[未校訂]一、八〇四
文化 元
甲子
六月四日夜十時ごろ、鳥海山を挾んだ
庄内北部と秋田県南部にわたる日本海
沿岸で大地震が発生する。震源に近い
遊佐郷の被害が特に甚大で、死亡者一
○九人にのぼる。地震による液状湧出
水が多数認められる。「庄内大地震の
変」によると、遊佐郷・荒瀬郷の倒壊
家屋の有様は「編笠のふせたる如く、
人馬死すること数を知らず」と記され
ている。酒田の被害は亀ケ崎城大破、
大手橋二つに折れる。城代宅・家中屋
敷・町奉行所・足軽屋敷を始め、酒田
市中の町家・寺院など全半壊家屋一千
軒を越す。焼失家屋二十三軒、死亡者
十六人、内二人は焼死による。
六月十二、十六、二十七日川北洪水、
田畑泥海と化す。
八月本間家は大地震による自家の罹災
も顧みず、三千両を提供して被災者の
救済に当たる。秋田の亀田・本荘両藩
に対しても、夫食貸しや震災援助金を
提供する。 ぶじき