地震史料集テキストデータベース

[未校訂]宝永地震之記当安政元寅年迄百四十八年ニ成
一宝永四丁亥年十月十四日（ママ）午未之間にて、地震仕舞候（カ）て、（カ）大
浪所々に込入候て、浦々不残人家夥敷傷ミ、其外道筋三尺
斗破、山分ハ山石崩れ、地震の後ハ井戸泉共水切ニ相成、
諸人難儀ニ及ふ事筆紙ニ難尽、漸々翌年二月大雨ふりて水
出来、よろこふ事無限、大変之時破損死人・過人荒増左之
通、尤此年大日照也
一流家　壱万千六百六拾七軒
右之内
百九軒役家蔵共　四十八軒船家
五千百十七軒□方（郷カ）　五千八百拾七軒浦々
七拾五軒　寺社
一潰家　四千八百六拾四軒
一破損家　千七百四拾弐軒
一損田　四万千百七拾石
一亡所浦　六拾壱ケ所　尤半亡所数不知
一死人　千八百四拾四人　内
男五百六拾壱人
女千弐百八拾三人
一過人　弐百五拾九人　内
男八拾九人
女百七拾人
一流失米　弐万八千弐百四拾石
一濡米　壱万六千七百六拾四石
右地震翌年二月迄震不止、初程つよき震ハなく毎日六度斗
つゝ大筒を打如く響也、初の程ハ鳴度々地震する事不止、津
浪入候節は高智も在郷も皆山へ〳〵と迯登り、昼夜篝を焚、
三・四日山中に住居する、大坂表も地震にて死人夥敷と申事
也、富士山も両三日焼るといふ、十一月廿六日灰降也、十二
月三日平地ニ五・六寸程砂降積也、同年十月頃ゟ諸所江蚊柱
立、尤翌正月の頃迄山□松（カ）の空三間・四間程立し也