地震史料集テキストデータベース

[未校訂]（表紙）
「弘化四年
地震数控覚
未三月廿三日　」
弘化四年
未三月廿四日之晩四ツ時ニ―大地震
△飯山宿御城町家共
○善光寺寺々町家共
火水1山中拾里之内松代城家
○稲荷山宿口八幡辺相潰れ候処其上大火赤きほし之印也川中
嶋大水ニ而流候事小市村始り小松原丹波嶋宿本陣ゟ上は皆
流松代様御触ニは潰れ家壱万軒土蔵長物置八百軒其内ニ而
死人火焼水死共合三千人と□□候其外善光寺領不知飯山不
知稲荷山相不別松本御城家下之田野中ニ青気火出候事但し
壱升蒔斗り之内と申候ニ候〔弘化四丁未年三月廿四日信州大地震往来通筋村々書留〕地震研究所・石本文庫
（前略）
弘化四丁未年三月廿四日戌下刻頃
信州大地震往来通筋村々書留
越後分
大谷村
三月廿四日夜大地震ニ付右村家数廿八軒有之候処に御座候其
内拾四軒山岸にて土中江埋死人六拾人内拾弐人掘出し残り四
拾八人掘出事不叶其儘空敷捨置候と承申候
信州
野尻宿
家数百軒程の宿御座候処内七拾軒皆潰に相成跡三拾軒半潰の
立家有之候
同
柏原宿
家数百弐拾軒程の宿に御座候内三拾八軒皆潰相成跡九拾弐軒
半潰立家御座候死人拾八人有之寺の儀は御堂は痛候得共潰不
申地内庫裏皆潰相成候
同
古間宿
家数百軒程の駅に御座候内八拾六軒皆潰に相成拾六間半潰立
家有之但死人三拾人有之候
同
落蔭村
家数三拾六軒の村に御座候内廿八軒皆潰に相成残八軒家潰家
立御座候
同
小玉村
家数七拾五軒の村に御座候内六拾七軒皆潰跡八軒半潰立家有
之候
同
牟礼宿
家数百六拾軒の宿に御座候皆潰其内徳満寺と申寺御堂の義は
其儘に御座候其外四ケ寺相立申候称念寺と申寺潰申候宿内死
人の義は旅人とも百六拾人と承申候
同
平出村
家数百軒程の村に御座候内拾八軒皆潰に相成候跡は半潰立家
御座候尤死人は無之
同
吉むら
家数百八軒の村に御座候内五拾軒程裏の方鬼岩と申処所々山
抜けいたし其下の方に廿間程の滝有之其滝土手抜四丁程押出
し右五拾軒家土の下に相成土中にて助け呉候様の声聞え候得
共何分其所江行□けんといたし候へとも泥にて不叶空敷相果
候と承申候誠に山抜け等いたし候様成処に無御座平成山に御
座候殊に潰家より山迄の間壱町程有之奇伐の事に候
同
多子村
家数五拾軒の村に有之潰家廿三軒半潰廿七軒立家有之候死人
十三人と承申候
新町宿
右宿内潰家死人等無之由
吉田村
右村皆潰に御座候善教寺と申寺其儘に御座候其隣寺天照院と
申禅宗之寺三月廿三日ゟ受界有之受者弐百人程有之候処寺潰
皆死と申事に候
善光寺
御堂并山門経堂鐘堂其儘に有之大勧進も所々痛候得共皆潰に
は無之唯今普請最中に御座候其外塔中并町中大半皆潰之上出
火死人は凡弐万人或は壱万三四千人と承り候怪我人数不知尤
祢西寺浄念寺西念寺かり屋堂四ケ寺は相残候其余新田と申処
相残申候
岡田村
右之村は善光寺ゟ西南に当り候其村の地内凡畑五六反畝程の
処五尺程高く持揚け夫ゟ北之方に当り五月山と申処石等切出
し候山に御座候其山凡長五丈程さけ峯拾五間程かたけ候由誠
に不思議成事に候其場所江私も参候て一見いたし候前代見聞
の事に候其外長兵衛と申百姓家壱軒三四尺地行ゟ上江突上け
申候
犀川水湛の次第
水大湛之場所村数凡廿七ケ村申事候其水当四月十三日に八分
程抜出し其節川水除ケ役人松代ゟ恩田安芸と申候人十三日に
至り人足五百人御召連被成候右人足御役人江申上候は今日は
此場所危く相成候間御立除可被成様になと申上候得共役人聞
入不申其内大水抜出し右御役人は不及申五百人之人足等水に
押流川縁に有之嶋笹川小市の両村都合弐百軒も御座候処不残
押流れ申候夫ゟ川中嶋村々大方相流れ仕付致し候麦并綿作等
一向役に立不申畑中江弐間三間も有之候石等所々江押出し水
瀬早き処は一円川と相成候凡水押に相成候村々百三十ケ村と
承候猶又小市之下筋立ケ鼻と申処南方山にて川筋狭夫故水も
大湛に相成候飯山之水押は不相知松代領死人三万七百人の書
上けに御座候由公儀ゟ御金下り候よし承り申候
飯山
飯山御城壱丈程下江減込死人御家中在町とも弐千人余死馬弐
百五拾六疋と申事に御座候
公儀ゟ御金下り候と承候
右御城減込候義同所の人江能々承り候処全御城減込候には
無之御城下突揚り候と被答存候是迄川中嶋水増候節は御城
下江水押等も有之候処此度は極大水に有之候得共水難は無
之候左候得は却て突上り候位の事に候
稲荷山宿
右宿内家皆潰の上不残焼失死人六百人程其内旅人三百人も
有之候と申事に候
右通筋荒増如斯に候得共其外近郷村々は相知れ不申と申事に候