地震史料集テキストデータベース

[未校訂]天保四巳年十月二六日大地震
天保四巳年十月廿六日、大地震被害文化の劇震に亜（つ）ぐ
（砂越村来迎寺筆記）天保四巳年
十月廿六日癸亥日前夜ゟ俄に温かに成り外に居候ものハ
折ふしあつき風吹きて蒸物の息にあたるか如くすへて女
性なとハ心地なやましき様ニ申候ニ未の中刻に至りて大
地震程なく両度少々ツゝハ五六日の間也、此辺ハ文化元
甲子年六月四日の夜の地震ゟハ少し弱き様に思ひたれと
も痛みたる処一様ならす砂越市三郎・飛鳥助次郎家潰れ
る、尤弐軒共危きまての古家なりし酒田河岸通新井田川
伝へ町々に水打上け加茂を始めすへて海辺にてハ津波と
申候、沖の方ハ波三四丈も有らんと覚敷立上りて打寄引
波にて浦々家いたみ船共も引取られたる由いかなる事に
や六月、九月、十月同じ廿六日にかゝる変災のありしこ
と不審しける
（家蔵文書）
一潰家　桶屋町支配千日堂脇　弐軒　一半潰家　壱軒
一痛屋　十七軒
一大痛家　今町支配同断　三軒　一痛家　十六軒
一大痛家　肴町三軒　一痛家　四軒
一大痛家　台町支配高野浜　壱軒　一痛土蔵　檜物町壱ツ
惣家数合四十七軒
内潰家　弐軒　同半潰家　壱軒
同大痛家　七軒　同痛家　三十七軒
外ニ痛土蔵　壱ツ
一川船大痛　六艘
一川船中痛　四艘　一無玉船大痛　壱艘
一猟船流失　弐艘　一同大痛　八艘
一同痛　五艘
一高野浜渡船流失　壱艘　一渡守仮小屋流失　壱ツ
一船場町外レ水除出シ之内川前大痛操込之内三間余痛
一御米置場御高札別条無御座候
外ニ　潰土蔵　山形御蔵
右は当廿六日地震ニ付潰家土蔵并痛川船猟船渡船等調書
如此御座候　以上
巳十月　渡辺隼人
栗林信右衛門
二木英次郎
鐙谷惣右衛門
上林勇右衛門
覚
一潰家　上内町弐軒　一大痛家　七軒　一痛家　八軒
一大痛土蔵　弐ツ
一潰家　細肴町壱軒　一潰土蔵　壱
一半潰家　元米屋町壱軒　一大痛家　壱軒
一痛家鷹町壱軒　一大痛土蔵壱ツ　一大痛土蔵　外之町壱ツ
一潰家新片町弐軒　一半潰家　壱軒　一大痛家　八軒
一痛家　四軒　一潰土蔵　弐ツ　一大痛土蔵　五ツ
一痛土蔵　九ツ　一潰家浜畑壱軒
惣家数合六拾四軒
内拾軒　潰家　同三軒　半潰家
同三十六軒　大痛家　同十五軒　痛家
惣土蔵数合三拾三
内五ツ　潰土蔵　同十五　大痛土蔵
内十三　痛土蔵
外ニ
大痛家壱軒潰小屋壱ツ本間源十郎殿大痛土蔵壱ツ佐竹弥右衛門痛家壱軒　新関亥八郎
大痛家壱軒　杉原竹治郎　痛家壱軒　村上喜太夫
右は当廿六日地震ニ付内町組潰痛家土蔵調書如斯ニ御座
候　以上
巳十月　斎藤半内
佐竹弥右衛門
伊東弥伝太
覚
一大痛家　米屋町八軒　一痛屋　拾壱軒
一潰家　八軒町六軒　一潰土蔵　弐ツ　一半潰家拾壱軒
一大痛家四十二軒　一痛家三十四軒　一痛土蔵　七ツ
一潰家　山王堂町六軒　一半潰家　四軒　一大痛家十五軒
一痛家　三十四軒　一痛土蔵　五ツ　一潰小屋　壱ツ
一潰家　荒瀬町弐軒　一半潰家　壱軒　一大痛家　六軒
一痛家　十八軒　一痛土蔵　八ツ
一潰土蔵　近江町三ツ　一大痛家廿九軒　一痛家　廿壱軒
一痛土蔵　十三
一潰家　筑後町六軒　一潰土蔵　三ツ　一半潰家　三軒
一大痛家四拾五軒　一痛家五十一軒　一痛土蔵　十四
惣家数合三百五拾四軒
内弐拾軒　潰家　同弐拾軒　半潰家
内百四十五軒　大痛家　同百六拾九軒　痛家
惣土蔵数合五十四
内八ツ　潰土蔵
同四拾六　大痛
外ニ痛家壱軒　野附七郎兵衛　痛家壱軒　池田吉兵衛
痛家壱軒　新関丹治　大痛家壱軒　村上久蔵
痛土蔵三ツ　斎藤仁兵衛　痛家　外ニ痛土蔵壱ツ社人斎藤大隅
痛家壱軒　修験行蔵坊
痛家壱軒　外ニ痛土蔵三ツ藤井伊兵衛　外ニ痛土蔵壱ツ同小屋壱ツ大町組痛屋壱軒　角右衛門
御蔵番痛小屋荒瀬平田弐ツ
右は当廿六日地震ニ付米屋町組潰痛家土蔵調書如斯ニ御
座候　以上
巳十月　池田吉兵衛
野附七郎兵衛
佐竹弥右衛門