地震史料集テキストデータベース

文政十一年十一月十二日、越後国長岡辺大地震
越後国三条より返翰之写し、
御見舞御状相届、早速御返事差上可申処、延引仕、如仰追追向寒之砌御座候得共、其御表無御別条、扠此度当所大地震為御尋、松魚一箱、御恵投被成下、御深切之段、添存候、扠霜月十二日朝五ツ時頃より、夥数致震動、大地震ゆり出し、夢中にて、家内表裏〓這出し、居宅土蔵、微塵に相成候上、近辺〓出火にて、一時之煙と相成、脊骨肩（膝カ）腰頭等うたれ候人々、中には目鼻口〓血を吐ながら、遁れ出んと、狂気の如く苦み堪果、手負死人其数不知、何れも逃出し、行先地面割、砂を吹上、老若男女とも足を挟み、泥水を吹出し、往来成兼、風は烈敷、其上火之粉を吹立、火煙を冠り、東西南北へ逃行、恐敷事、前代未聞之事に御座候、村上、新発田、与坂、長岡、村松、桑名、会津、高崎、其外御領之御陣屋、御旗本衆、思々に御手当被成下、難有事に御座候、空曇り、雪降出し、寒気相増候故、小（●）陰も無之、たたずみ候事も成兼、追々風吹凌事あたはず、目も不当次第に御座候、下拙家内は不申及、親類共迄怪我人一人も無御座候、御安心可被下候、御見舞松魚、各為配当、御蔭様にて元気相増、御深慮之段、不浅難有奉存上候、先荒増御返事旁奉申上候、いづれ出府之砌、万々御礼可相述、早々如此御座候、恐惶謹言、