地震史料集テキストデータベース

[未校訂]（老人より聞きたるまゝの筆記）
一、西の方向よりいる。
一、當地方の最も激動せしは初回とも云ひ又三回目とも云
ふ。
一、振動期間　約一ケ月間徴動あり。
一、當地方の激振せし以前何も振動を認めず。
一、激震當日の日中炎天烈しかつたと。
一、太陽の色赤色を帶ぶ。
一、北なる山脈崩壞して見る影なき區域、天生より保木林迄
小鳥川の下流約二里強。
一、元田荒町の向山倒壞せしため小鳥川「イカバル」上流約
十五六丁。
一、右「イカバリ」て少しづゝ流れ落ちたる時、翌日の七ツ
時（今の午前四時）より始む。
一、激震當時は歩行困難なりき。
一、奇しくも荒町に於て權平の娘おな女の助かりしは此女、
月ケ瀨に嫁し離緣して天生にありし故なり。（後益田人と結
婚して高山町に在りて死す）（（權平及清藏は或は先祖の名を襲用せ
るか又は實父の名を話されしならむ））此女の子今尚在生中なる
も何も當時の事を不知。