[未校訂]浜田地震
明治五年(一八七二)三月十四日(旧二月六日)に起つ
た大地震。
震源地は高島沖海底とされ、浜田市街を初め、東は簸川
郡西は美濃郡まで波及した上下動。
勃発前約一ケ月から陸、海上、海底(大雪、鳴動、空焼)
の異変があり、当時の知識としては、唯薄気味悪く感じ、
恟々とするばかり。
震動は当日午后四時四十分頃から、ひつきりなしの激動
約三十分間、その後も継続した。最初の分で市内大方の建
物は倒壊し、出火し、其の惨状は名状すべくもない。
余震は三四ケ月経ても尚安定せぬ地方もあり、日々大小
二三十回宛震動した。この地震は明治以来我国最初の大地
震で、而かも彼の酒田の陸羽、濃尾に次ぐものである。
⑴ 各地の被害状況
地域
石見五郡
那賀郡
浜田町
種別
戸数
記録
五七、四八六
二〇、〇一四
一、七三一
記憶
四四、五一七
一六、九一六
一、八八一
倒潰戸数
記録
四、二七九
二、四九一
六三五
記憶
一、六六三
一、一六六
六三〇
倒潰百分比
記録
七
一二
三三
記憶
三
七
三四
半倒潰戸数
記録
五、四二九
二、三九六
二一〇
記憶
四、五二五
二、〇七四
二五一
死者数
記録
五三七
二七七
九七
記憶
三八二
二四三
一五五
負傷者数
記録
五七四
三七八
二〇一
記憶
五二六
三五六
─
記録は県庁調査、記憶は各町村に於ける記録又は記憶によ
るもの。
⑵ 浜田町に於ける倒潰家屋数及び百分比
区分
総戸数
全潰
半壊
全潰百分比
潰壊方向
清水町
一〇四
二四
一五
二三
不明
若宮町
八七
九
─
一〇
東
大元町
五四
六
一一
一〇
不明
錦町
五〇
二〇
─
四〇
〃
新町
一三五
六五
四
四七
東
田町
六七
三二
三八
四八
不定
牛市町
八二
四四
二八
五四
東
松原町
二一八
五七
二三
五四
西
蛭子町
五九
一三
─
二六
南東
紺屋町
一四六
六九
五
四四
不明
片庭町
七〇
六四
─
四八
東
辻町
五〇
二二
─
二二
〃
計(その他を含む)
一八八〇
六三〇
二五一
三四
東