ残之も
の木之上又者居家之上ニ居候もの共、壱人ツヽも助度思召
被仰出候間、役人之内壱人其外御小屋之人足早々差遣、
右之趣申聞召連罷出候様欽次可申聞旨被仰付候ニ付、此
之段林太殿江申談事御合印御ちゝみかり受まとい共相
渡、四ッ半時御小屋場出立ニ而、
組頭代藤内
人足市三郎
又四郎
民吉
半十郎
右五人戸部村江向ケ差遣ス
乍恐口上書
此度満水ニ付、戸部村ニ罷在難渋仕罷在候もの共為御救、
御小屋場ゟ差遣候様今朝被仰付候ニ付
組頭代として藤内
人足市三郎
又四郎
民吉
半十郎
右之もの共江厚思召之趣申聞、只今出立為仕候ニ付、乍恐
右之段御届奉申上候、以上
未四月十五日
御小屋場ニ而馬場欽次
犬飼郡蔵様
右亀次を以差出ス
十六日四ッ半頃五人罷帰り申届
百三拾九軒 在宅
弐十一軒 御小屋場其外□致候分
残七拾五軒 壱人も不居申候
右之趣同日八ッ時犬飼様江届出ス
ル 乍恐以口上書奉申上候
去月廿四日夜大地震ニ而山々抜崩、犀川筋数日水下り不
申、斯大川堰止罷在候義故、万一押切候ハヽ如何様之満
水可仕も難斗与水難を恐罷在候所、十三日夕方崩山押切
川中島一円押流し、居家并物置等数多押流、溺死も御座候
由、且当村分地江も右様之類ひ流来居候趣ニ御座候、右ニ
付抜山筋湛之場所迄水見定として追々差遣候所、多分減
水仕、此上大造之水押も無御座様子ニ付、此度御救小屋ニ
罷在候人別之内老人婦人之類ひ別帋名前帳之通并役人代
として藤内残置、其外之ものとも同道仕、私義者一先帰村
仕、夫々取調早々
御注進奉申上度奉存候ニ付、乍恐右之段以口上書御届奉
申上候、以上
未四月十七日
御小屋場ニ而馬場欽次
御代官様
右四ッ半時頃犬飼様江差上候所、いづれ七ッ時過ニ罷出候
様被仰聞候、右ニ付夕方罷出候処、御聞届之旨御達しニ付、
夫々仕度上田御小屋場夜九ッ時頃出立人数二十五人、イタ十人
同
道、
盗賊方定役 上羽長太夫殿
同手付 宮下広吉殿
六川浪弥殿
池田民弥殿
右御同道十八日朝五ッ時過戸部村江着、直様人足千代太
郎を以、本町并組頭衆四人長百姓四人江只今欽次帰宅致候
間及断候旨申達ス、秋和村帰宅見届として組頭中島桃太
郎殿同道御出、入宅之場を被見届直様帰村被致候、
一十九日朝判頭不残呼出し、高橋峻岱ゟ之施薬一軒ニ壱
貼ツヽ相渡、十六日夕法蔵寺江寄合之趣承ル、又流家財
共此方ニ而差図致候迄決而手を付申間敷旨、満水ニ付溺
死怪我人有之哉、組合限り相糺し早速申出候様、
一追々夫喰差支難渋致候もの者、無余義場合ニ付名前申出
差図受、御小屋場江罷出候様申聞ル、
右之趣喜右衛門殿立会ニ而一人別ニ申渡ス、
以口上書奉歎願候
此度大地震満水ニ付失前後罷在、御立退之後御場所江今日
迄御伺も不申上、猶又村方見廻り取締等等閑ニ仕申訳無
御座候、何卒御上様江御執成申上被下候様一同奉願上候、
以上
未四月十八日
長百姓惣太印
〃茂右衛門印
〃伝兵衛印
〃勝之助印
馬場欽次殿
御郡奉行三村伝左衛門様
御帳元小川忠左衛門様
御勘定河内清一様
御手代浅井源次様
右十九日七ッ時頃割番惣右衛門殿同道中氷鉋ゟ御越、本
町江御立寄、案内儀右衛門惣太床之上水何尺、又者水上り
不申場無之哉之旨申出候様被仰付候趣ニ付、喜右衛門伝
兵衛取調ニ罷出、夫ゟ御出役岡田江御引取、
一十九日昼ゟ欽次勝之助七之助召連、村方一軒別ニ流物
早々改、夫ゟ北組通三ッ又あら沢辺迄流家其外早々相
改、廿日昼ゟ欽次儀右衛門勝之助七之助同道、三ッ又
ゟ藤五郎裏江出、夫ゟ中沢沖東福寺境イタ向江出、流物
相改、
乍恐以口上書奉申上候
去ル十三日川中島一円水押ニ罷成候、然ル所当村ニ而六軒
不水入、相残之義者床之上一尺五六寸ゟ場所ニゟ弐尺迄水
入ニ罷成申候、右御尋ニ付乍恐此段以口上書奉申上候、以
上
未四月十九日
御奉行様
戸部村庄屋馬場喜右衛門
右本町見分取調差上候控
一廿日夕ゟ郷御囲蔵夜番人足両人ツヽ申付ル、例之通油
□り渡ス
ヲ一 廿日夜四ッ時頃新蔵御小屋場ゟ罷帰ル、林太殿ゟ書
状左之通り
以飛札奉申上候、先達而御帰り被成候ゟ万端奉推察候、然
者今日青木様御役所江藤内殿同道罷出候様被 仰付候ニ付
罷出候所、被 仰聞者早水難之義も無之候得者一先帰村可
然、戸部村之義者外村々ゟ水難之愁も少き由、且鑓水之義
も井戸ゟ出水致差支も無之様ニ候得者、御時節柄御救頂戴
致罷在候も如何ニ候得者一先早々致帰村、猶難行立義も有
之候ハヽ其筋を以可願出段被 仰聞、藤内殿ニも御受申
上、一先明朝出立一同御帰り相成申候、右之段 御尊公
様江申上候所、一同帰村可然様御相談相整候間、此段御承
知可被下候、取急故乱筆御免可被下候、以上
卯月廿日
戸部村御庄屋馬場欽次様
秋和村庄屋中島林太
御用筋
前略
委細林太様ゟ被 仰越候通之義ニ御座候得者無拠御受仕、
夫ゟ御同姓様江御内談申上候所、何れニも被仰付候趣ニ執
斗可然与被 仰付候間、一同引纏明日出立候間、左様御承
知被下候、若又思召も御座候ハヽ此手紙届次第早々飛脚
御遣し可被下候、以上
廿日 藤内
馬場欽次様
ワ 口達
満水ニ付当村分地江流来候品々、古材木多ク共猥ニ拾取申
間敷候、兼而申達置候通り組合限致穿鑿不正之義無之様
可致候、
一流家者勿論其外之品々共此度夫々相改置候間、心当り
之主有之候ハヽ可被申出候、早速相渡可申候、
附、数多之義故品書差出不申候、
右之趣篤与相心得可被申候、以上
未四月廿日 戸部村役所
廿日朝右之板札畑中本町荒町大沢車屋脇東之町中村平
井、北組江二ヶ所境井藤五郎前江建ル、
手前門前江同断
一
一
二ヵ条前文之通り
一郷御蔵并村内者不及申、銘々分地江流来居候居家物置ニ
至迄度々見廻り火之元入念夜番相勤可被申候、尤等閑
之義無之様判頭ゟ組合限り心付可被申候、
右之趣篤与相心得、不正之義無之様急度執斗可被申候、万
一心得違之もの有之候ハヽ其筋江可申立候、以上
未四月廿日 戸部村役所
カ 御蔵番札江小札左之通
口達
満水ニ付田水堰押潰し候得者当秋毛開作無覚束致心配候、
右ニ付而者弥以 御囲蔵大切ニ候間当番之もの無怠相勤可
被申候、尤例之通順番無犯名前申出油受取ニ可被罷出候、
以上
未四月廿日
村田七郎次殿
初当番中
ヨ 本町井戸者左江
口達
大地震并満水ニ付当秋毛開作無覚束致心配候右ニ付而者夫
喰ニ相成候品者銘々相囲、可成丈 御厄介ニ不相成様心懸
可被申候、
一極難ニ付差当致困窮候もの者無遠慮判頭江可被申出候、
如何様ニも執斗取続之差図可致候、
一井戸端ニおゐて口論等致し申間敷候、
右之趣末々迄篤与相心得可被申候、以上
四月廿日
村役所
乍恐以書付御届奉申上候
戸部村年四十才池田丹蔵
右之もの昨年中ゟ上気之様子ニ相見ひ（え、カ）候処、去月廿四日
大地震故歟乱心仕候ニ付、家内ニ而昼夜心付居候処、当月
十二日七ッ時頃脇差ニ而臍之下を横ニ切候段、家内打驚取
支親類打寄、医師小森沢村元俊を相頼疵口を為縫服薬等
仕候処、翌十三日死去仕候、然ル所犀川筋水押参り候矢先
故、無拠菩提所法蔵寺江仮埋仕候旨右親類組合共ゟ此度
私共方迄申出候ニ付、乍恐右之段御届奉申上候、以上
未四月廿一日
戸部村組頭儀右衛門
〃喜惣太
〃重左衛門
〃民次
庄屋添役馬場欽次
庄屋馬場喜右衛門
〃馬場半之助
御役所様
右欽次廿三日持参、役所江差上ル
タ 乍恐口上書を以奉申上候
一当村分地田地水押荒地等、昨廿一日迄大方之所夫々見
分仕候所、七分通程水押入、当夏大小麦等半毛程ニも可
有御座、田水堰双方ゟ土手押潰し、川筋ゟ居家并物置崩
れ等所々ニ押入居候、
一犀川用水揚ケ口見分仕候処、大石土砂押崩れ河原ニ相
成、容易ニ水引入候様ニ者相成申間敷、迚も当秋開作出
来兼候様子、差当り呑水無御座困（カ）窮仕居候村方大造ニ
御座候、当村之義者本町組与申所井戸壱御座候、是江少々
ツヽ水出候ニ付、村中順番ニ而壱荷ツヽ漸汲上ケ当節取
凌罷在候、
一郷御蔵并居家六軒水入不申、其外床之上江弐尺程ゟ壱尺
余も水押入、穀物等迄余程痛申候、
一流家并流死人壱人も無御座候
一去月廿四日地震ニ而潰候居家
喜祖五郎
伴五郎
彦左衛門
角左衛門
与市
半潰武兵衛
〃法蔵寺
本堂
伊勢師
旅家
皆潰酒蔵源八
市郎右衛門
同物置政次
小次郎
与三郎
四五七郎
六左衛門
重左衛門
七郎次
久左衛門
〆八軒
常泉寺
衆寮（カ）
右之外居家并物置痛候分不数知
惣右衛門女房年三十八
一死人
亀二郎忰熊蔵年二十三
右両人廿四日善光寺江参詣ニ罷越、同夜同所ニ泊り罷在、
被押潰焼死仕死骸骨ニ相成、此間中引取申候旨此度申
出候、
一昨廿二日虚空蔵山抜大湛之場際迄罷越篤与見定候所、
二ノ湛不残押切、一ノ大湛当節水口凡五六十間程も可
有御座、夫ゟ瀧ニ相成水下り申候、岩倉孫瀬之もの共居
合候ニ付様子承り候処、未タ次第々ニ崩山川はた江追々
ニ崩れ、今一度大地震御座候歟又者大雨降候ハヽ一度ニ
川中江押出し可申趣申之、右近村之もの共者有旅と申村
江追々逃去申候、
一山抜土砂下ニ相成候家数
藤倉村七軒、死人二十一人程
岩倉村五十軒、死人七十人程
馬十三疋
桜井村三拾弐軒、死人十一人
馬四疋
入有旅村死人七人
〆凡死人百九人、馬十七疋、怪我人不数知由、岩倉村
之ものゟ承り申候、
右之通此度夫々見分并承り込ミ始末大方之所取調候付、乍
恐此段以口上書奉申上候、以上
未四月廿二日 馬場欽次
御代官様
右青木三八郎様御役所江廿三日四ッ時差出ス右之通夫々
取調、廿三日藤内同道欽次上田出勤
一廿四日四ッ時上田御出立、丹蔵喜祖五郎御検使として
御徒士目付篠崎次郎兵衛様
森喜市様
御手代小山飛伝八様
浅井源次様
御物書小林鈼（カ）蔵様
上下八人御出役四月廿九日夕方中氷鉋村江御越被成候
戸部村縊死人中氷鉋村流死人、今日為検使御徒士目付并
小山飛伝八浅井源次出役致候間、各方之内可被罷出候、
并両村江其旨可被申達候、以上
四月廿四日 犬飼郡蔵
浅井源次
細田十兵衛
川中島
割番中
飛脚
御別帋之通被 仰付候間、此段御承知可被成候、以上
四月廿四日 割番
中戸（カ）右村々庄屋中
追而御別帋共留村ゟ官左衛門方へ御戻可被成候、
レ 乍恐以口上書奉願上候
此度満水ニ付村々用水揚口江大石土砂夥敷押出し、水門者
勿論堰筋一円ニ河原与相成当惑仕罷在候、然ル所一昨廿二
日松代ゟ道橋懸御役人中右場所江御出役有之、村々犀口
出役長百姓壱人ツヽ并重立百姓両三人ツヽ罷出候様被
仰越候ニ付、則右之もの共差遣候処、大石土砂取片付堰筋
相立候間、明後廿四日ゟ 日々人足差出候様被 仰付候
所、用水懸村々一同之義故無拠及び御受帰至仕、右之趣
申聞候ニ付申談仕候所、村方小堰等大造ニ崩れ是を自普請
仕候も中々容易之人足ニ而者難相成其上地震水押ニ而居宅
其外等大半痛、差当り住居も難出来、且穀物等江水付候義
故、早速夫々手入不仕候得者夫喰無御座一同困窮仕居候
場合故、日々人足ニ罷出居候而者右様之義も手後れニ罷成、
当夏毛取入も難相成難渋仕候、迚も右揚口自普請ニ者容易
ニ不相成哉ニも奉存候間、誠ニ奉恐入候得共御国役御普請
奉願上度奉存候、尤松代ゟ其御懸り御出役御普請被仰付
候義故、定而御見込者可有御座候得共、山抜押流し候義故
犀川敷大造ニ高く相成、前文奉申上候通大石押出し候得
共、迚も当秋毛開作ニ相成候様水引候ニ者難相成哉ニ奉存
候間、夏毛取入且者夫喰等之手入仕、可成丈取凌格別之御
厄介ニ不相成候様仕度奉存候ニ付、乍恐右之段以口上書奉
願上候、
未四月廿四日
戸部村組頭四人
庄屋三人
御代官様
右廿四日八ッ時細田様江差出候処、七ッ時罷出候様被仰
付候ニ付罷出候所、右口上書 三村伝左衛門殿、大平多喜
次殿 岡田江出役有之候間、右先江早々差出候様被仰付候
ニ付、七ッ時飛脚を以宿へ差遣ス、同夜直様組頭喜惣太儀
右衛門両人岡田村御出張江差出候所、万石以上国役普請
之義兼而被仰付置候間不相成旨ニ而口上書御下ケニ相成
ル、
乍恐以書付奉願上候
弘化元辰年迄非常御囲籾積立候分
一籾弐百五拾八表四斗七升八合
但五斗入
内九十表 巳秋違作ニ付極難之もの共江午五月奉願上拝借仕候分
残百六十八表四斗七升八合
右之通非常御囲籾去午五月御願申上候ニ付、御預ケ被
仰付置候所、此度大変ニ而極難之もの且又穀物等水付ふけ
難渋仕候もの共御座候ニ付、前書御預表数之内籾百表今
般拝借仕夫々為取凌申度奉存候、尤小割之義者割渡次第
帳面ニ仕、銘々印形取之可奉差上候間、何卒格別之以 御
憐憫右願之通拝借被 仰付被下置候ハヽ難有仕合奉存
候、以上
弘化四年
未四月廿五日
戸部村組頭四人
庄屋三人
御奉行様
右廿五日細田様江差上候処、岡田村御出役江願出候様被仰
付候、右ニ付廿六日上田ゟ帰村□七郎左衛門方江右願書差
上候処、いづれ明日出役之上可差図旨三村様ゟ被仰渡候
ニ付帰宅致ス、
ソ 其村御囲籾拝借致度段願書被差出候所、其表 御奉行
御出役先江願出候様御差図ニ付、今朝申達候、右ニ付昨日
被差出候願書差戻申候、并其村方穀物払底之所他江売払候
様子ニ付、有穀改之義相願度段被申出候、且又其表御奉行
御出役先江可被願出候、此段申達候、以上
四月廿六日 犬飼郡蔵
浅井源次
細田十兵衛
戸部村庄屋中
飛脚
右廿六日夜五ッ半頃飛脚参泊り
一廿六日四ッ時頃七五郎宅ニ而御召捕ニ相成、池田民弥殿
手疵被負候、
一廿七日八ッ時三村伝左衛門様御上下五人ニ御出被仰
渡、左之通り
一拝借籾之義ハ拝借ニ不及不残被下置候、并桑畑趣意麦迄
被下置候間ま（カ）じ以取凌かせ候様被仰付候、白米ニ致手
充之義ハ勝手次第、直安ニ売候義ハ趣意不宜候間、御取
用ニ不相成旨、
一犀口人足之義壱人前弐百文ツヽ被下置候間、其旨役人
相心得情々人足差出候様被仰付候、尤賃金之義者惣右
衛門江凡相渡候間、組合村之義ニ侯間申談候様被 仰付
候、
一村方人気相和け可成丈納方相付候様被 仰付候、
一当五月七月上納、追而御沙汰可有之迄御取延し被 仰
付候間、此をも役人相心得可申旨被 仰聞候、
一流家并諸品夫々取調差出候趣、右上水 村々江以役人
夫々及断問合せ取片付候様、
一御囲蔵御封印之義、手代差遣候間封印切候様被仰付候、
夫ゟ御酒被召上七ッ時過中氷鉋江御越、途中天神宮ニ而
御手代宇川次郎左衛門様上原広治様ニ御逢被成、村中
水付何尺泥入何尺与夫々御見分、右取調帳明夕方迄ニ岡
田村江差遣候様被仰渡、夫ゟ御囲籾蔵御封印御切被下
候、
一廿七日七ッ時頃役人喜右衛門欽次儀右衛門惣太、居合
候判頭藤右衛門七之助亀次庭江御呼出し、他所江穀差出
候義心付候様可致旨村方判頭惣代江右御両人ゟ被仰渡
候、
右御両人ゟ御下書
一惣家数何百何十軒
内 何百軒 床上水付泥入分
何百軒 床下水付之分
何軒 無難之分
右之通相違無御座候、以上
月日
戸部村三役人
宇川次郎左衛門殿
上原広治殿
尤当村之義ハ流家者無御座候得共、床上迄水付泥入ニ相成
候得共格別之義ハ無御座、夫々手入等仕候得者往々住居
等之差支ニ者相成不申候、乍去御田地等之義ハ場所ゟ変地
者可有御座奉存候、依之一札差上申候、如件
一同夜三役人寄合判頭一同呼寄、左之通り申渡ス、
一地震并満水ニ付荒地等有之、一同難渋も可致、右ニ付当
五月七月御上納御取延被成下候、
一用水路堀割人足明日ゟ順番ニ而相遣ひ（ママ）候間無差支罷出
出情可仕、尤才料此方ゟ壱人ツヽ出役一同差遣候間、
右差図を受急度相勤可申、尤銘々為ニも可有之候得共、
差当夫喰等も有之間敷難渋可致候間、壱人前弐百文
ツヽ弁当代弐百文ツヽ差出可申、尤其日々札相渡候間、
札与引替ニ相渡可申候、
一有穀御地領江差出不申、可成丈相囲非常之用意可致、万
一心得違ニ而他所江差出候趣相聞候ニおゐてハ急度可申
立候、尤当節取凌難渋ニ候ハ、判頭ゟ早々可被申出、幾
重ニも手段為取凌可申候、
一流家財田畑江押流し置作物ニ押懸候分ハ、地主〳〵ニ而
夫々取片付差障ニ不相成場所江積立置、たれ持分ニ而た
れ始末致候与申義立札ニ致置可申、尤居宅江持運置候分
ハ明日夕方迄ニ表江差出、是又立札致置可申、此上隠置
内江持運候様之義承り込候得者急度可申立候間、情々心
得違無之様可被致候、
一御囲蔵并村方夜番等閑ニ候間、兼而日割相達置候通無怠
相勤可申、役人時々見廻り可申、斯水無之時節万一火
事等有之候而ハ一同難渋ニ可有之候間、銘々之身ニ引受
聊無怠相勤候様、
一誰組居家江床之上江何尺、床下江何尺水入泥入何程与申
義、明四ッ時迄組合中取調判頭ゟ書付差出候様、
右之趣組限不洩様今夜中可申聞旨申渡ス、
一廿八日朝長百姓惣太を以
今里村四ッ屋村中島村小松原村江申入候者、此度太
変
ニ付当村分地江諸品流来り居候処、多分之義故難見分、
夫々立札致置候間、心当り之ものハ罷越品物引請候様
村方江被申聞度旨及断、いつれ之役元ニ而も御深切之段
忝旨受致候ニ付、九ッ時過同人罷帰ル、
廿八日七半時 御朱印
御勘定直井倉之助様
御普請役小林大次郎様
明廿九日当村御通行ニ付、人馬差出候様被 仰付、此段喜
惣太を以岡田村御出役先江御届申上候所、当村江御出役被
成居候
小山飛伝八様
浅井源次様
右御両人江御馳走御勤被成候様三村様被 仰渡ニ付、其旨
申上ル、
御証文
御用書物長持壱棹
地震ニ付道筋悪敷候付、持参不被致候間可被得其意
候、
右者直井倉之助義越後信濃国村々地震ニ付堤川除其外破
損之場所見分仕立御用ニ付、明十日江戸表出立、其筋被致
通行候条書面之人馬差出之、無遅滞可被継送候、且渡川
之場所者前後申合無差支様可被執斗候、休泊之所ニ而者宿
一軒用意、上下六人賄之積所有合せ之品を以一汁一菜手
軽ニ可被相賄候、此先触早々順達自留可被相返候、以（ママ））上
四月九日
直井倉之助内平井錠蔵印
宿村々
問屋名主中
馬三疋従江戸越後国迄上下并彼之地ニおゐて御用中幾度
も可出之、是者地震ニ付堤川除其外破損所見分仕立御用ニ
付、御普請役小林大二郎佐藤睦三郎佐藤友次郎罷越ニ付而
相渡之もの也、
弘化四未四月 伊勢印
御証文馬三疋之内
一馬一疋
此人足弐人ニ代ル、明荷壱ッ
右者越後信濃国村々地震ニ付破損之場所見分仕立為御用
罷越候間、得其意書面之人馬差出荷物無滞継送可申、且
人馬継立泊割之義者別帋帳面之通り相心得差支無之様可
被執斗候、此先触早々順達旅泊宿村着上可被相返候、以
上
四月十五日御普請役小林大次郎
越後、信濃
国
村々役人中
追而継立方払立人馬等之義者別帋帳面江申達候間、其旨相
心得可申候、以上
覚
一人足弐人 但し、明荷壱
外壱人物持
右者当国地震之場所見分為御用其表通行罷越候条書面之
人足差出荷物継送可申候、尤御証文馬可差出筈之所村々
難渋之折柄ニ付、相対賃銭相払候間受取可申候、依之別帋
廻村順帳相添差遣候条得其意、此先触順達留村ニおゐて
着之砌可相返候、以上
四月
御普請役佐藤睦三郎印
廻村先々
役人中
追而廻村先々之内道筋川押返水溜之有之場所者前村ゟ申
達越人足出候様可申達候、
一泊り村々ニ而時節柄ニ付賄等之義格別相省、香之物斗ニ而
飯之用意可有之候、以上
御朱印御証文写添遣条可得其意候、以上
未四月
直井倉之助
人足弐人馬弐疋、従江戸越後信濃国迄上下并於彼ノ地御
用中幾重も可出之、是者地震ニ付堤川除其外破損之場所見
分仕立為御用直井倉之助被差遣付而被下之もの也、
弘化四年四月九日
直井倉之助持参之御用書物長持壱棹、従江戸越後信濃口
迄上下并於彼地御用中幾重度も急度可持参もの也、
未四月 伊勢印
追而人馬継立休泊等之義ハ別帋帳面之通可被相心得候、
以上
覚
御朱印
一人足弐人
馬弐疋
内壱疋人足弐人ニ代
賃人足三人
馬壱疋
〆人足七人
内
御朱印 （壱人 具足壱人 両掛
馬代り 四人 駕篭
賃人足 壱人 合羽籠
高土手境迄欽次儀右衛門惣太伝兵衛罷越露払、右三人羽
織股引、欽次羽織一刀、手札
松平伊賀守領分
更級郡戸部村庄屋
欽次
右手札御用人差出夫ゟ御案内、本町藤右衛門脇ニ小山浅
井御両人御出張ニ付、領主ゟ為御馳走役人罷出居候旨申
上ル、夫ゟ宅江御入中之上（カ）り、かわ畳あげ置候相間、薄べ
り敷置候処、夫江床机ニ御懸り、品々御尋有之、御茶差上
候処御用人ゟ格別世話ニ相成候旨ニ而、のし 茶代拾疋
被下、夫ゟ人足継立久保寺村迄御越被成候、銀次義者堂野
北原村境ニ而御暇申上ル、久保寺村迄喜惣太伝兵衛亀次御
先脚（ママ）、
人足弐拾五人
覚
一人足弐人 従戸部村久保寺村迄道法凡壱り半
此賃銭百四拾八文
右之通雇賃銭被下、今慥奉受取候、以上
未四月廿九日戸部村庄屋半之助印
小林大二郎様
覚
一人足七人 従戸部村久保寺村迄道程一里半程
一かへ尻一疋
右賃銭四百九十五文
右之通雇人足馬賃銭被下、今慥奉受取候、以上
四月廿九日
戸部村庄屋半之助印
直井倉之助様
御用人中様
ツ 乍恐以書付御注進奉申上候
一籾七表 但五斗入
一餅白米 三斗程
一小豆 五斗
〆三品
右之通当村政次物置江去月廿七日夜何もの歟忍入、右之
品紛失仕候段申出候、
一白布 弐反
一紺染布 弐反
一割玉たばこ 二十玉 但百匁玉
一干いか 七わ
一玉子数 九十程
一鰹ふし 二十本 目方九百匁程
但凡壱〆目銀廿八匁位
〆
右者当村平兵衛小間物店江何もの歟忍入紛失仕候、尤水難
を恐れ家内之もの山江逃去居候留守之義故、日限聢相訳
不申旨申出候、
一白米壱表 但五斗
一玄米五表 同断
一金六両 但壱歩銀
〆三品
右者欽次居宅江何もの歟忍入紛失仕候、水難恐れ秋和村小
屋江罷出居候留守ニ付、日限聢相訳不申候、
右之通紛失仕候段申出候ニ付、乍恐此段御注進奉申上候、
以上
弘化四年未五月
御奉行様
右村組頭四人
庄屋三人
右五月六日夕差出ス、
ネ 乍恐以口書（ママ）上奉伺候
地震并満水ニ付難渋仕候もの共御座候ニ付、非常 御囲籾
拝借仕度段奉願上候処、願之通拝借被 仰付難有仕合奉
存候、然ル所籾ニ而一表半表ツヽ相渡候而者、自ら心弛み給
増も可仕、殊ニ当村之義者氷鉋今里ゟ水難も薄く御座候ニ
付、私共厄介ニ者御座候得共、籾白米ニ拵人別相改、日々
壱人前三合ツヽ之積りを相渡申度、尤犀川用水堰口此間
中ゟ日々普請御座候ニ付、一昨四日見分ニ罷越様子見聞仕
候処、迚も当夏稲植付ニ相成候様水引候義無覚束、左候得
者弥以一同夫喰ニ差支困窮可仕、近在者勿論松代善光寺辺
も穀類払底ニ而当村ゟ態々買ニ参り無心申入候而も、当節
直段白米壱升壱合ニ而百文限り余分ニ者売不申、必至と差
支候旨申出候ニ付而者、右御囲籾白米ニ仕、壱升五六合ニ直
安ニ仕、村方難渋之もの江前書割合之通相渡申度、左候へ
者往々一同凌方為ニも相成可申歟、勿論去月廿八日ゟ用水
堰普請人足壱人ニ弐百文御手当被下置候義故代料ニ者差困
申間敷、殊ニ追々大麦取入も仕候得者、如何様共世話仕可
成丈御厄介ニ不相成様為取凌申度奉存候ニ付、乍恐此段以
口上書奉伺候、以上
未五月六日
御三人様
戸部村庄屋三人
右口上書七日夕方御下ケ書ニ相成、売候義者不相成、致白
米三合積人別相改渡候義ハ勝手次第之旨
犬飼様ゟ被 仰渡候、
（注、空巣盗難の件、省略）
乍恐以口上書奉願上候
例之通当月御積立御会合ニ付、当村懸金取集上納可仕候
所、大変ニ付一同難渋仕罷在候故、当御会（合、欠カ）懸金之義者別段
私共拝借奉願上、御会合御差支ニ不罷成様上納仕度奉願
上候、当村之義者中氷鉋今里ゟ水災も薄く御座候ニ付、幾
重ニも取集上納可仕候所、格別之以御憐慰両月御上納金
御取延も被成下置、厚御仁恵之程一同難有奉存居候場合
ニ付、穏ニ相成候迄取集方延引仕度奉存候、御時節柄重々
奉恐察候得共、当御会（ママ）懸金私共江拝借被仰付被下置候様
奉願上候、以上
未五月
戸部村組頭四人
犬飼郡蔵様
庄屋三人
右口上書九日林部氏江持参申談候所、直様其村ゟ上田江差
上候様差図ニ付、十一日ニ上田江差出ス、
此度地震水押等ニ而変地之場所猶又御入用左之通り、
一犀川筋大堰三筋間数長凡何り何丁之見積りニ而記差出
候事、
但、竿打縄張等ニ而聢与致候ニ不及、大方之見積ニ而宜
事、
一小堰之分大凡何筋程と認候事、
一岡田其外共山抜或ハ欠崩候場所、是又大積何程何丁等
之事、
押出し之川筋大われ何程の事、其外大変地之場所有之
候ハヽ取調之事、
一井水押埋水出不申分并其時分泥ニ相成不用立分村ニ何ツ
と申義、
右極急御入用ニ付大積ニ而宜敷大方認メ、来ル十一日迄ニ
可被差出候、其段取急申達候、以上
五月八日
引受四人
川中島
割番中
（注、空巣被害の件、省略）
先頃被申出候用水堰堀割懸人足賃銭之内相渡候間、都合
次第当出役先江受取ニ可被罷出候此段申達候、以上
五月十二日 大熊安右衛門
今里村
戸部村
庄屋方
当村用水本名戸部堰凡間数書上
一松代御領犀川水揚大口ゟ荒沢堰村境落尻迄
凡三千七百七十三間程
一同水口ゟ字平沢堰村境落尻迄
凡三千百八十間程
一同水口ゟ字大沢堰村境落尻迄
凡三千百九十間程
一同水口ゟ字宮堰村境落尻迄
凡弐千七百弐十間程
〆壱万弐千八百六十三間程
右四堰之義者当村方用水大堰筋ニ御座候所、地震并水押ニ而
双方土手幅所々押崩し、堰之中江土砂押入申候、
一荒沢堰筋ゟ引入候田水小堰
字薬師堂堰 壱筋
町裏堰 弐筋
町堰 壱筋
八幡堰 壱筋
横まくり堰 一筋
新分堰 一筋
宮沢堰 一筋
〆八堰
一大沢堰筋ゟ引入候田水小堰
字樋沢堰 一筋
同南堰 一筋
分豆堰 一筋
中沢堰 一筋
能せ田堰 一筋
同南堰 一筋
八乙女堰 一筋
花立堰 一筋
坪之内堰 一筋
高柳堰 一筋
川上沢堰 一筋
柳之内堰 一筋
新道沢堰 一筋
臼樋堰 一筋 〆十四筋
一宮堰筋ゟ引入候田水小堰
しつ田堰 壱筋
〆田水小堰弐拾三筋
右小堰之義者当村分地ニ而用ひ候田水堰ニ御座候所、地震并
水押ニ而大半堰砂入ニ相成申候、
此度御尋ニ付右之通大方見積仕、乍恐以書（ママ）奉申上候、以上
弘化四年未五月
御代官様
戸部村組頭四人
庄屋三人
右者惣太甚七早朝ゟ間数為相改、前書之通相認差出ス、
乍恐口上書
犀口堰筋普請人足之義、此間中御内伺奉申上候通、松代
御出役ゟ日々人足多少之改厳重ニ御座候ニ付、無拠多勢差
出候所、御手当金弐十五両昨日迄不残出金仕差当り当惑
仕候、何卒此度金拾両御下渡被成下置候様奉願上候、尤
兼而被 仰付置候通人数并賃銭渡方等委細帳面ニ仕立、
追々取調可奉差上候間、前書奉願上候金子御下渡被下置
候様乍恐奉願上候、以上
五月十一日
御役所様
戸部村庄屋三人
右犬飼様江啓作を以差上ル、
覚
一佐藤友次郎様
御先触壱通
右之通慥ニ受取申候、以上
五月十一日夜
川田村問屋又右衛門殿
戸部村庄屋馬場半之助印
覚
一人足弐人
右者山平林村地内山崩之場所見分として明十二日朝五ッ
時小布施村出立、其筋罷越候条得其意書面之人足差出、
荷物無遅滞継立渡舟御越等之場所者前後申合差支無之様
可被執斗候、此触書早々順達留村ニ而可相返候、以上
五月十一日
御普請役佐藤友次郎印
福島宿
川田宿
継立 岡崎□□
戸部村
小松原村
泊り 安庭村
右村々
役人中
右之触六ッ時川田ゟ人足弐人ニ而持参、直様小松原へ達ス、
翌日夫々用意致、欽次広田境迄御出迎致候得共、此筋御
通行御延引、
（注、徳川民部卿御逝去の件、省略）
覚
一 金拾両也
右者当村用水堰筋御普請人足御手当金御下渡被成下、慥
受取拝借仕候所相違無御座候、為念奉受取書奉差上候、
以上
未五月十二日
大熊安右衛門様
戸部村庄屋馬場欽次印
上田表ゟ御手当米其村々江追々可相廻候間、其旨可被相
心得候、尤通帳江受取印形被致、右付送り候もの江可被相
渡候、此段申達候、以上
五月十三日 上原広次
岡田村印
今里村印
中氷鉋村印
戸部村印
右村々庄屋中
追而早々廻達可被致候、以上
川中島戸部村三吉後家
喜祖五郎
伴五郎
角左衛門
与市
右之もの共三月廿四日地震之節居家震潰候ニ付、為御手
当米米壱表ツヽ被下置候、
同村水呑藤左衛門
右之もの前同断ニ付、為御手当米半表被下候、右夫々為御
手当被下候、
未五月
右十五日七ッ時御着
御代官青木三八郎様
上下三人
御手代
上原広治様
夫々御呼出被 仰渡候、
同夜下堰筋俄ニ水引入ニ付こ□も〳〵流材木等堰々江大造
ニ流来、殊ニゟ満水も可致趣ニ付、高（カ）張ニ而諸方防ニ罷出ル、
御代官様も火事装束ニ而夫々御見廻し、夜明七ッ時頃御引
取、今夜格別相働候人足共江酒代として金弐百疋御目録
被下候、
右ニ付判頭惣代
三升 あら町組 甚七
三升 本町組 藤右衛門
三升 平井組 村田市左衛門
五升 畑中組 青木久五郎
三升 東之町組 六左衛門
五升 北組 名助
〆弐斗五升
右之もの呼出し御代官ゟ御酒配分、右弐斗五升ニ而米（カ）八ゟ
代弐歩也、
一五月廿二日ゟ廿四日迄村中安全五穀成就として二夜三
日於明神祈禱致ス、神主江酒三升散米三升初尾弐朱遣ス、
組々行司呼寄廿四日一同為遊候様且二夜三日之間献灯
可致旨申聞ル、廿四日終日ニ付
役人重左衛門惣太茂右衛門宮江罷越、組々行司弐
人是又罷出ル、
当日組々江神酒弐斗六升渡ス、
内 五升 畑中組
三升 平井組
三升 本町組
三升 荒町組
三升 東□町組
三升 大沢組
五升 北組
〆
先刻者御世話ニ相成忝存候、然者明日下堰筋御公役御見分
有之由承候ニ付、御沙汰ニ而も有之哉中氷鉋村ゟ申出候所、
爰元江者御沙汰者無之候得共、中氷鉋村与被申談執斗可被
申越、此段申入候、以上
五月廿一日
戸部村馬場欽次殿
岡田村出役先大熊安右衛門
御積立御無尽之廻し金之内七百五十両拝借願致し、願之
通御聞届ニ者無之候得共、明十八日村々庄屋中御壱人ツヽ
御出勤被成候様被 仰付候間、此段御承知可被成候、尤
明十八日夕八軒町江着御届被成、伺之上十九日表御会所江
為受取御出可被成候、此段得御意候、以上
五月十七日 割番
中戸岡稲
右村々庄屋中
追而廻文留り村ゟ官左衛門方へ御返し可被成候、以上
一公辺御役人方明廿二日正六ッ時丹波島村御出立、下堰
筋庚（ママ）申待居ゟ下続御見分ニ付、村々役人同刻前同断江罷
出御案内可致候、尤外村々之義者差懸りニ付別段可申達
候、刻限遅刻有之間敷候、
五月廿一日出之御触書ニ御座候処、当村江者只今着致し候
間、右御触面之義ハ御懸り
久保孫左衛門様ニ候間、左様御承知可被成候、以上
五月廿二日朝五ッ半時頃
上布施村役元
戸部村
御役人中
右御触ニ付喜右衛門欽次重左衛門
先払為助
源八
下堰御待居上ニ罷出、手札差上ル、
御勘定直井倉之助様
同松村忠四郎様
同吟味下役柴田隼太郎様
御普請役佐藤友次郎様
同小林大次郎様
待居堰筋幅敷長間数御改、待居分口ゟ小森沢表荒沢分口
迄御改、三ッ又定之助前ニ欽次源八伴五郎前ニ喜右衛門重
左衛門手札差上ル、小原境ニ而御暇申上、九ッ時栄助方ニ而
御小休、岡田村江御越湯沢河原御見分有之、其夜丹波島江
御引取、岡田村川原御見分ニ付為御馳走
上田ゟ御郡奉行三村伝左衛門様
御勘定奉行山田吉右衛門様
川除方永田瀬平様
〃大熊安右衛門様
手代古松安兵衛様
郷手代犬飼郡蔵様
上原広次様
御牽馬
右御出役丹波島江御伺之上、岡田村清水六郎右衛門殿御
泊り、廿三日猶又御公儀様方御見分御泊り御本陣、
筑地 文十郎春吉方
其村々用水掛り犀口堀割間数之義ニ付相尋度義有之候
間、右控帳持参、明廿四日未明ニ当村出役先江無間違庄屋
并出役戸部村彦左衛門中氷鉋村角左衛門罷出候様可有之
候、急御用之義ニ付間違等有之候而者不相済候間、成丈夜
之内ニも可被罷出候、此段申達候、以上
五月廿三日
岡田村出役先ゟ大熊安右衛門
永田瀬平
中氷鉋村戸部村庄屋江
右ニ付廿四日未明出役同道岡田江罷越、夫ゟ大熊様御同道
丹波島小松屋江罷越止宿、箇所付帳取調御公儀様江差出ス、
ナ一 五月廿四日稲苗融通之義奉願上候（ママ）候所、夕方六駄上
田ゟ着、右ニ付
手前門前平井（ママ）審屋北村番屋井戸はた四ヶ所江建札左之
通相認建ル、
口達
用水堰押埋一同及当惑候処、人足中出情ニ付田水引入ニ相
成候、然ル所苗払底、存分ニ植付相成兼候趣ニ付、其段奉
歎願候所、御領分中村々江苗融通之義被 仰付候故今日
迄追々着荷致し候、右ニ付而者一はいニ植付候様致度、兼而
申談候通り当秋量込之義者難斗候得共、判頭ゟ組合限り
呉々も被致世話、可成丈銘々余分ニ植付有之候様致度、苗
之義ハ幾重ニも御差送被成下置候旨被 仰聞候間、一同
難有奉存心強く出情植付可被致候、
但、本文之通申達候ニ付而者、村中植付無滞相済候上ハ苗
大切ニ取扱、聊たり共猥之義無之様可致事、
右之趣一統篤与致勘弁心得違無之様可被致候、以上
未五月廿四日
戸部村役所
其村々用水堰御願ニ付、箇所付帳之外ニ村高反別潰家流失
家死人其外明細取調差出候様、御普請役ゟ被仰付候間、
認帳之義者後刻相渡可申候間、此手紙届次第岡田村庄屋
宅迄罷越可被申候、此段申達候、以上
五月十五日
岡田村出役先永田瀬平
中氷鉋村戸部村庄屋方
早々廻達可有之候、以上
差上申一札之事
一米壱表 但三斗八升入 角左衛門
一同壱表 同 与市
一同壱表 同 伴五郎
一同壱表 同 三吉後家しゆう
一同壱表 同 喜祖五郎後家りやう
一同半表 壱斗八升 彦左衛門
右者三月廿四日夜大地震ニ付、私共居家押潰候ニ付御注進
被成候所、今般
御出役之上為御手当前書之通被下置、難有仕合奉存候、
依之一札差上申所、依如件
弘化四未五月廿六日
戸部村角左衛門印
右組合春吉印
右組合藤左衛門印
伴五郎印
右組合小楚（カ）三郎印
三吉後（家、欠カ）
しやう
右組合助次印
喜祖五郎後家
右組合惣吉印
彦左衛門
右組合兼善右衛門印
村御役所
廿六日中氷鉋ゟ米参りニ付直様相渡、右之通印形有之、
川中島
右村々之内往還道崩之箇所并間数取調、且倒木抜木等何
本と申義書出候事、
中氷鉋村
右犀川用水堰其村田地かゝり居候間数取調書出候事、
岡田村
右同断、犀川揚口ゟ其村分地流来他村境迄之間数取調書
出候事、底樋四ヶ所間数并右之内用水底樋幾ッ悪水底樋
幾ツ、但両様ニ用候ハヽ其訳取調書出候事、右村地震ニ而
変地之場并水押ニ相成候場所田畑高荒増取調書出候事、
右書面之通夫々早々取調来ル、廿九日昼九ッ時迄無間違
差出可被申候、右取急御入用之ニ（ママ）有之候間、其心得ニ而可
被執斗候、此段申達候、以上
五月廿六日五ッ時出ス
御別帋之通被 仰付候間、夫々取調御別帋御日限無間違
御役所江御差出可被成候、此段得御意候、以上
五月廿六日昼七ッ時出ス 割番
中戸岡稲
庄屋中
追而御差急ニ付呉々も御日限無間違御差出可被成候、此添
書村下ニ割付を以早々御順達留ゟ官左衛門方江御戻可被
成候、以上
乍恐以書付奉申上候
地震并水押ニ付、往還筋道崩箇所付并間数取調、且倒木抜
木等有無奉書上候様被 仰付候ニ付、村方相糺し候処、倒
木抜木等一本も無御座候、
北国往還善光寺道
今里村分地境ゟ御分知上氷鉋村境迄当村分地境迄当村分
地
一道長凡五十八間程
右地震ニ而震崩候上、満水ニ付道敷押流し変地仕候、
一当村往来道之義所々押崩通路悪敷場所等所々御座候、
右御尋ニ付乍恐以口上書奉申上候、以上
未五月廿九日
犬飼郡蔵様
上原広治様
細田十兵衛様
戸部村庄屋三人
右廿九日明ヶ六ッ時出立、市三郎を以差出ス、
○三ッ又道筋伴五郎前はし詰ゟ定之助北之はし詰迄相改
候処、当時有間数六十三間四尺有之候得共、往古如何之
訳カ五十八間与段々書上ケ候ニ付、此度も矢張五十八間与
書上ル、左ニ相心得候事、
乍恐以書付御届奉申上候
当村田方稲作植付之義、地震并水押ニ而用水堰押埋、且田
方土砂入等ニ罷成候上、苗払底迷惑仕罷在候所、厚以
御憐愍大造ニ苗御融通御差送り被成下置候ニ付、銘々難有
奉存人気引立植付出情仕候故、去月廿四日ゟ相始昨朔日
迄ニ村中不残植付相済、一統難有仕合ニ奉存候、依之苗受
払取調帳相添、乍恐右之段御届奉申上候、以上
弘化四年未六月二日
御奉行様
戸部村 組頭庄屋
右二日亀次を以届出ス、
犀口下堰此度堀割人足調書上帳之義ニ付、此触届次第右
調書持参、丹波島村止宿迄可被罷出候、以上
六月六日 久保孫左衛門印
戸部村犀口
出役中
右ニ付藤左衛門直様丹波島江差遣シ、取調帳差上ル、
乍恐以口上書
松代御徒士頭在住
清野村近藤紋九郎殿
同分家小頭役近藤要左衛門殿
右三月廿七日水災を恐れ役用書類持参、半之助欽次外七
十人余引纏、同夜清野村江立退候処、途地不案内殊ニ夜分
之義誠ニ当惑仕、無拠紋九郎殿宅江立寄、前書当惑之趣申
述、いづれ之山江成共案内相頼候所、同人持分月夜平山与
申所江右両人自身ニ而案内致呉候所、火急之立退故夫喰ニ
差支及困窮候節度々焚出し、昼夜共両人ニ而度々右山江被
罷越為見舞酒五升味噌一桶持参、万事深切ニ取扱呉候、且
同日丗日夜堤綱兵衛様初御先手様御上下十四人月夜平山
江御着之所、俄ニ大風雨ニ相成山江居候義難相成、無拠右紋
九郎殿宅江半之助欽次倶々引取候所江、稲荷山御出役先ゟ
河内吉二様御越被成候節、大勢江酒并昼飯等差出シ、誠ニ
深切ニ取扱呉候、然ル所夕方雨止候ニ付山江御引取、御一
同朔日夜秋和村江着仕候、
但、右厄介ニ相成候義ハ堤綱兵衛様古松安兵衛様河内吉
次様御存し被遊候事、
同給人御祐筆在住
同村間庭儀右衛門殿
右同月廿八日朝為見舞酒五升外ニ肴少々持参ニ而被罷越、
病気与相見ひ（え、カ）杖ニ而自身度々山江被罷越、四月一日引取之
節迄深切ニ取扱ヒ呉候、
同給人御勘定在住
同村春日儀左衛門殿
右同断引取之節迄度々夫喰焚出し、半之助家内其外村方
婦人小児共大勢数日厄介ニ相成候
右之通ニ付御時節柄奉恐入候得共、右御挨拶之御状江聊之
御品御添被成下置此度頂戴仕、早速夫々江礼ニ罷越度奉存
候、
右之趣差付奉願上候も奉恐入ニ付、乍恐以口上書奉伺候、
以上
未六月八日
御三人様
戸部村庄屋馬場欽次
〃馬場喜右衛門
〃馬場半之助
右四ッ時頃御役所江上ル、
覚
三月廿七日
一人足拾弐人才料出役藤左衛門
右者立退候節松代道橋懸り麻呂山清太夫殿当村役場江御
出、加勢人足御願ニ付差出候人足共御座候、
御代官様御内差図ニ付丗日除き申候
四月廿五日
一 人足廿七人 才料喜惣太
同廿六日
一 人足六十弐人 同民次
茂右衛門
〆人足百壱人
右者去々月廿七日ゟ犀口人足江御手当被成下置候以前差
出候人足ニ御座候間、奉恐入候得共、壱人前弐百文ツヽ以
御積りを此度御下金被成下候様奉願上候、以上
未六月八日
御三人様
戸部村庄屋三人
右差上候処、前書之口除其外二口願之通御聞届、大熊安
右衛門様ゟ御下金被成下候、
一六月七日夜御公儀様上田御届ニ而一先江戸江御引取、欽
次岡田村庄屋代として小諸宿迄御引添罷越ス、
昨今者遠路之所御大義千万、嘸御疲与察入候然者人足遣之
義ニ付面談いたし度候間、明日中ニ拙宅江御越可給候、此
段申入度早々、以上
六月十日
戸部村馬場欽次殿
大熊安右衛門
御用向有之候間、只今役所へ可被罷出候、此段申達候、
以上
六月十一日
戸部村庄屋馬場欽次殿
引受三人
戸部村囲入七五郎
右之もの明後十六日明六ッ半時会所呼出候間庄屋組頭親
類組合差添罷出候様可被申付候、并各方之内壱人為立会
是又可被罷出候、以上
六月十四日
引受三人
川中島割番中
御別帋之通明後十六日御呼出候間、無間違罷出候様申付
可被成候、此段得御意候、以上
六月十四日 割番
戸部村
庄屋中
犀口下堰用水筋之内此段柳立居候場所、村々分地切水行
差支無之様来ル廿五日迄之内伐払可被致候、尤追而（序カ）席を
以可致見分候間、可被得其意候、以上
六月十七日 宮下吉太夫
松本喜文次
上布施ゟ
藤枝村迄
村々役人中
尚々此触書早々順達留村ゟ可被差戻候、以上
弘化四年未五月ゟ
御手当米付送通帳
戸部村庄屋方岩崎門弥
五月
一米五表半
右者当村角左衛門与市伴五郎彦左衛門喜祖五郎三吉後家江
御手当米被下置、右之通慥ニ奉受取候、以上
未五月
川中島戸部村庄屋馬場半之助印
右御□（通カ）ひ六月廿三日啓作を以差出ス、
板札ニ認出口〳〵江折付ル
口達
当春大変ニ付万端出情被致候故、稲作植付ニも相成候、然
ル所一躰旬後れ之植付故、当秋如何程ニ可参も難斗候間、
夫喰ニ相成候品者銘々格別ニ相囲非常之用意被致、可成丈
御厄介ニ不相成様判頭ゟ呉々も心付可申候、
附、兼而申達置候通、極難ニ而取凌方難相成もの有之候
ハヽ、無遠慮可被申出候、如何様ニも致し取続之差図可
致候、
地震以来一統長々致心配候上、満水ニ而家居水付泥入等ニ
相成湿気を受候故、万々一疫癘痢病之類ひ流行可致哉も
難斗ニ付而者、農業等出情被致候義者勿論之事ニ候得共、仮
令人命者何品ニも難替とも存候間、其身〳〵を折角被相厭
候様致度、此段乍席（序カ）申達候、
附、極難ニ而万一病気付服薬等不任（ママ）ひものハ是又可被申出
候、施薬致し可申候、
右之趣判頭中ゟ組合限不洩様被申聞、右様之もの有之候
ハヽ、早々可被申出候、以上
未六月廿四日 戸部村役所
当節諸方痢病并時候中リ等ニ而病人多ニ御座候所御当村者
如何哉、病人之人数御取調、明後五日夕方迄ニ稲荷山溜り
先迄申出候様御達ニ候間、此段得御意候、尤病人一向無御
座候ハヽ、其旨御申出被成候様仕度早々、以上
七月三日夕
馬場半之助様
溜入先ニ而青木惣右衛門
其村方当時流行病人何人有之候哉取調早々可被書出候、
尤夫々相糺候ニ者及不申、其元存付候所ニ而宜候、并是迄病
死人何人と申義是又早々可被書出候、尤明朝引取ニ相成
候間、其心得ニ而今夜中迄ニ書可被出候、此段申達候、以
上
七月五日
稲荷山村出役先ゟ羽田十兵衛
戸部村
庄屋中
覚
戸部村北組岩次
同人
母親
同人子供
四人
政次
母親
名助
女房
同人子供
弐人
又三郎忰
壱人
政吉
母親
重太忰
壱人
彦左衛門
母親
同人
女房
林清左衛門
和吉
女房
恒八
女房
半平
親
同人
娘
茂右衛門
女房
同人娘
弐人
杢弥
娘
鉄之助
女房
〆弐拾五人
右之もの共時候中并痢病ニ而当節難渋仕罷在候、御尋ニ付
村中取調申上候、以上
未七月五日 戸部村
御割番中
覚
一暑ニ入病死人七人 内弐人男
五人女
右之通当村方ニ而病死仕候ニ付、此段申上候、以上
未七月五日夜 戸部村
御割番中
（注、身持宜しからざる者の処置、省略）
拝借金証文之事
一金七十両也
右者当村方三月大地震後満水仕、田畑土砂入荒地ニ罷成候
処、右手入普請等之義大災ニ付難自力及難渋仕候ニ付、無
拠拝借奉願上候所、以御慈悲此度書面之金子三十ヶ年賦
御貸下被成下置、難有拝借仕候処相違無御座候、然上者来
申年ゟ向三十ヶ年同丑年まで年々金弐両永三百三十三文
四分ツヽ無相違取立返上納可仕候、依之証文差上申処如
件、
弘化四年未九月
御役所様
戸部村組頭儀右衛門
〃喜惣太
〃重左衛門
〃民次
庄屋添役馬場欽次
庄屋馬場喜右衛門
〃馬場半之助
前書之通相違無御座ニ付、奥書印形仕差上申所如件、
川中島割番林部官左衛門
〃青木惣右衛門
（注、心得違のものの処置、略）
乍恐以口上書御内々奉願上候
当三月大地震ニ付秋和村御救小屋江罷出、村方人気不和
合、且又組頭民次同喜惣太大十吉平七五郎久兵衛等心得
方宜鋪無御座、理不尽之致方等仕候廉ニ而、四月四日御小
屋ニ而以口上書御内々奉願上候、然ル所当村方者存之外水
災も薄く居村江立戻ニ罷成候上、厚以御情愍夫々御手当
等被成下置、并稲作植付ニも相成一同難有仕合奉存候、右
ニ付篤与勘弁仕見（カ）候所、誠ニ稀之天変故一統当惑仕候ゟ自
然与人気も狂ひ心得違之ものも御座候趣、前書奉申上候
もの共とても失前後、右様不束之執斗も仕候与奉存候、近
頃ニ罷成候而者先非後悔仕候様子ニ御座候、其上人気も相
和候間此上夫々御糺等被成下置候而者、御苦悩之程も重々
奉恐入、且者歎敷奉存候間、奉恐入候御義ニ者御座候得共、
四月四日以口上書奉申上候義者御流被成下置候様、乍恐
以口上書御内々奉願上候、以上
未七月九日
御三人様
戸部村庄屋三人
乍恐
此間中御内々奉申上候義、則今日口上書奉差上候間、何
分ニも御執成被下置候様奉願上候、将又先達而差上候口上
書之義者幾重ニも御含被成下、三人之ものハ別段一際被仰
付被下候様被仰立之程偏ニ奉願上候、遠方之義以飛脚奉
申上候段御宥（カ）免奉願上候、以上
七月九日
犬飼郡蔵様
戸部村馬場欽次
戸部村庄屋馬場欽次
庄屋組頭親類組合
差添同村囲入七五郎
右之もの共明後十日六ッ半時会所呼出候間、何れも無遅
刻罷出候様可被申付候、尤各方一人為立会是又同刻可被
罷出候、此段申達候、以上
七月八日
引受三人
川中島割番中
御別帋之通被 仰付候間、夫々御申付無間違御出勤可被
成候、尤為立会拙者共之内壱人罷出候、此段得御意候、
以上
七月八日 割番
戸部村
庄屋中
稲荷山宿御朱印御証文御通行并諸家中通行之節、宿方人
馬而已ニ而者継立難成、過急ニ人馬多分入用之節者、問屋松
木俊司ゟ右之趣四ヶ村江助人馬之義相頼、継立致候旨、以
来共過急ニ助人馬入用之節者、俊司ゟ当役所江不願出、同
人ゟ直ニ懸合候義も可有之候間、其節者無差支是迄之通差
出候様可被執斗候、此段申達候、以上
七月十日
引受三人
川中島割番中
川中島村々之内御囲籾、先達而水押之節流失何程水入何
程与申義取調可被申出候、此段申達候、以上
七月十日
引受三人
川中島
割番中
御別帋両通之通被 仰付候間、御承知可被成候、且御囲
籾夫々御取調、来ル十五日迄ニ官左衛門方へ御遣し可被
成候、此段得御意候、以上
割番
中戸岡稲
村々庄屋中
（注、中略）
（八月）廿七日御会所ニ而被仰渡左之通、
一当春地震満水ニ而用水堰押埋候所、堀割人足等之義居村
者勿論御他領出役等打合、万端骨折候段寄特ニ付、為御
賞美官左衛門欽次江者御袴地一反ツヽ被下之、六左衛門
鉄五郎曽平右同断ニ付、御羽織地一反ツヽ被下之、
一四ヶ村出役右同断ニ付、宗門改之節上判御免被成下置
候、
犀口下堰来ル廿八日水落ニ付、前々之通人足入料物差出
致普請受候様出役中江可被申渡候、以上
八月廿六日 宮下吉太夫
松本喜文次
上小島田村ゟ
九ヶ村名主中
尚々此触書早々順達廻村ゟ可被相返候、以上
（注、中略）
乍恐以口上書御届奉申上候
当村前々永（カ）引之場所等起帰り并（ママ）并
新開切添等吟味仕候所、村中ニ聊も無御座候付、乍恐右之
段御届奉申上候、以上
弘化四年未九月
御奉行様
戸部村組頭庄屋
去午之御改人数
一千百人拾弐人 戸部村
内 六百四人男五百七十八人女
当四月縊死仕 喜惣二父
御検使受申候 年七十一喜祖五郎
当四月自滅仕
御検使受申候 年四十池田丹蔵
当三月於善光寺 惣右衛門
圧死仕候
年三十八女房
同断 □次忰
年二十三熊蔵
人数四人、内三人男壱人女
三拾弐人 当二月ゟ当月迄
病死
内 弐十一人男拾壱人女
残人数
千百四拾六人 当御改人数
内 五百八十人男五百六十六人女
右之通当三月地震之節死失并二月ゟ此節迄病死人数ニ
御座候、当年格別大地震ニ付、死人取調奉差上候、以上
弘化四年未九月四日 戸部村
御割番所
（注、中略）
覚
一人足 四人 小川忠左衛門殿
同 三人 岩崎門弥殿
馬 壱疋 引受犬飼郡蔵
右者戸部村岡田村稲毛為見分、明後十二日六ッ半時出宅
ニ而出役可致候、尤戸部村初メニ而見分有之候間、前書之通
迎人馬無遅刻明夕迄ニ参着致候様可被執斗候、
御勘定奉行山田兵右衛門殿
右同断ニ付出役被致候、尤外
御用向有之候ニ付、明十一日丹波島迄被罷越候、右人足者
爰許ゟ仕立ニ而明日者被罷越候間、明後十二日戸部村ゟ人
足五人丹波島宿迄六ッ半時罷出候様是又可被執斗候、此
段夫々申達候、以上
九月十日八半時出ス 犬飼郡蔵
上原広治
細田十兵衛
川中島
割番中
急飛脚
十三日昼後迄ニ御見分相済、岡田村江御引移り、翌々十五
日右御礼御引方之義為願、欽次六左衛門同道上田江罷出
段々相願候所、十七日両村三役人御呼出し、当秋不作ニ付
未ノ御物成米之内六分通御用捨被仰付候、右ニ付 夫々
御礼廻り、廿日ニ帰宅、廿二日本町江判頭不残呼出し六分
御増引頂戴仕候旨申渡、右ニ付小作引方平均四割引六分
納、塊（カ）田之分并悪之毛ハ地主対談可成丈勘弁致、小前方行
立候様相対可致旨申聞ル、
乍恐口上書
当春大地震ニ而、松代御領山中之内山抜崩犀川数日水湛候
処、四月十三日右湛之場所一時押払一円満水仕、田畑者勿
論居家并物置等迄水付泥入ニ罷成一同当惑仕候、然ル所
当村之義者中氷鉋今里ゟ水災者薄く御座候得共、床上弐尺
程も水押入、田畑之義者場所ニゟ壱弐尺余も土砂入ニ罷成
候処、可成丈植付仕、格別之御厄介筋ニ不罷成様仕度、土
砂取片付稲作植付為申度、情々世話仕候得共、前文之大
災ニ而人力も弱罷在候上稲苗等押流不足ニ而、誠ニ当惑之極
仕居候処、其節御代官様御廻村御座候ニ付、其段歎願仕候
所、御引取之上如何様ニも御融通御差送も被成下候間、心
強く余分ニ植付候様との厚思召之程御内意被 仰付候ニ
付、其段小前一同江篤与申聞候所、俄ニ人気引立、砂入之
分昼夜出情取片付植付仕候故格別ニ捗取、外村々ゟ塊（カ）田者
少々御座候得共、田畑共作り土押流候上植付旬後れ故、
稲作共不熟仕、当惑之極奉存候、右ニ付御時節柄奉歎願候
も重々奉恐入候得共、此度金百八十両拝借仕度奉願上候、
右金子を以塊田之分土砂取片付、并作り土押流候分江者当
秋稲苅取次第土入仕度旨願出候得共、当春以来 夫々
御救方等被成下置候上、不顧
御時節柄も右様之義奉歎願候も奉恐入候ニ付、私共ニ而如
何様共他借仕度是迄種々申談手段等仕見（カ）候得共、川中島
之義者いつれも同様大変ニ而融通方手段無御座、且又銘々
迚も夏毛大半押流候上当秋不作仕候義御座候得者、必至与
難渋仕、無拠奉歎願候、尤作り土押流候田畑之義当秋ゟ
来春迄ニ土持仕、夫々手入不仕候得者、来年作場出来方之
程も無覚束、実以心配仕候、乍恐右之趣
御憐愍被成下置、願之通拝借被 仰付被下置候上者、被
仰付次第急度可奉返上納、且又兼而取調奉差上候砂入荒
地之分御引地等不奉願上、如何様共出情仕、年々是迄之
通無滞上納可仕候間、何卒格別之以御慈悲右願之通被
仰付被下置候様奉願上候
右之段差引（カ）奉願上候義も重々奉恐入候ニ付、乍恐以口上
書御内々奉願上候、
未九月
御役所様
戸部村庄屋三人
右十六日欽次持参、犬飼様差上候処納ル
此間中被差出候口上書之振合ニ認可被差出候事、
拝借金相願度段先達而口上書被差出候所、右者本願書認庄
屋組頭連印ニ而可被差出候、尤割番奥印も致可被差出候、
此段申達候、以上
九月廿四日
引受三人
戸部村庄屋中
飛脚
右ニ付、十月五日本願書両割番奥書御頼差出ス、
文言前口上書振合、乍恐右願之通り被 仰付被下置候
ハヽ、難有仕合ニ奉存候、以上
弘化四年未十月
御奉行様
戸部村組頭四人
庄屋三人
前書奉願上候通、被 仰付被下候様於私共も奉願上候、
依之奥書印形仕、乍恐奉差上候、以上
川中島
割番林部官左衛門
〃青木惣右衛門
川中島五ヶ村
家数何軒
人別何人
内 男何人女何人
右之通村限取調帳面ニ仕立、村役人連印ニ而可被差出候、
尤取急早々取調差出可被申候、此段申達候、以上
九月廿四日
引受三人
川中島
割番中
御別帋之通被 仰付候間、早々御取調、明廿七日昼迄ニ官
左衛門方江可被遣候、此段得御意候、以上
九月廿六日 割番
稲岡戸中
右村々庄屋中
覚
一惣家数五百四十九軒 川中島戸部村
惣人数千百四拾六人
内 五百十人男五百六十六人女
右之通ニ付、乍恐取調奉差上候、以上
未九月
御奉行様
戸部村組頭庄屋
一上下三人御代官青木三八郎殿
右者明十三日四ッ時中氷鉋村出立ニ而、其村為廻村被罷越
候、并自分同（カ）様罷越候間、村境江村役人出迎いたし候様、
例之通可被執斗候、此段申達候、以上
十月十二日
中氷鉋村出役先ゟ細田十兵衛
戸部村庄屋中
右ニ付十四日御出役有之、判頭并小前御呼出し御理解有
之、猶又御囲籾御手当筋割渡方 夫々御尋ニ付、立会之上
一同ゟ帳面江印形取之、
一拝借金之内七十両御貸付御聞済ニ而御下金、半之助儀右
衛門罷出金子受取、十三日罷帰ル、尤金七拾両申年ゟ
三十ヶ年賦
（注、中略）
乍恐口上書
御高壱斗七升
戸部村武兵衛
右之もの義当三月地震之節居家半潰ニ罷成候処、私共不
調仕取調方不行届、半潰之義不申上奉恐入候、然ル所五
月中潰家之もの共江以御憐愍御手当米被下置、夫々頂戴
仕難有仕合奉存候、右武兵衛義調洩仕候故頂戴不仕罷在
候所、此間中御代官様御廻村之節小前之もの共御呼出被
仰渡候ニ付、篤与取調仕候所、前書奉申上候通調洩ニ罷成
候、奉恐入候得共、外同様御救筋被為仰付被下置候
ハヽ、難有仕合奉存候、依之乍恐以口上書奉伺候、以上
未十月十九日
御役所様
戸部村組頭四人
庄屋三人
三州鳳来寺真言学頭医王院
右者御府内信濃国外二ヶ国勧化御免ニ付公儀ゟ御触之趣、
当二月中相触置候処、信濃国地震ニ付国替之義
御奉行所ゟ被 仰渡候間、当国者不致巡行旨右同院ゟ申
出候旨江戸表ゟ申来候、
右御触ニ候間、其組村々一統相心得候様不洩様可被相触
候、此段申達候、以上
九月廿六日
引受三人
川中島
割番中
今里村
岡田村
戸部村
中氷鉋村
右四ヶ村用水路（カ）堀割渡人足賃、此度限御入用被下候間、
此旨相心得四ヶ村可被達候、此段申達候、以上
九月晦日
引受三人
川中島
割番中
御別帋之通被 仰付候間、村々御承知可被成候、此段得
御意候、以上
十月四日 割番
中戸岡
庄屋中
塩沢誠十郎様
竿役被 仰付有之候間、此段御承知可被成候以上
戸部村庄屋組頭壱人ツヽ
右者明後十一日四ッ時役所呼出候間、無遅刻罷出候様可
被申達候、尤御代官留守引受長尾伴右衛門役所江罷出候
様可被申付候、各方之内一人同刻為立会可被罷出候、此
段申達候、以上
十月九日
引受三人
川中島
割番中
御別帋之通御呼出し被 仰付候間、無遅刻被罷出候様御
執斗可被成候、此段得御意候、以上
十月十日 割番
戸部村
庄屋中
以手紙得御意候、
御用之義有之候間、御用相達候もの之内高瀬半九郎役所
江可被罷出候、此段申達候、以上
十月十三日 峯村藤助
岡田村
中氷鉋村
戸部村
今里村
庄屋中
右ニ付岡田六左衛門罷出候所、豊吉ゟ御取上紙入、御分知
御代官所江御引渡被 仰付候、
御公儀様御用筋被 仰渡候ニ付、明廿六日八ッ時丹波島
村御旅宿迄役人罷出候様被仰付候ニ付、右之段申達候、無
間違御出会可被成候、以上
十月廿五日
堰守中沢弥七
上氷鉋村
中氷鉋村
戸部村
右村々庄屋中
先刻申達候御用筋三役人印形之義、失念致候間申達候、
無間違御持参可被成候、以上
堰守
三ヶ村
名主中
右ニ付廿六日欽次中氷鉋同道丹波島宿小松屋江罷越候所、
御本陣直井倉之助様江被召出、犀口堀割人足賃被下置候
旨被 仰渡、御受書差上、夜八ッ時帰宅、但人足賃壱人
ニ付永十七文ツヽ当村人足遺（延カ）高三千百六十弐人此金五拾
三両弐歩永弐百弐十八文壱分被下、直様川除方御役所江
上納、右賃金中条御役所江為持ニ致候間、受取ニ可罷出旨
被仰渡候、御下金頂戴御礼夫々相勤ル、
以飛脚啓上仕候、寒冷之砌弥御勇健ニ被成御勤役御座奉
恐寿候、然者御勘定松村忠四郎様并御普請役方御両人、今
八日夜吉田村御泊ニ而、明九日朝当宿御通行ニ而、麻績宿江
御越罷成候、然ル所当宿人足召連ニ而者御継立相成兼候ニ
付、助人足三十人川中島村々江被仰付可被下候様奉頼上
候、尤明九日暁七ッ時半迄ニ当所江参着仕候様ニ無間違被
仰聞可被下候、且又御役所江御願立仕候間、是又左様御承
知可被下候、右得貴意度如此御座候、以上
十月八日
林部官左衛門様
青木惣右衛門様
松木俊司
覚
一人足三十人
此割
九人 岡田村
七人 今里村
九人 戸部村
五人 中氷鉋村
〆
右者明九日稲荷山宿
御公儀様御通行ニ付、書面之通明明ヶ七ッ時迄ニ右宿問屋
場江無間違参着有之候様御申付可被成候、則問屋ゟ別帋
之通申来候ニ付、此段得御意候、以上
十一月八日 割番
右村々庄屋中
追而、才料之義今里村ゟ壱人戸部村ゟ壱人罷出候様御執
斗可被成候、以上
（注、中略）
一酒造込之義兼而従
公儀三分一減石ニ被 仰出も有之、其旨申付置候処、当
春御領分川中島地震并水災等ニ而既ニ従公辺御拝借金も
被成候程之義、其上当秋不作ニ付猶又造込半数減石申
付候間、心得違無之様酒造渡世之ものとも江可申付候
事、
十一月
右
御触之趣酒造渡世之もの江不洩様可被相触候、此段申達
候、以上
十一月十九日
引受三人
川中島
割番中
御領分川中島稲荷山村を始外四ヶ村江普請材木千曲川筏
下ケ之義、大屋村岩下村之もの共之内ゟ相願候趣右役所
江願書差出候、右材木筏下ケ之義右両村江相頼候ハヽ、其
趣意願書ニ致し差出可申候、片願ニ而者御聞届無之候間、其
旨可被相心得候、此段申達候、以上
十一月廿三日
引受三人
稲荷山村
岡田村
今里村
戸部村
中氷鉋村
右村々庄屋中
追而廻達可被致候、以上
古金銀真字弐歩判古弐朱銀共文政度之文字金銀草字弐歩
判弐朱銀壱朱銀共通行停止之分、当未十月迄引替候様去
午年相触候処、今以引替残多有之候ニ付、引替所之義猶又
申十月迄是迄之通差置候条、所持先達而相触候通相心得、
朔月を限り引替候様、御領者御代官私領者領主地頭ゟ入念
申付へく候、
十月
右之通可被相触候、
右
公儀御触ニ候間、其組村々一統不洩様可被相触候、此段申
達候、以上
十月廿九日
引受三人
川中島
割番中
茶屋向夜商売不相成義者前々申聞置候処、間々心得違之
もの有之、其上花美之料理等差出し候趣相聞、去ル午年
質素倹約之御制従公儀厳重ニ被 仰出、御領主ゟも猶又
御制再度被仰出有之、御義者堅相守可申筈之所、兎角等閑
ニ相心得夜商売等いたし、其上魚類者勿論格別之品ニも無
之野菜物ニ至迄料理向手際立致し、高直ニ仕出し候趣相
聞ひ（えカ）一躰茶屋向之義者旅人并遠在ゟ罷越候もの空腹を養
ひ候迄ニ而候得者、花美之料理等差出し可申筈ニ而者無之筈
候処、全驕候者ニ長し候始末ニ而不相済事ニ候、已後花美之
料理等差出し候歟又者夜商売いたし候もの有之ニおゐて
ハ、無用捨商売替申付、且又已後見廻り之もの不時改申
付置候間、無違失候様可致事、右之趣在中茶屋商売之も
の共江可被相触候、以上
十一月
右御触書四通相廻申候間、例之通御執斗可被成候、此段
得御意候、以上
十一月 割番
今戸岡稲
村々庄屋中
去午年御取集金当未年分割下候間、来ル五日四ッ時ゟ八
ッ時迄之内、各方之内印形持参外会所江可被罷出候、尤弐
十五両以上之ものハ当人共印形持参、受取ニ罷出候様可
被執斗候、
岡田村寺沢慶十郎
右者死失ニ付、跡相続之もの受取ニ同刻罷出候様可被申達
候、以上
十二月三日
北村来三
宇川次郎左衛門
割番中犬飼郡蔵
小山飛伝人
庄屋組頭親類組合差添
戸部村囲入帳外与兵衛
右之もの明五日五ッ時改方ニ而吟味所呼出候間、刻限無遅
刻罷出候様可被申付候、此段申達候、以上
十二月四日
追而改方呼出相済次第役所呼出候間、是又罷出候様可被
申付候、以上
犬飼郡蔵
上原広治
細田十兵衛
戸部村庄屋中
右ニ付欽次出勤致居候間、当人同道罷出候所御改方ニ而御
囲入御免被 仰渡、夫ゟ御役所ニ而帳外御免帰村被仰付候
ニ付、翌日夫々御礼廻り致帰村致ス、
（注、中略）
御取集金御割下被成下候ニ付、御渡申度候間明後九日
村々庄屋中御壱人ツヽ印形持参、惣右衛門方江御越可被
成候、
一同日郡中割も致候間、村々御取替物等例之通り御取調、
早朝御出可被下候、尤岡田村年番ニ御座候得共、当年者
斯而大災何方も御用多ニ而、余り延引ニ罷成居候ニ付、
乍席（序カ）割合致度御腰弁当ニ而御越可被成候、
一三♠（ママ）堀割御下金一条ニ付而、入用是又御取調御持参可被
成候、
十二月七日 割番
今戸岡稲
庄屋中
米壱石壱斗四升 戸部村
一籾七斗六升入 三表
右未之御物成米之内ニ而御囲籾、
乍恐以口上書奉申上候
戸部村年三十八七之助
年二十三亀次
年五十四藤内
年二十八又四郎
右之もの平常耕作出情仕、家内睦敷、村付合も宜敷、実
躰成もの共ニ御座候、然ル所当春大地震及満水稀成変災
ニ而、村役人而已ニ而者万端之世話行届兼当惑仕候所、右之
もの共義数日村役所江罷越、昼夜手助等仕候上、満水ニ而
用水路押埋一同難渋仕候砌、右堀割堰浚之義格別出情仕、
引続田畑荒地土砂出し者勿論稲作植付作物手入等ニ至迄
村中之義厚世話仕候故、人気引立稲作植付も多分出来、
麦蒔入も捗取万端骨折申候、
年二十七米吉
年五十四助八
年三十三啓作
右之もの共義常々耕作出情仕心得方并村付合も宜敷もの
共ニ御座候、当春中水災ニ而用水路押埋候堀割堰浚之砌、
数日多人足世話仕、殊ニ稲作植付ニ付、稲苗押流し不足ニ而
当惑仕、御融通被成下置候節持運び、夫々渡方等之義村
中厚世話仕万端骨折申候、
右夫々奉申上候通格別ニ骨折、其後迚も家業出情仕罷在
候ニ付、乍恐右之段以口上書奉申上候、以上
未十二月四日
戸部村組頭庄屋
御役所様
右四日御代官様江入御内覧、夫ゟ犬飼様江差出ス、
（注、中略）
大熊安右衛門様御賄岡田村入用
一弐拾六〆四百弐十四文
此割目安六一四九五
一三〆九百十六文 中氷鉋村
一六〆五百文 今里村
一七〆八百五文 戸部村
一八〆弐百三文 岡田村
御別帋御触書村々不洩様例之通御執斗可被成候、且別帋
岡田村御出役入用割合之通り岡田村江御遣し可被成候、
此段得御意候、以上
十二月十二日 割番
中戸岡稲
庄屋中
（注、中略）
当年奥筋作方不宜其上両度之変災故、旁米穀不融通ニ付、
価高直之趣ニ而御領分ゟも多分売出し候もの有之由ニ候
所、中ニ者飯米ニ無之酒造米或者菓子米等ニ差遣候向も有之
哉ニ相聞ひ（えカ）候、一体当秋作之義者夏中振合与違致し一統取
実も少候趣ニ候得者心懸貯もいたし可置之所、全当座之利
欲ニ迷ひ前後之無弁売出候義与相聞ひ（えカ）、以之外心得違之
事ニ候、右様ニ而者来作迄之間必至与差支、難ニ及候ものも
出来可致哉不案心之事ニ候、御時節柄之義ニ候得者、御厄
介之義等願出候而も御手も不被為届候間、村々ニ而組合限
心付合心得違無之様可致候、尤奥筋之義者未曾有之凶変ニ
付、難渋相違無之義ニ付、御他領ニ候共急度穀留申付候義
ニも無之間、買入之義申談候もの有之候節者、余り有之も
の共者始末柄篤与相糺し、実々差支候もの江者直段品物駄
賃等成丈勘弁をかひ実意を以売渡可遣、万一眼前之利潤
而已心懸不実之売渡方致候歟、又者飯米之外ニ栄曜〳〵ケ
間敷義ニ用ひ候米穀売渡候もの於有之ニ者、糺之上咎勿論
品ニ寄急度過怠をも可申付条心得違無之様可致候、尤奥
筋ニ不限御他領江売出し候節者、買主名前米穀之高夫々村
役所江申出候上売出し可申、村役人共も前書之意味篤与勘
弁いたし、売出し方之趣意相糺候上、売主名前等迄留置、
二三日又者五六日ニ一度ツヽ其組割番迄可申出候、若不直
之売出し方いたし候もの有之候ハヽ厳敷差留、其始末者
不取置割番共迄成とも可申出候、割番共者村役所ゟ差出
候書付御代官所江差出候様可致候、
未十一月
右御触之趣川中島村々心得居候様可被申達候、此段申達
候、以上
十一月 引受三人
川中島
割番中
（注、中略）
稲苗御融通一件控
尚々本文苗之義上田之方ハ明日引取懸ケニ夫々承故、猶
此方ゟ否可得御意候、以上
此間中者長々御厄介之義与存候、扨又苗之義稲荷山村ニ而
も少しツヽ者余り可申哉之趣、弥右衛門類右衛門申聞候、
植（ママ）り有之候ハヽ、其村方江貰申度旨申聞候所畏候旨、左様
ニ候ハヽ、村方江も可申聞置旨両人共申之候間、当村江も
御懸合有之候様いたし度右早々申付度如此候、以上
五月廿日認置 青木三八郎
戸部村庄屋馬場欽次殿
御用筋
以飛脚得貴意候、段々御心配実々推察仕候、私共義も未
タ帯解不申、昼夜苦心仕罷在候、右様之場合故御見舞ニも
不罷出、失礼御免可被下候、然者漸用水堰水引入ニ相成候
所、苗無御座植付出来兼候ニ付、其段御代官様江御内歎（ママ）仕
候所、昨夜被仰下候ニ者、御当村ニも少しツヽ余り候もの
も可有之趣ニ付、融通之義声懸り致候間、私共ゟ御両所様
江御無心可申上旨被 仰下候ニ付、不得止事奉願上候、何
卒成丈余分ニ御用意被成下度、尤御支配中江右之趣御申触
被下候ハヽ、少々ツヽ之余りニ而も寄せ候ハヽ、余程可有
御座哉ニも奉存候、時節柄御多勢中奉恐入候得共、此節之
義幾重ニも御骨折之程奉願上候、御差図次第人足差遣可
申候、尤水入候田者壱枚も無御座候得共、追々間合せ一日
も早く為植付申度奉存候、右御含置可被下候、右得貴意
度如此御座候、以上
五月廿一日松林弥五右衛門様
田中類右衛門様
馬場半之助
兼而御引合申候苗之義、当所江引取之節、下塩尻村上塩尻
村秋和村生塚村新町村西脇村鎌原村右之村役元江立寄、
植余り之苗無心申入候所、何れも例年少しツヽハ余分ニ
も有之候間、早々村々小前江も申聞融通為仕、植付仕廻次
第早々申出候様可致旨村役人とも申之候、扨又今早朝小
県組之内小牧村諏訪形村御所村中之条村下之条村右村々
江も罷越、前同様申入候所、何れも同様可差出旨申之ニ付、
猶又国分寺組へ江も申入候積ニ候、依而者当方差支無之、手
ニ入次第早々相廻し可申候、尤何れ之村方ニ而も今一両日
ならでハ植仕廻難出来旨申之候、右之通ニ有之候間、可成
丈一盃ニ植付有之候様御取扱之程相願候、今初而之義ニ者
無之候得共、其元之心配難尽筆紙御心痛察入候、此上と
も申迄ニ者無之候得共、何分ニも植付無滞相済候様偏ニ相
願候、右之段先早々申入度如此御座候、已上
正月廿二日 青木三八郎
昼九ッ時認
川中島戸部村庄屋添役馬場欽次殿
（注、以下苗に関すること30枚省略）
一金六千弐百五十両程
但、山里村々潰家半潰之もの江御手当被下候、
一同五千両程
但、右同断、是者前々分一不申候、御用立金仕置候分此度御返金、
一同千両余
但、別段ニ難渋村方江時之御手当、
一同七百八十両程
但、農具代願ニ付村々江被下、
一白米三千四百七十表程
但、三月廿四日夜ゟ追々御賄炊出し分、
一玄米麦共
弐千八百表程
但、抜覆流失等之村々江時之御手当、外善光寺町最寄上松村等ニ而御救方炊出し之分未タ調不行届
右ニ而も極難ニ可有之候間、此度取続候迄幾重ニも御救可
被成下旨被 仰出候、
一玄米五百表
但、善光寺臨時御貸米、
一白米三十表
但、大勧進江被進候、
右之外村々社倉囲穀之分者不残村方融通の事、
一酒味噌塩
右之義者別手懸りニ付調不行届、
以飛札極内分得貴意候、此間中者御内願仕候趣巨細被
仰下何共〳〵難有奉存候、御文面之趣承知御厚志之段難
有奉存候、則両通返上仕候、御入手可被下候、
一鹿谷川之趣是又被仰聞大悦不過之、此上之願者弥押切
候御様子相知候ハヽ、早々被 仰聞被下度、夫迄者立退
之用意も不仕安心仕罷在候、御沙汰被下次第夫々用意
仕度奉存候、奉恐入候得共此義ハ無御失念早々被仰聞
被下候様呉々も奉願上候、先達而之大水ニ而大きニ恐れ
罷在昼夜心配仕居候間、幾重ニも被 仰聞被下度奉願
上候、
一此間中御問合御座候当村之御救方之義、猶又今般御代
官御出役之上別帋之通御手当被成下候、為御含御内々
申上候段ニも被 仰下候通、私ゟ右様之義申上候義も
極内々不洩様奉願上候、右御礼旁申上度如此御座候
早々、以上
五月十六日認 馬場
松本公
極内用
松代公御領分地震潰死并流死人為供養於西条山大施餓鬼
被仰付、長国寺大英寺ニおゐて七日之内供養、死人壱人ニ
付白米一升かさりくわし五ッまんぢう三ッゟ 上ゟ右両
寺江被下そば一本ツヽ、村々役人御呼出し死人之数御渡
有之右供物被下之、尤赤坂寺尾此等舟場江供養柱立白布
を張ひしやく手桶一本ツヽ添有之、通行之もの右しやく
ニ而水を布へかけ回（ママ）廻致候様被仰出候、
一御領分流家之もの共江、金三百疋ツヽ小屋懸料并右（ママ）材木
弐十本わら五駄縄一束ツヽ被下、尤此外ニも入用之品者
何成共被下候旨、
一水付泥入ニ相成候村々江、大小共壱軒ニ付弐朱ツヽ被下
也、
右五月十四日山崎兵作私宅江罷越申也、
松代ゟ
御公儀江御届書之写
一家中宗（ママ）潰 三拾八軒
内 借家八軒徒士家十三軒足軽家十七軒
城下町一圧死人 三拾八人 内 十三人男二十五人女
同一怪我人 弐十七人 内 十三人男十四人女
御領分損地一御高三万弐千八百五石余
内 田方 壱万八十五石余畑方弐万弐千七百弐十石余
村方一民家潰家七千六百七拾弐軒
内 四拾九軒 焼失弐百軒 焼失之上湛水入
六百軒 湛水ニ而浮出ル
六千五百十七軒 [揺|ラユリヨヲ]潰
一圧死人凡弐千七百七十五人
治定難申上
内 社家一人僧十七人
男千弐百弐拾弐人女千五百四十弐人
但、右之内三百拾六人 山抜山中江埋死骸相知不申
一穢多七十八人
内 六十七人 山抜山中ヘ埋死骸不相知
一[斃|タヲレヘイ]牛馬 弐百六十七疋
内 六疋 山抜山中埋相知不申
右之通御届有之、尤先ツ御届として凡之所御調書上之由、
十三人満水ニ付流家并流死人馬等未タ御調相付不申、
一寺社之義ハ
御朱印有之候ニ付、極御内々公辺江御伺之上、御差図有
之候迄ハ死人等不書上見合、追而御治定被 仰立候事、
（注、中略）
追々地震者穏ケニ相成候、何卒此侭平安致度奉存候、且此
間内々御願之義得御意候、書面其侭御返却落手仕候、上
田表ゟ御手充御救方之義委細被仰趣、扨々此度ニ而者御隣
境惣而不成容易御手当筋ニ奉存候、奥州辺杯も不成容易変
災有之由、風聞之所聢与いたし候義ニ者無之、只風聞而巳ニ
御座候、美濃大垣御領杯者四月十日大旋風雨ニ而凡八万石
も荒れ候趣、是者戸田采女正様之御届振為見候、其外之様
子ハ相訳不申候、
一先達而ゟ御心配御頼有之候鹿谷村地内湛留之場、いづ
れも格別之事ニ者有之間敷犀川江流れ出し候処ニ而、水之
三四尺も増候位ニも可有之哉杯与申噂ニ有之、且湛留之
所明廿二日ニハ乗り可申与申趣ニ御座候、乍去如何可有
之哉、尤小敵与見て不可構との義御用心専一ニ奉存候、
昨夜彼辺ゟ同役引取候ニ付委細承り候所、前文之通明
廿二日ニ乗始候水積りニ有之候、乗始候ハヽかならす先
日之様ニ一時ニ押払可申哉共存し、度々御頼之事ニ付
早々申遣候、乍去決而〳〵御自分〳〵か御用心而已、
外々江御触有之候而若水乗押流し不申時ニハ、何を申候
哉与人ニ嘲ニ預り候ものニ付、只今御自分切之御用心専
要ニ奉存候、極内々申遣候、以上
五月廿一日
半之助様
欽次様
松嘉
尚々小森沢番場之方江御内々御通し可被下候去なから是
江も只々極内々外江はつし人之嘲ニ預不申様、内密身之用
心而已被仰越可被下候、
真田信濃守様江
旧臘廿八日御居残ニ而
御用番
戸田山城守様御達し有之
左之通り
当春信濃表地震之節其方領分災害強く候由之所、御預所
手当等行届候趣相聞、畢竟常々入念申付候様取扱、御家
来共取執（ママ）斗方も宜敷由相聞、一段之事ニ候、此段御用ニ懸
置候家来共江申聞候様可被致候、以上
右松代御領御振合印之置
今里村江御手当覚
御勘定奉行
山田兵右衛門様ゟ内々拝借控置
一米五十三石弐升七合五勺
右村地震ニ付家作震潰し、其上犀川出水田畑堰筋流失ニ付、
三月金銭石為用捨被下米也、
一金五拾両
右同断ニ付居家流失農具等押流し候ニ付、農具代ニ被下也、
一金三百両
右同断之所家作等其外起返等之義及自力ニ付、三十ヶ年賦御
貸金被成下候、
一米拾三駄
右同断之節極難之もの江従上田通し馬ニ而付送り被下也、
一大豆五駄
粟壱駄
右同断種物ニ被下也、
一米七拾弐表
右同断極難之もの江被下也、岩崎門弥ゟ付送米、
一大麦
御貸付被成下候、
〆
一川中島村々御国役高懸金御用捨被成下候、
一御小物成運上物六分通り御用捨被成下候、
一五ヶ村水車屋冥加銀御用捨被成下候、
一稲荷山村御上納七分御用捨、三分上納被 仰付候、
一戸部村岡田村六分御用捨、四分上納被 仰寸候、
一今里中氷鉋村御上納向皆御用捨被成下候、
一村々非常御囲籾未年迄積置候分并桑畑趣（ママ）意麦等不残被
下也、
右心居ニ控置申候、
（中略）
以書付御届奉申上候
当三月廿四日夜大地震ニ而、当宿不残押潰其上類焼致し
候、其節当宿丸屋八十五郎方ニ旅宿被致候江戸赤坂三河
台柴田七九郎様内津布久惣太郎河野勘兵衛焼死致候ニ
付、従江戸為見届津布久惣太郎弟津布久鉄吉河野勘兵衛
忰河野八十吉并宿丸屋八十五郎右三人ニ而、拙寺江仮埋致
度様被頼候ニ付、書面受取任其意取置仕候、依之右之段御
届申上候、以上
弘化四年未五月
稲荷山村長雲寺印
御奉行所
右地震之節江戸御旗本御両人稲荷山ニ而圧死其上焼失ニ
付、長雲寺ゟ御奉行所江御届書写、
一三月廿四日夜四ッ時頃大地震ニ而、村々潰家物置皆潰不
数知、同刻善光寺同断之上八方ゟ出火、潰家之下ニ相
成、直様火事故死人何万人と申不数知、御本堂山門ハ
残二王門迄焼失、上人様御屋鋪同断、如来様御本堂之
東畑之中江御仮家作り是江御立退、漸
折悪敷開帳年ニ付、諸国ゟ参詣之老若潰家之下ニ相成死
失之上、出火故何千人死亡与云不数知、誠ニ目を驚し候
大変、稲荷山村同断、潰之上出火不残焼失、死人径我
人不数知、
一山平林之内虚空蔵山一時ニ犀川江押崩、斯大川其夜ゟ水
下り不申程ニ湛ル、廿五日朝ハ丹波島之渡舟入用無之
程ニ減水故、川中島ニ而者水押を恐れ老若之無差別
山々最寄〳〵逃去ル、四月十三日夕七ッ時頃右湛留之
場所一時ニ押払一円及満水、四ッ屋中島小市小松原田
畑家居等迄押流し、河原同様ニ大石夥敷流来ル、又死人
不数知、当村々用水堰一円ニ押埋水無之、本町之大井戸
江仕合ニ水出候間、順番を定漸少しツヽ用凌居、井戸無
之村々ニ而者呑水等無之、実以及困窮候由、右ニ付三堰（カ）共
堀割普請人足日々多勢差出し堀浚致し候故、漸下堰ハ
五月十五日夜初メテ水引入ニ相成ル、はんげ同月廿一
日ニ候処、右様田畑江土砂入居家等迄水付泥入ニ相成候
義故、稲作植付旬後れニ相成、六月二日ニ田植終ル、
一山中新町手前水内之橋水湛ニ而水中与相成、橋不残流失、
右材木当村分地江も流来ル、誠ニ大造之大材木村々江流
来、当村分地江も居家物置迄家根ぐしの形有之候分斗、
六十三四軒も流来候程大水也、当村者仕合ニ小原ニ而川
筋を除ケ原村ゟハ水少く、床上江多分之所ニ而三四尺位
水押入、手前之宅ハ畳之上迄水付、流家者一軒も無之
一手前方ニ而も水難を恐れ廿七日夕方清野村江立退、四月
一日秋和御救小屋江罷越、右水押をのかれ、四月十七日
帰宅致ス、家内之ものハ同月廿一日ニ帰ル、
一御旅家半潰ニ相成、右普請村方判頭江申達し、十二月迄
ニ漸繕普請致ス、凡拾六両余懸ル、
三月廿七日立退ゟ
一四月十八日帰宅迄清野村江立退、秋和御小屋場諸入用并
往返入用子細有之、夫銭も（カ）少も出し不申、手前方ニ而
夫々出金致、尤役人中小前惣代江右之趣十二月廿一日
夜夫銭大割之節一同江及断置候、