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項目 内容
ID J2204032
西暦(綱文)
(グレゴリオ暦)
1819/08/02
和暦 文政二年六月十二日
綱文 文政二年六月十二日(一八一九・八・二)〔美濃・尾張・伊勢・近江・大和・京都〕
書名 〔阿岸本誓寺文書〕能登阿岸
本文
[未校訂]「地震の被害ならびに
天子・公家の
御動行を知らせて
きた書翰(江戸末期)
□当年別してきひしく
□其御地ハ如何の事に候哉□
御用心〳〵あそばし候様にと、呉〳〵も存まいらせ候
此うちなから□御座候やうに御子供御一統へもよろしく〳〵ゑつとのへ
も別段よろしく〳〵
□内、其後ハ
御申伝へ戴度趣ニ候、此地ニても右の地震せつ
誠に〳〵御遠(カ)々敷事に御座候
まづ〳〵家来一とう家中に御座候分□候分も壱人も
まつ〳〵その御地ニても
怪我人も御座なく、此段乍憚存御心易願上まいらせ候
其御所様ニもいよ〳〵御(カ)麗
其御地ハ地震如何の御事に□哉□
成らせられ候御事御めて度存まいらせ候
委しく伺度ゑつ殿□じしんなども御座候よし
猶又、委しく御様子□
承りまいらせ候、右所ハ火事家も御座候よし
□八月十四日夜丑刻頃に
其地はかゝの御事御座候哉御あんじ入まいらせ候まゝ
寝入候所、誠に〳〵大地震ニて
御席ニ御きかせ戴度願候、八代ニてもあら〳〵
早々庭へ出候てまた〳〵卯刻過ニ
かべをちまいらせ候て、今に院内へも参り申さず
夜分の節ニハきびしき〳〵
少し怪我いたし困り入候、しかし格別の
地震ニて院内皆々大破損顚倒
事にてハ御座なく候まゝ、御あんじハ
築地廻りハ残らず崩れ
御無用と願上まいらせ候、何も〳〵
たおれ、十五日俄に庭へ仮屋
荒〳〵申上まいらせ候、いつもまゝ出来八勢
日々それより七八度も、十五日朝の
麁末なから其御所様へ御もくろくごらんに入候へとも
地震のやうには御座なく候へとも
此度ハ右の仕合ニて都合あしく候まゝ、うちハ
ゆり候ゆえ六月中ハかり屋に
ばかり御らんニ入候、猶又札かみどふり御伝への段
居り候、奈良町中も皆々
ひとへに□く願上候万々めて度かしく
家大破損顚倒致し、怪我人
死人も数多く数ぞへがたく、右の次第ニて
九こん抔々売申さず、諸色
あきない申さず候まゝ、諸人殊ニ
困りまいらせ候、此方ニも顚倒致し候所ニ御座候
香物へやも顚倒致し候まゝ
梅干斗りニて半月余り、上も下も
右の品にて食事致しまいらせ候
米九こん抔ハ中〳〵喰候事出来申さず
誠に〳〵前代未聞の事に御座候
漸々七月朔日頃より少し志づまりまいらせ候
しかしなから二度斗りやハり
地震ゆりまいらせ候て、誠に〳〵此度ハ
命はかり助りまいらせ候事ニ御座候
奈良より一里程南ニ古市と
申所藤堂の領分御座候、是に
藤堂の役所御座候、此役人の家内
ミこも里ニてうたれ、漸々家
二三げん斗り残り、あとハ皆々
顚倒致し怪我人死人数
沢山の事ニ御座候、東海道筋も
大地震の跡大火大水出まいらせ候よし
ぜん所抔ハ城も海へ少し斗り
顚倒のよし、誠に〳〵此度ハ
国〳〵あれまいらせ候、江戸ハ異国船ニて
さわがしく諸大名も大物入のよし
京都ハ地震ハ格別の事ニハ
御座なくよし、此度地震に付
九条様里方ゟ御使下り相尋ね候へは
さほどの事御座なくまいらせ候、しかしながら
上様ハ卯刻頃ニ近衛家へ御たちのきのよし
しかし早々おさまり候ゆえ
午刻過ニ桂宮へ還幸のよし鳥渡之
大さわきの趣に御座候
一四月六日ニは午刻芝御殿より火出まいらせ候て
定て御聞ニあそばし候御事と存まいらせ候
御所向残らす、御焼失ニて此地ヘハ
留主居より六時切之飛脚ニて相知らせまいらせ候て
酉刻ニ承り、誠に〳〵大驚き〳〵まいらせ候
直ニ春日様へ京都
上様ニも御怪我あらせられぬやうにと社参
御祈禱一山へ申付まいらせ候て、私事ハ
御機嫌窺に上京致しまいらせ候て、九条様里方も
参り候へは、御一統御怪我ハあらせられず
附向一統も無事のよし、先〳〵御互ニ
御めて度まいらせ存候、二条家方へ
天子ハ下鴨へ御立のきニ相成
准后様御事ハ二条家へ鳥渡之御立のきニて
直ニ下鴨へ罷成まいらせ候御様子ニて、里方ハ
誠に〳〵大混雑のよしニ御座候
申刻ニ聖護院宮へ
天子様准后様小宮様遷幸に
あらせられ、十日斗り御同所ニ成らせられ
夫より、近年桂宮ふしん新く
御座候ゆえ佳(ママ)宮へ又々十五日遷幸ニ相成
御造営相済候迄、佳宮に仮皇居の
御様子にあらせられまいらせ候、誠に〳〵京都
大さわきの事に御座候、私事ハ久〳〵にて
二尊院へ参詣致しまいらせ候へは、道筋誠に〳〵
哀れなる事ニ御座候、御築地内の
御立のき御里つはあの御所も
御座候よし、委しく御咄し申上度候へとも
筆紙に尽しかたく定て色々の
風聞も御聞しあそばし候御事と存、
当地大地震ニて大昆(混)乱ニて
ゆる〳〵認めかたく、荒〳〵申上まいらせ候
猶又跡ゟ委しく御咄申上べしと
別義筆ありニ付急きまいらせ候ゆへ
落字大乱筆よろしく御推□可成候
偏ニ〳〵願上まいらせ候
万々
めて度かしく
出典 新収日本地震史料 補遺
ページ 678
備考 本文欄に[未校訂]が付されているものは、史料集を高精度OCRで等でテキスト化した結果であり、研究者による校訂を経ていないテキストです。信頼性の低い史料や記述が含まれている場合があります。
都道府県 石川
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