[未校訂]嘉永七年六月十五の暁、大地震によりて家たふれ、横死
者五百九拾五人におよへるを、國君深くこれをあはれひ
給ひて、國民あまたの金米をたまはり、且死者追善のた
め、同年七月國内諸宗の寺院におほせて、此所において
大施餓鬼を行はせたまへり。その法会と君恩のありがた
きを群衆の諸人と共に感涙の袖をしぼりて、なき魂も世
にある人もかくまでの深き惠にうかはぬはなしとなんよ
めり。猶其跡に法華経八巻をおさめ、塔をたてゝ供養を
なし一周忌を營し也。
功徳主上行寺義孝院日長敬白
安政二乙卯六月 同志 廣岡文四郎保興
森川六右衛門吉比
橋井亦兵衛定祥
廣岡文四郎保惠
同志補助 菊輪茂助好之
福田彦平保廣