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項目 内容
ID J0801565
西暦(綱文)
(グレゴリオ暦)
1718/08/22
和暦 享保三年七月二十六日
綱文 享保三年七月二十六日(一七一八・八・二二)〔信濃〕羽前・越後・江戸・遠江・京都・奈良・名古屋
書名 〔飯田地方の地震と防災 一〕○伊那
本文
[未校訂]飯田地方の被害
 飯田城下の長久寺の唐門が潰れ、城中も損所多かった。
飯田市上川路開善寺の過去帳によると、一名埋没死してい
る。役用古記録抄帳によると、飯田領分中で死者一二人で
潰家三五〇軒余半潰五八〇軒余と記されており、飯田地方
の被害甚大であったことが明白である。
 郡内では遠山地方の被害が最も甚だしかった。信濃の南
端和田宿のすぐ後に盛平山(森平山とも書く)があり、盛平
山西方の一角が忽ち崩れ落ち、夥しい土砂、岩塊を押出し、
遠山川を堰きとめ、同時に主峰から分離した出山を現出し
た。(現在の南信濃村、和田小学校のすぐ北東方に聳ゆる
小峰である)堰き止められた遠山川は漫々たる湖水となっ
て一時に決壊し、濁流は滔々と西方に溢流し、一夜のうち
に広い河原を作り、それが今の夜川瀬部落となった。
役用古記録抄帳には次のように記されている。
一享保三年戊戌七月廿六日、八ッ時過大地震七町ニ而、潰
家四拾弐軒、半潰八拾軒長屋四軒本潰、池田町金右衛門
妹年四才ノ書上ハ六才池田町甚五郎家潰相果申候、御領
分中、潰家三百五拾軒余、半潰五百八拾軒余、人拾弐
人、死馬六疋之由。
西筋ハ波合より此筋奥ハ吉田辺迄大潰。下筋ハ青崩より
尾刕、三州、上筋江戸筋少々ゆり、別条無之由、当所御
本丸御城内家中、町方夥敷ゆり申候。
一自身番昼弐人、辻堅メ壱人、夜六人ツッ番所辻堅メ相勤
申候、あんとう家並ニ出ス。八月五日より御免。自身番
昼弐人、夜三人箕瀬口辻堅弐人、七町より勤、愛宕坂口
六町ニ而勤、奥口馬場口、伝馬町、桜町より勤大工ハ御
領分ハ
公儀へ他所大工御免被成候、右大工之宿書付普請奉行衆
へ八月九日差申上候。
(役用古記録抄帳より引写したもの 飯田図書館にあ
り)
この地震により南の三河の佐太村大谷までの間で五〇人余
が死亡
和田宿の片町家で五人が茶摘みに出かけていたが落下する
大岩石の下敷になって圧死し、その供養塔が残っている。
平岡村遠山実氏文書(享保三戌八月)に「去る七月二六日
大地震にて御番屋、石垣共建家共悉震潰し、山崩にて押埋
申候」これは享保三年七月二六日の大地震のため、満島
御番屋悉く倒壊したる上、山崩にて押しつぶされ且つ番所
の職権を示すために立てゝ置く、三ッ道具(衝棒、刺又、
そでがらみ)まで折れ損じたから、その再建、再造を時の
代官都筑藤十郎に出願した書面の写下である。
和田村竜渕寺過去帳に「享保三戌七月二六日地震にて寺
大破、石橋不用致、雨落之石ニ用之也、八尺間石橋大町
鎌倉小左衛門建之」
和田村竜渕寺過去帳 同時客殿建立奉加帳 熊谷家伝記等
によると、この地震は享保三年七月二六日午後二時から三
時の間に起ったもので、和田付近が最も強く、出山をつく
り、遠山川氾濫により夜川瀬部落を作り、以後その流路は
かわり、寺の本堂は大破、人畜、家屋被害多く、飯田地方
に及んだ事明らかである。(伊那谷の災害と凶作より)
和田村片町国吉氏文書によれば、享保三年七月二六日の大
地震で被害を受け、山崩れ、押し埋めたところを開墾した
けれど、年々土砂が押出してきてこまるから、年貢を減ら
してほしいと要望している。
遠山郷片町文書(和田村片町国吉氏文書)
乍恐書付を以奉願上候
私扣地之内、高拾弐石三斗四升四合目、去ル四拾八年以前
戌年七月大地震にて、山落仕押埋候ニ付其ノ節御願申上候
所引方被仰付難有奉存候、然ル所其節場所宜敷所起立候積
ニ而右之内三石八斗八升四合目残高ニ仕置候間、其後起立
候所ニ大風雨之節ハ石砂押出シ、作毛押埋候得共、石砂除
仕候得バ、他ノ田地江亦(ママ)候間致方無御座、年々物入多ク難
儀至極仕候、依之拾弐年余御年貢弁納仕候ニ付甚困窮仕此
上御年貢上納可仕手立無御座候間、無是非奉願上候、御見分
被成下御慈悲ニ引方被仰付被下置候ハハ難有奉存候 以上
明和二年酉十一月
信州伊奈郡 和田村
願人 兵次郎
大草太郎左衛門
上中関御役所

右兵次郎奉願上候通相違無御座候御見分被成下御引方被仰
付被下置候様私共一同奉願上候 以上
酉十一月 和田村 名主
弥太郎
*歴史年号で逆算すると七年となる
出典 新収日本地震史料 第3巻
ページ 155
備考 本文欄に[未校訂]が付されているものは、史料集を高精度OCRで等でテキスト化した結果であり、研究者による校訂を経ていないテキストです。信頼性の低い史料や記述が含まれている場合があります。
都道府県 長野
市区町村 飯田【参考】歴史的行政区域データセットβ版でみる

版面画像(東京大学地震研究所図書室所蔵)

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