地震史料集テキストデータベース
[未校訂]（注、前半は「細入村史 下巻 史料編」による。後半は
編者による解読）
午ノ八月廿四日地震ニ付、其節支配頭取方下才許田村氏
等被相越候節、左ニ記置候御番所損し所修覆図り書指出
候処、此度小頭高桑氏江左之通御渡し之事
一 三貫六百九十二文 代弐歩ト三百九十八文 相渡り
午八月奥野村宛飛脚を以出来之事
一 御番所間之内畳三畳表替いたし
一 壱畳表返し
一 縁通り弐間之まくり出来いたし
安政五年二月廿五日夜九ツ時、大地震ニ而人々驚逃出候
処、追々数（かず）何程共なくゆり申ニ付、替々外ニ莚等を敷、夜
明し申候処、石垣・土蔵等ハ大崩、家は戸・障子・壁・道
具損じ、誠ニ人心地も無、心痛至極前代未聞之事
右ニ付村肝煎ゟ飛脚相立候ニ付、小頭まて紙面を以相届申
候左之通
以飛脚申上候、然は昨夜九ツ時頃大地震ニて、御関所・
御長屋之内壁・石垣等所々相損じ申候、村方も、土蔵・
往来・御田地等相損、一統当惑至極罷在候、御城下表如
何哉与奉存候、此段御届申上度、委曲ハ此人ゟ御聞取可被
下候 以上
二月廿六日 橋本作七郎
高桑武右衛門様 吉村茂兵衛
二白 神通川何連ニ而山崩込候哉、未水溜り居申候
一 村惣寄合致し火之用心要用ニ相心得、神通川水留り
申ニ付、蟹寺村江聞合申処、山所々崩往来相成不申大難
路之処、当村吉次郎、山峰通り行漸々加々沢村迄懸付
様子相尋申処、加々沢かいがぶち与申処山ぬけ込、夫ゟ
表村々所々ニ而山崩レ水溜り申由、吉次郎立帰り承り候
ニ付、其趣神通川縁り村々江為心得村肝煎ゟ申達候、然
ル処未タ地震静り不申候ニ付、皆々小屋を相懸ケ、夜ニハ
小家（屋）ニ泊り申候、其夜六ツ時頃神通川水切れ候得共、数
ケ所崩込上ヲ打越押出候故、大水ニも相成不申、多く之
川木等押出し申候、廿五日夜九ツより一日半程水留り
始申候事
一 御関所高見込林三百本斗之間、七尺程押下ケ候処、
地震雨ふり候節ハ危く思ひ、近辺之者道具等預ケ夜者不
残小屋ニ泊り申候、右地震ニ而村々肝煎出府いたし願出
し候、小頭迄左之通申届候
以飛札申上候、然者大地震ニ付、当辺も所々相損し通路
も無御座候、右地震ニて、御番所高西禪寺之端縁通ゟ見
込林三百本斗之間、七尺程押下ケ候ニ付、地震又者雨降
り候節ハ危く思ひ、御関所近辺之人家十軒斗外江立退、
昼夜心痛罷在申候、仍而家内之もの共も不残別小屋相
懸ケ夜ニ入立越申候、私共両人者無慈悲（ママ）罷居候得共、誠
ニ心痛至極奉存候、何分御見分之砌、宜御評定之程奉願
候、此段申上置度、委細此人ゟ御聞取可被下候 以上
二月廿八日
高桑武右衛門様
―
―
二白 飛州村々山大崩ニ而、人損し夥敷様子ニ承り申候、
横山御番所も山ぬけニ而潰レ、人も損し申候 已上
一 地震にて飛州西山中筋山ぬけニ而神通川水留り候、仍
而神通川縁り村々ニおゐて其心得可被成候 已上
二月廿六日 蠏寺村
村々肝煎中 猪谷村
三月九日ニ相届申候
以手紙得御意候、然者先日大地震ニ付両度御紙面之趣致承
知、其度毎ニ御奉行所江申上置候、随而西禅寺境内之損し
ニ付、危き次第柄被仰遺之趣御尤ニ奉存候、右等ニ付御役
所ニおゐて御沙汰も有之候間、怪我等無之様、御家内申不
及各様方も成丈御用心可被成候、尚更近々往来筋等損所
見分ニ為相向ニ付、書外者其節御伝達可申候、御油断者無之
与存居候得共、為念得御意候 已上
三月六日 高桑武右衛門
橋本作七郎様
吉村茂兵衛様
一 三月九日右地震ニ付、損所為見分支配田口兵治殿・安
彦佐助殿被相越、其夜蟹寺泊り、翌日加賀沢村見分相
済当村江被相越、御関所見込林損所間数相調理候処、西
禅寺之境内よりどうか洞矢来垣迄百四十間斗有之場
所、与三次郎之高、御番所高、西禅寺之東通り之端縁
八尺斗切レ下り候ニ付、即刻右場所ニ水除流入不申様ニ
村人足を以いたし置、其後御支配見分之時、当座人足
与して右場所江七十人、村役人江申渡被置候、且又評定
之上、見込林之内大木根越等近辺之もの共相願候ニ付、
急難無之様為伏方与枝木伐木為致申候事、此義見分役
人中江も申談し置候、尤田口兵治・安彦等ゟ私共江談方
ニ者、此度御番所山ノ手危キ候由、御奉行所ゟも被仰渡、
小頭ゟ御談有之、弥危キ場所ならハ、ご用向抔も用心第
一之事之様被仰渡御さ候、私共申談候者、家内之もの共
村端ニ当座小家（屋）を出来致し寝泊りいたし候、私共両人者
御番所ニ罷居候
一 見分之役人中引取之砌、小家成共取図り候哉、又者暫
同居ニ而も申渡置候哉与御談有之ニ付、私共当座御番所
近辺之百姓家江同居之由申談候処、則肝煎作十郎・組合
六右衛門江申渡被置候、尤貸家料者上ゟ被下候よし御達
御さ候
一 当細入筋往来損し所取直し料与して、三月廿二日
村々江仕目録を以銀子被下之候、猪谷村八十三匁、用水
取直し代、往来代六十何匁也
覚
道普請料被下銀左之通
岩稲村壱貫三百何十目
一 加賀沢村
一 六百何十目 当座人々通用道 蟹寺村
一 百五十目斗 用水往来共ニ 猪谷村
一 八十目余 片懸村
一 五百何十目 庵谷村
右御支配両人見分之上、御奉行所江被申上候処、御奉行福
村佐源太殿・浦上判五右衛門殿御月番江被仰上候処、随分
番人共用人可致被仰渡御座候由、則絵図面も御家老中被
指出、江戸表迄も御達御座候よし、小頭被申聞ニ御座候
午三月廿四日橋本と山江出府、御番所損し所も申上候処、
人足之義、村方ゟ勝手ニ取扱候様ニ御談御座候
一 西禅寺境内ゟ御番所後山ノ手落下り候義、御奉行所
ニおゐても御心配被下、小頭高桑氏江も何連伏方ニ相成
候見図りいたし置、今一度見分之上、可成丈伏方ニ相
成、土丈少々宛成共不致候ハ而者相済不申候様、此段村
方江も示談致置候様被申聞、承知旨帰宅いたし候事
一 右見込林之間地震之後、急伏方ニ立木根返し等数本
伐払候ニ付、小頭迄出府之節相達置候事
一 地震之後、当細入筋往来通路壱人も無之、仍而八尾通
り大長谷桐（切）詰御関所二つ合通り、角川江諸荷物相向申
候事
一 御番所御長室損所見分之役人田口兵治・安彦佐助両
人、左之通書付相渡し
一 御門柱東ノ方四五寸斗
一 石垣少々宛二ケ所相損し
一 白壁方々宛三ケ所相損し
一 下モ廻リ土台三寸斗宛落下リ
一 破風損じ
〆
右ケ所御役所江被出小頭高桑氏迄申出候処、頭取中江御
伺有之、橋本ゟ申上候者、何連表達（立）御見分ニ而者村方迷惑
ニも相成候ニ付、人足十人斗御役所ニて御取斗御座候様
申出候処、御聞済有之候
一 御関所山ノ手落下り候場所之義者、伏方之義見定置
候様、高桑氏より御談有之、重而見分之上何れニも追々
成とも御普請ニ相成、少者安心之場ニ不相成候ハ而者難相
済旨被申聞、此段取（頭欠）方江も小頭ゟ被申上置候、尤御奉行
所ニおゐても御心配被下、先日支配見分之後、御番所見
込林之間、絵図面を以御用番江も被仰上置候様、番所奉
行所ゟ橋本江御噺御座候、仍而御用番様ゟ江戸表迄被仰
達候よし、高桑氏ゟ御噺し御座候得共、私共初近辺之
もの共、右場所普請之いたし方も無之候ニ付、未タ心配
而已罷在候事
但し御用番所ゟ、番人共危キ事ハ御用たり共為致間敷
候様被仰候事
一 御番所之損し所者村方ゟ人足請不申、黒鍬大工等三
人斗相雇、御門等取直し出来いたし置候、白壁之義、
左官序を以取繕ひ度図りニいたし度候事
一 四月十四日往来道等出来為見分与、御支配田口伝右
衛門・岸幸助被相廻候、尤小頭高桑氏ゟ申談之趣ニ付、
御番所高西禅寺之境内落下り場所も見分有之、私共江
示談有之候得共、兎角伏方見込之普請難斗候ニ付、近辺
之もの共江も遂示談候得共、何レ伏方之見留相立不申
候ニ付、当年之処相見合、重而危キ様子ニて御普請之見
込之場ニ至り候得者、又々御願申上度よし、右御両人江
申談置候
一 御番所損し所御修覆之義、大工黒鍬にて出来ニ付、此
度も談し置候白壁之義者、左官序を以当秋迄ニ出来致度
旨、是又談し置候、此段小頭迄別ニ相届不申、右両人江
相達置候事
午四月廿一日出、同廿二日相届
薄暑之義御さ候得共、各様弥御安康被成御勤珍重奉存
候、然者明後廿三日細入筋飛州往来損し所御見分与し
て、頭取中御越ニ御座候間、左様御承知可被成候、尤同
夜蟹寺村泊り、同廿四日加々沢村定往来山逃ノ変損場
所御見分済之上、又々蟹寺村泊り之図りニ御さ候、此段
も為御心得申遺候、右得御意度如斯ニ御座候 已上
四月廿一日
―
―
田村半右衛門
飯嶋庄七
一 午四月廿三日御郡方頭取伊林嘉右衛門殿下才許田村
半右衛門・飯嶋庄七、御用付山田弥右衛門小使〆五人、
加々沢村まて損し所為見分与被相越申候、蟹寺間兵衛
泊り也、右役人中廿四日加々沢村領見分迄、蟹寺村立
帰り間兵衛ニ御泊り之事
一 同廿四日橋本蟹寺御泊り所迄相越し、下才許田村氏
等示談之上、左之通書付相認
一 弐人 大工 御長屋之内土台二ヶ所落下り取直し御
門下り直し
一 弐人 黒鍬 石垣二ヶ所取直し
〆 四人 代壱貫文 作料等
一 壱人 手取人足雇代 百八十文
一 四百文 白（壁脱カ）三ケ所繕代
一 御番所畳六畳之内三畳大損ニ付、取替へし、并
縁中入紙手間共ニ
一 十五人 御番所高逃損し場所之内、御柵所々損し
人足 但し壱人ニ付五十文宛
代七百五十文
〆
午四月廿五日 西猪谷御関所橋本作七郎
御郡御役所 吉村茂兵衛
右頭取伊林嘉右衛門殿江も申上置候上、田村・飯嶋江右
書付相渡し、尤御番所損し所修覆向者持分ニ而出来ニ付、
代銭申上、畳表替并人足之義者、此度頭取御越ニ付、申
上書付指出候
一 加賀沢村之領内道普請、百三拾両斗之御図りニて、加
賀沢村等江被仰付候よし、尤地方之人、金屋之人等相雇
候て、午五月五日頃取かゝり候由
〔猪谷 橋本良通氏所蔵文書〕
一 安政五午年二月廿五日大地震其後三月十日立山湯川
等ゟ出水ニ而御本家様御領当御領御田地人家并用水等
大損ニ付田植付六ケ敷今迠立遅間瀬口川大田用水等御
普請被仰付水上ケ植付ニ取かゝり最中之処同四月廿六
日湯川之留リ水五六ケ所有之所ゟ出水ニ付泥水押出し
御田地等大損川縁リ村々人家流失夥敷富山御領も常願
寺川ゟ切込大太（田カ）用水御普請出来之処所々ゟ切込村々流
失鼬川江入込河水江一面ニ泥押出し御田地も不残損し夫
ゟ柳川稲荷町泥押出し人家江押入事夥敷流失之家も有
之富山大橋ゟ鼬川橋も不残落失いたし夫ゟ□田村江泥
押出し御田地人家一面泥ニ相成候事
御本家様御領
常願寺川荒川亦江川筋
百弐十壱ケ村泥込但村々流失家潰家泥入石砂入都合
千五百軒余
御田地等莫大之変損且人馬之異変も有之候得共未々
調理中之事
右者当御役所ゟ御支配を以東岩瀬御役所江御聞合也
一 新庄人家夥敷流失水はし宿迠泥水押出
一 新庄之人申聞ニ者此節岩瀬御役所御調理ニ付書上人死
千四百六十人斗之由
一 出水ニ付あれ地当御領御田地二万六千石余ニもおよひ候よし御支配
堀氏等ゟ噺し有之事
大殿様当分
御本丸江被遊 御住居候此段承知同列中江被申談組支
配之面々江も奉存□江伝達承知候様可被申渡之由
午五月□日 戸田青海
花木初弥殿
野村宮助殿
一 御本家様此節出水之砌大場御普請所江村々ゟ参り居候人足三
百人斗流レ候由ニて今ニ人々帰宅不致右之内漸々三人
□（遅、カ）相帰リ申由
一 出水後新庄辺江御蔵米出候て弐百石斗東岩瀬御蔵ゟ
御廻候之事
一 壱人ニ男五合女三合宛御やしなへ之事
一 飛驒中道通り者三百両斗ニ而夫々引受道普請ニ取かゝり候由東道筋西道も江戸御役人元〆川嶋□六地役人等
見廻り追々道出来之事
一 地震ニ付午二月下旬ゟ当口東筋不通路ニ付さかな笠
荷薬荷等不残八尾江持出し野積谷通り切詰御関所江相
向飛州六ツ谷通り角川江為相向申之事
一 立山地震後煙之様ニ白キ立あがり之事
一 飛刕西往来角川迠之村々両谷共潰家村々ニおゐて夥
敷死人飛驒山中筋ニて弐百人余之書上之由西山中は寺
院も五六寺斗潰訳而□谷沢長久寺者山崩にて寺押潰和
尚小僧共ニ堂之下タニ相成被相果申候事飛驒山中之間
□々山迯ニ而人死多し尤角川者人家之損多し中道通り
は死人少々之よし両茂住漆山等は人家相損し田地も過
半損し船津高山古川者格別之損所者無之由申候
一 富山御城下者人家之潰少々有之候得共士蔵くらハ不
残土落し大損ニて其節左官土持人足多用之由
一 御殿廻り者余程相損し候由
一 八尾も潰家余程有之土蔵不残相損し加賀大正寺越前
之府中迠相損し候よし
一 地震後立山之湯之川嶽ゟ山抜ケニ而川留り候処其後
出水ニ而当御領加州所領御田地過分ニ相損御領分も大
□出水間瀬口等大損しニ付早々御見分之上過重御物入
ニ而御普請出来之処又々四月廿六日昼八ツ時頃ニ山迯に
て留り居候出水いたし当所領内も所々ゟ切込鼬川東通
り在々所々土ろ水ニ而打ながし清（河、カ）水江かゝり夫ゟ同大田
村不残相流レ申候事御城下者柳川稲荷町人家土ろ入込
ニ而相流レ人死も在之末タ何程共も数不知候事
御本家様御領者新庄通り水橋迠御田地人家相損し申候
事
（注、一項ミセケチ省略）
一 同八月廿二日夜七ッ時頃之地震ニ付御城下等ニ而者土蔵
壁等相損し候よし二月之大地震ゟ八月迠時々地震有之
事
一 土用前ゟ四十日余相続大雨降り候而地震ニ而損し場者
折々大抜ニて神通川出水泥水七月迠やむ事なし
一 安政五午年四月廿六日常願寺川出水ニ付御田地等変
損ニ相成 御本家様江御領東岩瀬江一件聞合参り左之通
常願寺川荒川亦江川筋百弐拾壱ケ村泥込但村々流失潰
家泥入石砂入候家等及注進候処都合千五百軒余御田地
に莫大之変損且人馬之異変有之候得共未タ調理中ニ付
巨細之儀未タ難相知候㕝
一 東岩瀬御郡所下附之内岩田甚一（カ）郎ニ逢対仕此度出水
に付山々留り居候向皆々押出候哉未タ留り居候向も有
之哉問合候処左之通
一 前月廿六日出水ニて山々ニ留り居候泥水押出候得共
□（最、カ）一ケ月ハ未タ相留り其村々ゟ注進ニおよひ就右山方
之㕝故山廻り被相進（カ）右溜之処見請取調理参り候様御達
ニ相成只今登山致居候旨申聞候川筋村々のもの何時出
水致候哉与恐ろしさの儘山之手之村江立退候之由相
聞得（ママ）居候心者此義者御郡所ゟ之御達ニ而ハ無之只自身
〳〵ニて立退候由ニ御座候
一 狩込池之辺ニ相当り弐里斗□（沢カ）も煙リ相立候旨注進ニ
およひ候ニ付夫々役人を以御取調理被相成候得共其辺
鳴音高く地響致候ニ付其辺ゟも行兼候ニ付前ゟ難見受
候旨及注進候
一 水橋水戸尻之上ニて大きなる渕出来候間家抔舞込候
旨ニ而最此辺ニハ家建難相成旨注進および候故右場所見
分之義被申渡ニ付則ち私共も罷越申候御取調理ニ相成
候処深サ三拾丈斗も有之誠ニ口ニも難逑ニ御座候右ニ付
金府表ゟも御雇ニ相成申候ニ付近々彼表ゟも御見分有
之与申事ニ御座候尤右場所御普請方川除等出来ニ而も甚
タ防方六ケ敷様子ニ御座候
常願寺川ニ而流失村々
弐拾八ケ村 大田組 家数六百軒斗
四拾壱ケ村 嶋組 同 七百軒斗
拾 八ケ村 高野組 同 百六拾四軒斗
弐拾一ケ村 高野（ママ）組 同 百四拾七軒斗
西水橋四十九軒
〆百八ケ村 〆千六百六拾軒斗
富山御領十八ケ村
三月十日高野組流失村数
百廿八軒 外組不知
飛刕西山中筋損し場所小豆沢村御番所御門倒在家半潰
土蔵大損し山抜ニて川溜り各所田地夥敷損し杉原屋数
弐十壱軒之処五軒丸潰レ五人即死怪我人数多桑ケ谷拾
壱軒之処壱軒潰レ死人四人怪我人有之土蔵納屋等潰レ
申候すの谷鮎飛両村十壱ケ（ママ）軒之処五軒潰弐軒焼失四人
死ス田地山ぬけニ而四歩斗相損し根（祢宜ノコトカ）ケ沢十四軒之処四
軒潰レ即死弐人山抜ニ而長久寺押潰レ和尚小僧弐人死田
地山抜ニ而替（皆、カ）々相損し大難義之事丸山五軒有之処向江山
ぬけ打かぶり家人共ニ不残滅し忍村家数六拾軒余之処
不残潰レ即死拾九人牛馬廿七匹死又禅寺五防（ママ）等潰レ角
川辺も夥敷相損し潰家死人有之中道東通りハ茂住丸潰
レ三四軒跡半潰レ銀山家柱等折り半潰レ土蔵納屋ハ大
損之事漆山家半分斗ハ丸潰レ跡半潰之跡追々又潰レ
漸々二三軒相残り死人怪家数多一軒焼失いたし跡津川
夥敷損し死人等も有之候得とも略之舟津土蔵等相損し
候而已
飛刕震災いたみ所
吉城郡下高原郷 拾六ケ村
同郡 小嶋郷 拾八ケ村
同郡 小たかり郷 廿三ケ村
大野郡白川郷 拾三ケ村
〆七拾ケ村
高三千四百九拾三石五升
家数千弐百廿七軒
此人別八千四百五拾六人
潰家 七百九軒 此内埋家流失焼失之分有之
即死 弐百三人
けが人 四拾五人
牛 六拾四疋
馬 三十三疋