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項目 内容
ID J2700616
西暦(綱文)
(グレゴリオ暦)
1751/05/21
和暦 寛延四年四月二十六日
綱文 宝暦元年四月二十六日(一七五一・五・二一)〔高田・越後西部〕
書名 〔大潟町史自然編歴史編〕大潟町史編さん委員会編S63・5・30 大潟町発行
本文
[未校訂] これによって、寛延三年から自普請による五か年計画
の潟川浚渫工事が進められた。ところが、二年目の寛延
四(一七五一、この年十月二十七日改元、宝暦元年となる)
年四月二十五日八ツ時(午前二時ごろ)、未曽有の大地震
が起こって、せっかくの浚渫工事一年分はまたたく間に
水泡に帰してしまった。この地震は、まだ改元前で寛延
の年号を称していた時期だが、一般に「宝暦地震」、ある
いは大きな断崖が崩れて悲惨な被害を受けた西頸城郡名
立町の名をとって「名立崩れ」とも呼ばれている。
 この地震により、今町(直江津)では死者四七人、怪我
人三九人、家数八七〇軒のうち潰家三二一軒、半潰家三
八四軒という被害が出ている。当地の被害は具体的には
分からないが、当地を含む設楽長兵衛川浦代官所管内で
は潰家一四五四軒、半潰家一四〇八軒、死馬三八疋で死
者の記録はない。また、高田藩家中の死者六六人、高田
町死者二九二人で、高田城も大破している。さらに西頸
城方面では、
 西浜がうず(郷津)、む志ゆ(虫生)、おつ立(追立)、
有馬(間)川山ぬけ、名立の泊り不残海之中江弐拾丁余つき
出シ、人馬皆ながら埋死申候、其外くわどり(桑取)谷
之内、西よしを(吉尾)村一ケ村不残埋死
(『新潟県史』資斜編6所収「越後大地震記録」)
と記され(以上の地震諸記録は『新潟県史』資料編6によ
る)、全滅に近い名立[小泊|こどまり]の集落八一軒が、背後の山から
崩落した土砂に埋まり、四二八人が死亡した。記録に残
っている範囲では、頸城地方の近世から現代に至る間の
最大の震災である。
 このような激甚な震災であったから、そうでなくても
もろい潟川の水路が一挙に崩れ埋まってしまったのは想
像に難くない。
 このため五か年季の潟川浚渫工事は、
[未|ひつじ](寛延四年)四月下旬大変大地震にて、右落堀両江丸
[震|ゆ]れ崩れ、川筋相埋り、悉く水抜け差滞り、又々[未|ひつじ]夏
中[浚|さら]い並びに川岸抜け入り候処、切り上げ候えども、
大地震にて百姓残らず居宅[震|ゆ]れ崩れ候に付き、[屋作|かさく]等
にて、丈夫の普請出来[仕|つかまつ]らず、[申|さる]年(宝暦二)は江丸出
入りに付き御裁許相済み申さざる内は普請仕り[間敷|まじ]く
の段仰せ渡され、春中普請仕らず、夏普請仕り候故、
所々落ち込み多く、川水引払い申さず故、浚い方も[宜|よ]
く出来申さず、御田地水湛に[罷|まか]り成り、御定免等破免
になし下され候
(前掲、笠原家文書)
という次第で、年季五か年目の宝暦四(一七五四)年にな
っても潟川の排水機能を回復することは到底できなかっ
た。
 右の状態だから、この間も収穫は皆無である。収穫が
無いのだから、工事期間中の年貢減免措置として低額に
抑えた五か年平均定免の年貢すら上納不可能で、[破免|はめん]と
なった。破免とは、定額の課税率を軽減することである。
この場合、徴収不能、全額免除に近い措置がとられたこ
とであろう。
 [去酉|さるとり](宝暦三)の春より当春(宝暦四)迄、浚普請仕り
候えども、[凡|およ]そ七千間余の長丁場、別っして大地震以
来、高岸三千間余の所、所々抜け入り多く、江丸際よ
り両方、畑地、萱原等、地面割れ抜け候に付き、川岸
抜け下り、普請所多く相なり、其上、字[日中|にっちゅう](大潟町大字潟
守新田字日中。頸城村下中島の対岸、大潟町飛地)と申す処、西面[兀|ごつ]砂原に御座候
に付き、風毎に砂吹き込み、川筋相埋り、殊に日中よ
り下、保倉川落合迄三千間の所、両江丸[狭|せばま]り、委細、
当春[浚|さら]いの節、御出役御手代様御覧遊ばされ候通り、
浚砂残らず江丸上へ取り[揚|あ]げ候義なり難く、[川内|かわのうち]、中
段等にも附け置き候故、風雨毎に、残らず揚げ砂川中
へ流れ落ち候故、年々際限これなく普請所に罷りなり、
百姓出精の甲斐も御座無く、当年(宝暦四)も大潟新田
御田地水湛に罷りなり、過半損亡出来迷惑至極に存じ
奉り候
(前掲、笠原家文書)
 右の史料に、延享四年の大洪水、寛延四年の大地震と
いう連続した災害に蹂躪された大潟農民の苦悩・苦闘の
有様がよく表れている。
出典 日本の歴史地震史料 拾遺 別巻
ページ 950
備考 本文欄に[未校訂]が付されているものは、史料集を高精度OCRで等でテキスト化した結果であり、研究者による校訂を経ていないテキストです。信頼性の低い史料や記述が含まれている場合があります。
都道府県 新潟
市区町村 大潟【参考】歴史的行政区域データセットβ版でみる

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