地震史料集テキストデータベース
[未校訂]御代官高木清左エ門より、地震之儀再
御届書、
去月晦日御届申上候、私御代官所、当分御預り所
、信濃国高井郡、水内郡村々之儀、去月廿四日夜
大地震、異変之始末、御届申上候後、震止不申
今以折々振動致し、晝夜十四五度づつ震立、尤间
には強事も有之候间、村々共恐怖致、後取片付は
勿論、農業之心付も無之、周章立騒罷在候間、安
堵仕候様、私并手附手代共、村々相廻、精々利解
申聞、耕作手後れ不相成様為致候、且去月廿七日、
眞田信濃守家來より掛合越候は、右大地震にて、
北国往還丹波島村渡船場より、凡貮里半程川上、
同人領分平林村地内、字虚空蔵山、凡二十町程之
処、山拔崩、犀川へ押出埋立、川中を〆切候に付、
流水を止め、水湛、当時、川上平地へ水開居候へ
共、湛溜切候はゞ、自然と押埋候〆切場所、水力
にて押崩可申、其節如何様之洪水可相成哉、気遣
敷、支配所千曲川縁村々、心得置候様、申越候儀
も有之、右故、当時千曲川、平水より七八尺減水
いたし居、川筋村村心配致、山添高場へ立退居、
悲歎罷在候、切開候はゞ、如何可有之哉、数日湛
溜候を、一時に押流し候はゞ、又候水災之異変出
来可申と殊外人気不穏、心配仕候、地震之儀は、
最早相止可申哉に奉存候、依之此段御届申上候、
以上、
未四月四日 高木清左エ門
北国往還牟礼宿外三ヶ所宿、大地震にて、継立
指支候趣、御届書、
覚
一村高千三百六十七石九斗三升八合
信州水内郡牟礼宿、
一家数百八十九軒、
一潰家百八十九軒、皆潰、内十軒、焼失、
一死失男女八十八人、外死馬十五疋、死牛二疋、
一村高三百九十八石六斗五升貮合四勺、
同州同郡大古間宿、
一家数百九軒、
一潰家百七軒、
一死失男女十六人、外死馬十三疋
一村高千三百六十五石九斗 同州同郡柏原宿、
一家数貮百七十四軒、
一潰家百五十四軒、
一死失男女三十八人、外死馬十五疋、
一村高九百四十八石貮斗三升八合、同州同郡野尻
宿、
一家数三百三十三軒、
一潰家百四十三軒、
一死失男女十七人、外死馬十四疋、
右は、私御代官所、信州水内郡北国往還牟礼宿、
外三ヶ宿之儀、当三月廿四日夜戌の中刻頃より、
翌廿五日亥上刻迄、前代未聞之大地震にて、書面
之通、家居皆潰に相成、牟礼宿之儀は、潰家に相
成候後、及出火、焼失家出来、人、牛、馬、即死
多、怪我人夥敷、宿内及亡所候に付、御朱印、御
證文之外、人馬継立出来不申候旨、届出候间、早
速為見聞、手代差出申候、委細之儀は、追て可申
上候得共、先此段御届申上候、
未四月 高木清左エ門
御勘定所