[未校訂]二日小雨午後雖雨歇天不晴夜貝原ニ行下駄ニ而尤傘ハ不
携気候暖なり四比地震ゆり出候間直ニ三徳大小取外ニ懸
出す□御門内ニ立不被居にけ廻り居る内車御門の方より
烟の如くにて目口ニ入◎る御門より少東ニよりて火事と
見へ打上△地志ん少折合候処にて貝原にて袴借用直ニ上
の段の両締之道に来れば御獵場之方の屛側御殿側之土蔵
瓦土共ニ落たり
◎それ是と驚入処に追々人集り戸板畳なと携出けり△
中♠火の見下に来れば御金蔵も道ニ倒かゝり石垣の石ハ
大潰にて道ニ転出す此近処に住居の面々御右筆御組外其
外段々と馳出たる体にて櫛指したる人なしか(カ)く各うろた
へにてありける余ハ安永加藤幾太夫ゟ西の廣みに立居候
□ゆへ一口話致直ニ御殿に行ける例の詰処人もミへさり
しゆへ御鈴の口ニ行
上は何くに御座候や向への上の段を□不然ハ何か某只今
御機嫌伺に罷出候間御案内可被下旨申候へは老女壱人案
内にて大奥通り上の段にゆく大奥女中の面々萬歳楽と呼
び南無阿弥陀佛を唱へ鳴ものもあり人の名を叫ふもあり
女中の背におわれるもあり憐なる事ともなり扨上之処に
寝衣なりニ罷出それより四日迠ハ片時も御側を不離御築
山に御供申上候へハ地震未折合ゆり居候へとも始の震ニ
比れば軽し東北の方より西之方□(ヨゴレ)連綿として火事紅炎焼
天(以下略)
廿三日 夜半長震