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項目 内容
ID J2500724
西暦(綱文)
(グレゴリオ暦)
1855/11/11
和暦 安政二年十月二日
綱文 安政二年十月二日(一八五五・一一・一一)〔江戸及び近郊〕
書名 〔諸書抜〕○江戸盛岡市中央公民館
本文
[未校訂] 一十月十一日於江戸表去ル二日夜四ッ時頃大地震ニ而
御上屋敷御殿不残潰れ候テ長屋通も相潰れ御近辺ゟ出火
有之御屋敷よりも出火ニ付御上屋鋪不残御焼失相成大守
様無御障御下屋鋪江御立除御安全ニ被為入候尤御下屋鋪
も一棟相潰れ候得共大守様光樹院様無御障被成御座候外
無御別条御上屋敷詰合之内ニは多分は立除其内怪俄人も
有之哉ニ候得共未治定も相分兼候段申来之
一是ゟ先 上御婚礼の期十一月に有り依而大奥向御普請之
為残らず取払ひにて新造の御普請有り此時既に三ッ二通
り柱建有り此故に御側向ニハ御住居なりかたく仮りに御
近習頭席を以テ常の御座とす此夜四ッ時突然として大地
を衝超し其勢ひ身を投屠らるゝの如し且圧倒の響大雷の
落たる如し忽ち御殿并御長屋一時に圧倒の屋上に各揚て
上の所在を尋ぬ時に上御茶道田鎖元茶壱人從て震を避出
んとして大廊下に至て圧下に伏し御家老戸来官左衛門の
軍役戸来某御側御用人米田武兵軍役北川千代治幽に圧の
下の聲を聞て初て上の所在を知りて呼集め官左衛門武兵
御家老花輪徳之助御側御用人戸来又兵衛同葛巻三郎左衛
門同奥寺八左衛門其外大小御役人等此所ニ馳集りて此時
御家老楢山佐渡曰屋瓦投除候に大小の材木縱横錯雑して
容易に上を救ふ事を得ず時に大小の余震猶頻りに震ひ来
る是に重るに傍に火起る且隣北条矦邸の火災亦覆来る依
て御作事所へ人を馳て鋸切を以て乱材を剪断然れども小
鋸ニて大材を挽く事なればはか〴〵しからず群臣心をあ
せれども外術なし漸々方壱尺六七寸に切貫き帯を下して
是に縋り給ふて昇らせ給ふ小壁の土をかぶらせ給ふて見
奉るべき様もなき御有様ながら御恙なき□尤井を掘るが
如くにて辛ふじて救ひ奉る群臣御傷所のなきを見て一先
大ニ歓ふ此時又朽木矦邸の火近く餘炎頻に及ぶ又公邸も
三四ヶ所ゟ火起る此時既に御台所の火熾に燃邸中火四方
に延焼す漸くにて官左衛門徳之助等御供にて東御門ゟ避
給ふ御馬にて路次又雑踏して從臣等大ニ心労す麻布御下
屋敷へいらせられ大小もなけれは御大小は官左衛門御火
事羽織は徳之助より是を奉る武兵は邸中に残りて諸事を
下知す此時御納戸嶋川融機戸田内膳太夫下斗米小六当番
にて御側に在て圧死す下斗米小六面部腰間を撲れて四五
日を経て死す時に御草履とてもなければ御陸尺負奉り(
中奥御小姓常雨迫八
負奉るは変なり
)御馬場ゟ佐渡徳之助官左衛門外御用
人等皆々御供す即死之もの拾人程也又上掘り奉ると引続
き御小姓下斗米知幾御茶道簗田春嘉出来りぬ此先に御医
師後藤尚古は屋根の破れより出来たれり此三人御伽番に
て在しか地震を避けんとて御居間書院と仮御居間の間廊
下迠走り給ふ時大材上より落て避給ふべき道なし此大材
の端幸に御陳長持にかゝりて其透間に上と下斗米伏居せ
られしとぞ春嘉は少し離れ居りしか這なから御炉の火燃
んとするを消し居たると云公邸火熾んにして余震猶止ず
此騒劇に依而公庫の什器は云に及ばず御武器御供道具并
群臣の衣類雑具掃然として悉く焼亡す暁に至て火鎮り震
止む此時実は火公邸より起るといへども先に隣邸の火延
焼に依て終に御類焼の事に御届済也麻布の方は桜田辺に
比すれば甚しからずといへども公邸又中長屋壱棟圧倒す
上麻布邸に入らせられより冨士見御殿御書院を仮御居間
とす時に御家老中より御用人諸役人御番配り出来ざれば
三四日の間御殿に居れり勿論昼夜大小の余震幾度となく
震来れば常に火事羽織を着して壱人も睡眠に就者なし光
樹院様上への御介抱より飲食薪水の事迠も至らざる處な
く上御家老御用人御近習廻りまて縞紬木綿壱反宛裏共綿
壱純金弐両又はきせる煙草入の類に至りて各其差有り下
は奴隷に至る迠普く賜物有り人皆其御徳を仰がざるなし
一御留守居加嶋加禄御目付目時隆之進等御上屋敷ニ残リ御
用人米田武兵と謀り跡の取計ひいたし御小納戸出崎嫡子
遊座五郎八も圧死せり常□三田村弥左衛門養子大次郎父
の出ざりしを救わんと再び入て倶に死せり家内も不残圧
死す唯娘は其夜他へ行しに依り残れりと云御徒并下々又
傷を被りて四五日過ぎて死者も有り然れ共他邸に比すれ
は死亡少しと云
一南部丹波寺(麴町半蔵御門外川岸傍ニ屋敷有)屋鋪ハ大
破に至らざれとも壊崩せす唯居住なりかたし
(注、盛岡市中央公民館藏〔安政二乙卯記〕にはさんであった一枚文書はこれの下書きらしい。省略する)
出典 新収日本地震史料 続補遺 別巻
ページ 1077
備考 本文欄に[未校訂]が付されているものは、史料集を高精度OCRで等でテキスト化した結果であり、研究者による校訂を経ていないテキストです。信頼性の低い史料や記述が含まれている場合があります。
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版面画像(東京大学地震研究所図書室所蔵)

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