[未校訂](端裏書)河野弥右衛門曽而膝下を辞而ゟ未奉伺御安否誠ニ失至多罪千死難□
候へ共真平御免被下致候然処此度不計天□之大地震御当
地之様子を□に承るに震動前日ゟも火事有之候由未□聴
候得共霞ヶ関震崩之風聞承リ候間御屋敷ハ如何安心なり
難く若不難に有之候ハヽ大慶之至ニ御座候たとへ無難ニ
有之候とも御消魄ハ如何程か難斗奉愁察候小子ハ当時武
州崎玉郡北川原中村長三良と申す名主の宅に逗留夜分ハ
佐伝之指□抔大きに被愛(カ)又仕合にハ居りまする近辺ハ震
動も随分つよく候ヘ共蔵の壁ハ落候位にて収り候小子斗
先無事にて気之毒に御座候ヘ共災幸ハ天のなす所と御あ
きらめ可被遊猶又□郷の方ハ如何不安心被存候依之御配
奉之御ひまも有之候ハヽ一寸安与否の二字斗りも御認御
贈被下度偏に奉希候猶又小子遊暦(ママ)中の事柄も後信委敷奉
申上候先々一寸奉伺御案否候匆々
頓首
初冬四日黄昏認む
泰嶽
杏庵先生机下
(後略)