地震史料集テキストデータベース

（元禄十六年）
一、十一月廿二日、丑刻大地震、百七十年以来無之事ト云、或説ニ越後高田地震以来ノ大地震トナリ、霍ヨリ電光強ク、地震ノ後丑ノ半刻ヨリ星落飛テ暁ニ至ル、辰己ノ方雷光ノ如ク折々光アリ
地震ノ前ニ地鳴ルコト雷ノ如シ、大ユリハ三度、小ユリハ数不知、凡一時ノ中ニ三、四十度震ク
老中ヲ始メ諸将士早速登城 御城廻所々御破損并大名屋敷破損大、如左
雉子橋御門　同内御蔵、大番所、箱番所ツフレ、足軽二人・中間一人死、其外少々怪我アリ
小石川御門　塀ヒツミ、壁落
牛込御門　　塀クツレ、壁ヲツル
市谷御門　　塀崩、石垣少クツル
筋違橋御門　大番所後ノ塀損シ、石垣崩ル
浅草橋御門　大番所後ノ塀損、石垣クツロク
常盤橋御門　御門少々損シ、大番所ツフレ掛リ、塀・石垣崩ル
呉服橋御門　御門少シ損シ、土手石垣塀崩ル
竹橋御門　　舛形ノ箱番所ツフレ、御多門ヒツム、御門外張番所ヒツム
吹上御門　　北ノ方石垣崩レ、塀損、壁所々落
内竹橋口　　御番所別儀ナシ
北之丸口　　塀石垣クツル
清水御門　　石垣クツレ、所々破損
一ツ橋御門　舛形ノ内箱番所潰レ、壁落、塀崩ル
神田橋御門　舛形ノ内箱番所ツフル
平川口御門　御門外塀不残倒ル
和田倉御門　大番所、箱番所ツフレ、中間死人七人、怪我人十二人
馬場先御門　大番所、箱番所ツフレ、中間一人死、一人怪我、御門外御堀南方石垣五、六間崩ル
鍜冶橋御門　所々壁落
数寄屋橋御門　塀四、五間崩ル
山下御門　　箱番所ツフル
半蔵御門　　塀崩レ、石垣損シ、大番所少シ損
赤坂御門　　石垣崩レ、塀崩レ、壁落
田安御門　　渡リ櫓壁落、石垣崩、惣壁損ス
外桜田御門　御番東土塀四、五間崩レ、其外壁瓦所々損ス
虎之御門　　壁瓦所々損ス
幸橋御門　　同断
日比谷御門　大番所ツフレ、并土塀不残倒レ、当番土方市正徒目付一人、小人二人、又者一人怪我イタシ大切、其外足軽四人怪我
内桜田御門　大番所ツフレ、所々壁落、牧野駿河守家来死人・怪我アリ
追手御門　　所々壁瓦落
御城所々御櫓多門瓦壁落、石垣崩レ、或孕ム、別シテ西ノ丸大破損ニ見ヘタリ
右御門近辺道筋ノ屋敷、略左ニ記ス
、御役屋敷塀、長屋等クツル、小川杢左衛門　　外長屋ツフレ　吉田意安
外向塀損ス　　　小笠原平兵衛　　　　門、長ヤ損シ　佐野信濃守
塀損　　　　　　永井荘左衛門　　　　同　　　　大久保弥右衛門
居宅ツフレ　　　中根次郎左衛門　　　同　　　　朝倉藤十郎
、外長屋ツフレ、居宅半ツフレ、舟橋宗廸　　長ヤ没シ　鵜殿十郎左衛門
、塀損、居宅、半ツフレ、蜂屋主計　　　　門、塀ツフレ　大沢主膳
ねリ塀崩レ　　中山主馬、長ヤ居宅、共ニ損ス、三枝日向守
、長屋少塀、ツフス、三好勘之丞　　　長ヤ損ス　　　溝口摂津守
同　　　　　　加藤伝八郎、外塀、本、宅共損ス、大久保甚兵衛
長屋損　　　　星合伊左衛門　　　　　塀、本宅損ス　前場久三郎
長屋小損　　　高木九介、長屋、屋、宅共損ス、石原勘左衛門
、長屋少、ツフレ、日下部三十郎　　　同　　　　酒井作左衛門
長ヤクツレ　　大森三次郎　　　　　　長ヤ少損　久貝因幡守
長屋、塀損　　室賀源太郎　　　　　　長ヤ壁少損　　屋代越中守
塀、長ヤ損　　平岡吉左衛門　　　　　壁、長ヤ少損　榊原式部大輔
外面土蔵少損　長谷川甚兵衛、外面長ヤ潰シ、、塀少損シ、山中喜兵衛
外面石垣損　　河村谷七郎　　　　　　外面塀少損　森川紀伊守
同　　　　　　笹山甚左衛門　　　　　塀少損ス　東条信濃守
外土蔵クツレ　曲淵市兵衛　　　　　　門并長ヤツフレ　中島民部
外石垣少損　　丸度勘左衛門　　　　　塀損、尾州衆　渡辺新左衛門
塀クツレ　　　柳瀬甚八郎　　　　　　同　　　　藤川荘右衛門
御舂屋　御長屋半分余クツレ　　　　長屋、土蔵崩　木下平三郎
土蔵塀損　　　大沢右衛門佐　　　　　土塀クツレ　松平伊豆守
土塀少クツレ　　伊奈半左衛門　　　　塀クツレ　黒川与兵衛
、長屋少し、、同長屋大破、秋元但馬守　　　長屋大破　松平肥後守
同　　　　　青山伊賀守、表向少、内長、ヤ居宅大破、阿部豊後守
同　　　　　松平伊賀守　　長ヤ壁落　稲葉丹後守
練塀クツレ　　溝口信濃守、長ヤ壁落、、クツレ、斉藤帯刀御役屋敷
、表長屋、瓦塀、腰板等損ス、伊東出雲守　　同　　　　松平大膳大夫
、東長ヤ倒レ出火、廿間、余焼失、圧死焚死有、甲府殿　　　　同　　　　秋田信濃守
、表口通玄関中長ヤ内、鐙家潰レ、其外大破、青山播磨守　　水戸殿、屋敷并八重姫君御守殿、、中将殿御部や破損共有、
所々大破　　　木下右衛門大夫、内長ヤ不残ユカミ、、塀・土蔵ツフル、柳生備前守
、表長ヤ并蔵、瓦所々大破、松平薩摩守　　同　　　　松平筑後守
表長ヤ壁落　　阿部対馬守、北表長ヤ、番所、三十間ホト倒ル、本多中務大輔
、表長ヤ瓦落、、并壁破、鍋島紀伊守　　同　　　　井上大和守
、表長屋壁、、瓦土塀損、亀井隠岐守、表長ヤ腰板塀腰共、落、内長ヤ大破、大久保隠岐守
右ハ外ヨリ見エル処斗ナリ、此外諸大名ノ居館、或別屋敷、又ハ小家屋倒、壁落ル、家並也、殊本所辺潰家多シ 桜田辺ヤヨスカシ、其外御堀端、芝新堀端、本所辺川近キ所ハ地大ニ破裂ス 相州、房州、上総不残地震、武州モ北ノ方ハ少シ弱キ由 相州小田原、今夜八つ時大地震ニ付出火
本丸御殿不残崩レ類火、天守崩類火
二之丸屋敷不残崩レ類火、三之丸侍屋敷不残潰レ、内五軒類火、本丸、二之丸、三之丸櫓門、橋塀、石垣共崩ル、外廓、侍屋敷不残潰レ、内十九軒類火、城廻リ外廓共ニ堀不残埋ル、往還町屋不残潰レ、其後四百八十四間類失、御高札類失
城付武具・馬具損シ、或ハ土蔵ニ入置焼失、自分ノ武具・馬具不残焼失
潰家　足軽家不残潰レ、六十四軒ハ焼失
府内寺社山伏潰家四十二軒、内五ケ寺焼失
郷中潰家六千三百四十一軒、内八軒焼失
同寺社潰家三百三十七軒
箱根町潰家四十七軒
駿州領分郷中潰家八百三十六軒、同寺社潰家十九軒
豆州領分潰家四百七十六軒、同寺社潰家九軒
死人　侍十九人、小役人四人、歩士九人、足軽十三人、家中ノ召仕男廿一人、同下女八十六人、城下町男女六百五十一人、内、男三百八十九人、女三百六十二人、、旅人男女四十人、内男三十八人、女二人、
寺社、出家二人、女二人、
相州郷中男女七百四十六人、内、男四百七十三人、女二百七十三人、
同寺社男女十八人、内、出家十人、男、四人、女四人、
箱根町男女十八人
駿州領分郷中男女三十七人、内、男廿一人、女十六人、
豆州領分男女六百三十九人、内、男三百四十六人、女三百九十三人、
同寺社、出家二人、男女二人、
殞牛馬、馬十五疋、内、伝馬九疋、家中馬、四疋、通リ馬二疋、
相州郷中馬七十九匹、牛一疋
箱根町伝馬三十六疋
駿州領分郷中馬三疋
豆州領分郷中馬六疋
惣合潰家八千七軒、内、三百七、軒寺社、、其外城中侍足軽城下町員数不知、不残潰家、内五百六十三軒焼失
死人二千三百九十一人、内、男千百廿六人、女千百廿九人、、出家十四人、
、私云、小田原領ノ死亡数不知、小田原ノ町ハカリモ二千人斗モ、アルトイヘリ、地震間モナク家居潰ル、人馬大分屋ニ打レシ由、
潰馬百三十九疋、牛一疋
、私曰、早速町へ御城主ヨリ馬ヲ求ヘントテ、金四百両一疋ニ十二両、宛賜ル、然レトモ当分馬次相勉カタキヨシ、 箱根御関所御番所、湖水ノ方ヘ七、八寸程傾キ、其外所々破損ノ由 根府川御番所、所々破損シ、構ノ石垣并柵木不残崩ル 小田原ヨリ箱根境目マテ道筋、所々ニ大石転ヒ落、馬ノ通路ナシ、別シテ湯本茶屋村ヨリ須雲川マテノ所々道欠山崩レ、大石コロヒ出、馬ノ通路ハ申ニ及ハス、歩行荷モ漸持越候、須雲川、観音沢ト云所ハ山上ヨリ土落、地震後十四、五日ノ間ハ地震ノ度々少宛石并土落候、箱根道所々ニ落候石、大キナルハ長サ七、八尺、横五、六尺程宛ノ石モ、数多見ヘタリ 豆州領分片浦辺ハ大波打アケ、家潰候ニ付、死亡多シトナリ 当分箱根御関所ヨリ湯本迄ノ間、通路ナラス 足柄道、豆州道、其外郷中道筋大破、奥山辺ハ大分山クツル由
小田原往還町中水道崩埋マリ、其ノ幅八、九尺ホト、川ノ如ク町中水流
、私曰、城主ヨリ早速、金子賜り、修複シ水治ム、 小田原領温泉、湯本村、五坪ノ内一坪破損
塔沢村、十三坪ノ内三坪破損、五坪湯道違
底倉村、廿四坪ノ内廿二坪破損、右ノ内堂ケ島四坪ノ内二坪破損
木賀、五坪ノ内四坪破損
芦ノ湯、三坪不残湯道石垣崩ル 小田原領浦々船トモ方々へ流行、破船知ル分
廻船七艘、天当船四十四艘、ハシ船十一艘、丸木船六艘、合六十八艘、此外行衛不知
或説ニ小田原領米穀焼失、波ニ衣レ渇命ニ及フ処ニ米穀ノ用ル人、是ヲ憐ミ江戸へ達シテハ数日延引ニ及フ候咎ニ逢ヒ、命ヲ失フトモ、此時ヲ延スヘカラストテ倉ヲ開キ、用米ヲ出シ、村々へ配り与フ、城主是ヲ聞シメ称美シ、我命ヲ惜マス民ヲ早速救フコト右ノ身ヲ殺シ仁ヲナスト云ハ是ナルヘシトイヘリ、時ノ人君臣トモ威賞シケリ、以上小田原ノ事 東海道筋、川崎ヨリ箱根マテ多潰家アリ、別シテ戸塚ヨリ小田原マテハ不残破壊セリ、然ルニ梅沢村ハカリ一軒モ倒レス、人皆アヤシム 長崎奉行、石尾阿波守役所ニ今朝江戸発足シ赴ク処ニ、相州戸塚ノ駅ニ旅宿シケルニ地震、家崩レ、家来八人死、廿八人怪我、依之廿四日ニ江戸ニ帰ル 牧野備前守領分相州原大町在家大形崩レ、内六十軒焼失、死人五十九人、死馬二疋 房州小湊誕生寺、大地震大浪ニテ小湊村在家二百七十軒程、并市川村在家三百軒程、何方へ流レタルカ相見ヘス、門前ノ人百人程死、相残ル者モ渇命ニ及フ、寺中六坊浪ニ取レ、末寺妙蓮寺ハ客殿ハカリ残り、外ハ皆不見 房州御領御代官樋口久兵衛、長狭郡平塚村ノ内、大山ト云不動山、、御朱、印地、、地震ニテ不動堂西ノ方へ五、六尺程ユリ割、杉ノ立木ユリ込候、峰岡山ト云野馬場、長三巻余、峰続キノ処、峰ノ内所々へ三、四尺、或五、六尺ツヽユリワリ候 朝夷郡千倉ト云浦辺ヨリ、平郡・安房郡浦方、地震津浪ノ後、潮ノ差引ナクハ九丁、或ハ半里、一里ホトモ干潟ニナリ候由、民屋潰家、人馬死亡不知 安房、上総御領、地震津浪ニ逢候御代官所
清野与右衛門、樋口又兵衛、雨宮勘兵衛、比企長左衛門、河原清兵衛　右支配所
家員二千八百四十四軒、男女死亡四百六十五人、殞馬六十四疋、殞牛廿三疋、船三百六十一艘 武州之内　今井九右衛門御代官所、百姓家押潰レ亡所ニ成、居所無之百姓四百六十九人、死人十人 上総国夷隅郡御宿辺、村々地震津浪ニテ民屋潰レ、或ハ流失、尤津浪ノ処ハ家財、穀物、舟網トモニ流失、村々田畑砂押入、川欠山崩レ、津浪ハ廿七年以前ノ浪ヨリ二丈余高シトナリ、潰家四百四十軒、死亡廿余人、殞牛馬各一疋宛 京極対馬守領、房州長狭郡・朝夷郡内二千石十一ケ村、地震津浪ニテ潰家六百八十七軒、高百四十石余永荒、四十二人死、内廿八人浪ニ取ル、死馬二十七疋 凡近国今夜地震津浪ニテ直ニ相知レ申分
潰家二万百六十二軒、死人五千二百三十三人、死牛馬五百七疋 一、廿三日、曇、今日モ地震止ス、夜中マテ百余度、今朝七ツ半、光り物東ヨリ西ニ飛、今夜巽ノ方電光ノ如ク通夜光ル
地震ニ付所々破損、惣奉行被仰付
紅葉山、上野、増上寺　老中　阿部豊後守、若年寄　井上大和守
御城中　老中　秋元但馬守、若年寄　稲垣対馬守 一、廿四日、曇、時々地震、暮方ヨリ雨強ク降、申ノ下刻ヨリ辰己ノ方ニ電ノ如ク、夜中不止 一、廿五日、曇、未刻ヨリ風、終日地震少宛、暮過光り物東南ノ間ヨリ西ニ至ル、巽ノ方電光如先夜
火付改被　仰付、御先手　佐野与八郎
去ル十八日、鶴姫君御守殿類焼ニ付、今日西ノ丸へ当分御移徒
地震ニ付日光へ　上使、御使、番、松田善右衛門、今朝辰刻帰府、日光ハ先年地震ヨリ軽ク、御宮・御堂安全、石垣灯篭一ケ所モ不損由、時服三拝領
駿府城中、久野山　御宮無恙由
今日、御破損御修覆役人被　仰付
御宮・御堂ノ方　小普請御奉行　間宮所左衛門
小普請方　福王西左衛門、同　坂部宗左衛門、同　伊藤新右衛門
御城廻り御作事奉行　松平伝兵衛、大島伊勢守
御普請奉行　甲斐荘喜右衛門、水野権十郎
小普請奉行　布施長門守、小普請方　遠山善次郎、同　永田半介、同　竹田藤右衛門、
同　竹村権左衛門 一、廿六日、晴天、終日少々地震、暮ヨリ少シ風、戌ノ半刻余程地震、其後少宛震、夜中巽ノ方光り物同前
今日火消六人被　仰付、出火ノ節ハ御左図ヲ不待、罷出防可申由
脇坂淡路守、亀井隠岐守、堀左京亮、松平隼人正、京極縫殿、松平長八
被仰出
覚
強地震之節ハ御番所并相詰候席々明候ても不苦候間、もより之御庭ヘ遠慮なく可罷出候、此上心得違にて、座席ニ罷有、怪我仕候ハヽ、無調法に可被　思召候
右之段、堅可被申付旨被　仰出候、以上
月日
酉中刻、新大橋際井上伊織出火、牧野八太夫類火 一、廿七日、曇、今ニ折々地震、申刻ヨリ巽光り物同前
御譜代大名六人寄場被　仰付
馬場先御門外　酒井左衛門尉　　神田橋外　　　榊原式部少輔
一ツ橋ノ外　　本多能登守　　外桜田御門外　板倉周防守
田安御門外　　板倉甲斐守　　常盤橋外　　　松平対馬守
今度地震ニ付、御城廻リ所々御破損有之、シマリモ不宜候間、御普請中、若出火等出来候節ハ、御城近辺へ向寄次第相詰罷有、得差図可相勉旨、被仰出之
、右ノ衆、寄場へ被出節、、潜ニ武具ヲ持サルノ由、
今度地震ニ付、於上方天下ノ御祈祷被仰付、上方・江戸大社・大寺ニテ各祈祷被　仰付
今度地震、京都ハ震申サス、少斗ノ由 一、廿八日、晴、今日モ地震不止、申下刻ヨリ巽ノ方光物同前
今日、御城廻御修覆御手伝被仰付衆七人
松平大膳大夫、藤堂大学頭、立花飛騨守、丹羽五郎三郎、戸沢上総介、加藤遠江守、
稲葉能登守
右於御城被仰付諸事、秋元但馬守ヘ可相窺由
小田原大地震ニ付、大久保隠岐守在所へ御暇 一、廿九日、水戸殿築山仮小屋ヨリ出火、表門通り長屋并鳶坂ノ方、長屋計リ少残リ御殿等不残焼ル
類焼　松平筑後守　春日町不残、但北角十、軒程残ル、
小栗長右衛門　　三宅備前守　　牧野周防守
松平斎宮　　石川備中守、但表門、斗残ル、
石丸頼母　　安藤筑後守
御茶ノ水真木河岸不残火消井上頼母役屋敷
聖堂湯島不残　　神田明神地内不残
島田丹波守　　日根野九郎兵衛　　堺野六右衛門
前田帯刀　　大岡次左衛門与力同心不残
猪飼次郎兵衛組小人不残　　御弓町不残　　本郷
湯島六町不残　　甲府殿附平岡団右衛門
大森三次郎、与力、同心、不残　　松平半左衛門、与力、同心、不残
、水戸殿、家老、鈴木石見守　　松浦武兵衛与力同心不残
小笠原十右衛門、与力、同心、不残　　佐藤八郎右衛門
服部百介　　中村弥右衛門　　薬師寺　　興安寺
本生寺　　松永寺　　近藤源左衛門同心不残
石原市左衛門与力同心不残　　野原六右衛門
太田林庵　　服部友益　　草賀作左衛門
石野八兵衛与力同心不残　　松浦左兵衛
土田大膳　　水野式部　　町野惣右衛門
神保太郎左衛門　　建部源太郎　　久永丹波守
倉橋惣十郎　　右ノ横三町余
丸山菊坂町　竪三町横一町余　　本妙寺
長泉寺　　丸山梨木坂　　黒柳介九郎組小人不残
竪三町横一町余　　本郷町屋六町不残
松平加賀守　　近藤光之介　　喜福寺　　真光寺
御駕篭町不残　　竪横三町余　　森川宿追分
本多中務、裏門ヨリ六間程、内長屋小見ユ、佐野与八郎与力、同心十四、軒不残、
伴野与惣兵衛　　井飼次郎兵衛組小人不残
水戸殿中屋敷御殿斗残り家中不残
小笠原信濃守中屋敷北ノ方半分残ル
願行寺本堂斗り残り、寺中皆焼、是ニ火留ル、竪五町横一町余
下谷無縁坂　　松平飛騨守
松平大蔵　　興安寺　　片町二丁計　　天沢寺、表門、残ル、
切通シ　　根生院　　坂入半平　　佐山荘左衛門
関口道隆　　前田源左衛門　　稲留喜八郎
浅井勘兵衛　　市屋不残　　天神門前通四丁斗
覚源比丘残ル　　妻恋稲荷　　下谷池ノ端
茅町三町　　松光院　　七軒町　　真光院　　常円寺
宗源寺　　永松寺　　覚昌寺　　遠円寺　　大正寺
京橋兵部　　正慶寺　　長円寺　　妙鏡寺
浅井七右衛門　　内藤伝左衛門　　大竜寺
林昌院　　平岡織部　　是マテ七間町ノ内
松平藤九郎　　松平飛騨　　御用屋敷
甲府殿、但小屋長、ヤ少残ル、秋元但馬守、七軒丁ヨリ是、マテ五丁余、
谷中　　天眼寺　　王林寺　　本捍寺　　松平伊豆守
妙伝寺　　善光寺、門前町、モ不残、真行寺　　妙常寺
本覚寺　　市覚寺　　本行寺　　竜泉寺　　妙法寺
大常寺　　妙雲寺　　大宝院　　福宗寺　　西光院
不動院　　南権院　　深寿院　　本覚寺　　源寿院
瑞泉寺　　瑞林寺、本堂・釈迦堂残、其、外寺中十五軒不残、蓮花寺
泰慈寺　　妙除寺　　西源寺　　松平半左衛門下屋敷
三浦壱岐守　　瑞松院　　蔵応寺本、堂残、寺中五、軒、表門町屋焼ル、
上野　　勧善院　　養寿院　　津梁院　　林光院
円覚院　　円珠院　　等覚院　　松林院　乗円院
万王院　　右上野院中　　下谷池之端分
永井能登守　　表門前町屋裏門前通残ル
小笠原大学　　板倉頼母　　平井四郎右衛門
石川主殿頭　　立花民部　　島岡角右衛門
建部内匠頭　　松平半左衛門　　天神石坂不残
中村太郎兵衛　　小笠原九十郎　　同心同坊不残
本多弥兵衛　　小堀和泉守　　藤枝若狭守
酒井隼人　　酒井新次郎　　明神下大坂同坊町不残
玉虫佐太郎　　金田小兵衛　　芦野左門
渡辺平十郎　　鈴木修理　　旅篭町不残
本多能登守　　近藤備中守　　原田順阿弥
福原刑部　　黒田玄蕃　　松平駿河守
大関弾正　　岩城伊与守　　堀左京亮
内藤式部　　小笠原右近　　戸田淡路守
井上筑後守　　石川越前守　　新黒門前不残
同坊町不残　　右筋違橋ヨリ黒門前十町余
杉浦内蔵介　　神田相生町不残　　鈴木伊兵衛
本多能登守中屋敷　　京極甲斐守　　藤堂大学頭
野々山新兵衛　　新荘伊織　　伊奈右衛門
飯高喜兵衛　　飯高瀬兵衛　　土屋頼母組御徒不残
加藤遠近守屋敷際ニテ焼留ル　　加藤太郎左衛門組御徒不残
夏目藤右衛門組御徒不残　　下谷高水道南ノ方一町半残ル
和泉橋ヨリ高水道迄十町　　山田三太夫
浅野与右衛門　　藤堂備前守　　下谷二丁町不残
生駒玄蕃　　藤堂大学中屋敷　　佐竹源次郎
安部外記ニテ火留ル　　立花飛騨守不焼
松浦忠右衛門　　天野鍋四郎　　生駒主税
森川紀伊守与力同心　　松平下総守ニテ火留ル
太田原頼母　　新荘主殿　　水野隼人中屋敷
宗対馬守　　宮原長門守　　久世平四郎
菅沼長兵衛　　大沢帯刀　　近藤吉左衛門
宍倉与兵衛　　依田次兵衛　　山中図書
力丸加右衛門　　石原新八郎　　岡登伝五郎
石川彦左衛門　　伊谷茂右衛門　　田中孫太郎
島田十兵衛組御徒不残　　石川甚左衛門
伊奈平四郎　　若川市右衛門　　山本武兵衛
真田小平次　　滝川与惣兵衛　　安藤治右衛門組御徒不残
本荘安芸守中　　大沢越中守　　梶田市左衛門
下谷長者町不残　　津軽越中守中　　細川熊次郎
三宅惣九郎　　酒井左衛門尉下屋敷　　中根宇右衛門
大岡市十郎　　酒井下総守　　柳原町、富松町不残
酒井左衛門尉中屋敷　　佐竹源次郎　　松浦壱岐守
浅岡又四郎　　斎藤忠右衛門　　三宅宗九郎
今井九右衛門　　是ヨリ鳥越　　池田内匠
鳥越明神際ニテ火留ル　　猿屋町不残
長国寺炎摩堂　　鳥越橋ニテ火留ル
柳原真木町八町不残
浅草見付内馬喰町　　伊奈半左衛門　　木田半右衛門
小幡小助　　橋本町　　船浦酒之丞
是ヨリ誓願寺筋　　内藤十左衛門　　曽我主膳
依田内蔵　　甲斐荘喜右衛門　　彦坂九兵衛
古田彦九郎　　水野隼人中　　永井讃岐守
細川玄蕃　　米津周防守　　九鬼大隅守
久永内記　　永井主膳　　黒川与兵衛　　大沢右衛門
天野彦四郎　　近藤彦九郎　　市橋下総守
松平伊豆守中　　青木右衛門　　永見甲斐守
小柳町　　土井周防上り屋敷ノ内
筋違橋ノ内　　飯宝源左衛門　　川野善左衛門
松永太郎左衛門　　大岡源太郎　　鈴木与五郎
松平伊豆守際ニテ留ル　　太田摂津守北ノ方残
須田町　　連雀町　　神田鍋町ヨリ見付迄五町
神田鍛冶町二丁目ニテ焼留ル　　松平又四郎
神田松田町不残　　戸田民部　　　神田加賀屋丁南ニテ留ル
柳原土手ヨリ七町程　　白銀町　四丁不残
遠藤主膳　　戸田大膳　　小笠原右近中
春日左衛門　　三浦監物　　大沢織部
岩井町不残　　井戸対馬守　　伊勢平八郎
岩井町橋四ケ所焼落　　本石町四町目北側残ル
通鉄炮町　　小伝馬町　　　同所篭屋不残
本町四丁目南側不残　　大伝馬町一丁目、二丁目
北橋四町、同三丁目、通油町、花町
長谷川丁　　橘町不残　　横七町程　　横山町不残
両国橋西広小路ノ方半分焼落ツ、橋際ニテ男女八十五人死、其外水底ニ沈ム者数シレス
是ヨリ浅草見付マテ町屋敷不残、凡死人四百余、日影同明町不残、此処死人七人
浅草見付橋落、見付ハ残ル、見付外カヤ町
松平日向守　　松平美濃守　　松平内匠頭
是ヨリ矢蔵跡　　松平美濃守　　松平右京大夫
狩野洞元　　岩室伊右衛門　　依田十郎兵衛
松前志摩守　　浜町　　酒井与九郎
牧野備後守中　　関伊織役屋敷永井伊賀守
秋元但馬守中　　水野隼人正　　土屋相模守
牧野八太夫　　井上遠江守　　浅野壱岐守
松平因幡守　　戸田土佐守　跡部茂兵衛
北条仁右衛門　　酒井頼母　　山田伝左衛門
井上彦太郎　　北条次右衛門　　黒川左衛門
酒井雅楽頭中　　土井式部少中　　小網町三丁
大坂町　　甚左衛門町ヨリ幅五町余　　箱崎町
青柳町　　湊町　　霊岸島竪三町横一町半程
永代橋、小橋ノ欄干少焼ル、湊町右河岸幅一町半程、
霊岸島ノ内新白銀町不残
筑波町半町程、稲荷町ニテ留、是ヨリ白銀丁幅四丁程、深川堀田伊豆守土蔵堀少し残ル
新大橋本ノ町屋不残、松平遠江守、裏通土蔵、長屋残ル、
小笠原彦太夫、松平陸奥守屋敷切ニ留ル
同屋敷前北ノ町屋不残、六間堀ノ内深川本橋欄干少焼、戸田能登守下屋敷半分焼、
門外町屋不残、ウナキ橋落ル　　大久保加賀守、下門斗、残ル、
阿部豊後守下　　小笠原佐渡守下　　黒田肥前守
御蔵奉行中不残焼失　　東本所　　牧野備後守
西光寺　　菅沼織部　　東ハ諏訪安芸守ニテ留ル
本多孫兵衛　　酒井与一郎　　鳥井久太夫
御台所丁不残　　回向院寺中不残　　表通町不残
高木玄斉　　北本所　　三島検校　　弁天宮地不残
幅三町程　　土屋主税　　尾上町　　相生町不残
一ツ目橋ニテ留ル
深川仙台河岸成瀬隼人正屋敷、坤ノ方十五軒残、此所仙台カシ迄堀通りト云、間所長岡町二町ノ内東ノ町一丁不残、是ヨリ霊岸寺本堂・方丈斗り残り、寺中門前不残、是ヨリ南浄泉寺並寺中北ノ方十二間余焼失、霊光寺門前トモ不残、是ヨリ東ノ方秋元但馬守、佐竹源次郎、自恩寺
東方稲葉丹後守屋敷木場マテ、此所松町三町焼、向土屋相模守長屋末マテ少々残リ、并ニ阿部（前ニあり）豊後守、同大久保隠岐守表門斗残ル、同小笠原佐渡守不残、是ヨリ北へ二ツ目通リ西側少残、諏訪安芸守宅マテ、是ヨリ北方一ツ目弁才天ヨリ東方町家三町余、是ヨリ北堀向無縁寺、東ノ方吉良上野介表門通リ、鳥井久太夫、本田源太郎不残、無縁寺北方藤堂大学頭、三浦壱岐守等、其外余多略之、
浅草新堀向ハ立法寺並隣寺一ケ所ニテ焼留ル
今日火事増火消　本多中務大輔、酒井左衛門尉、真田伊豆守、京極備中守 一、十二月朔日、暁ヨリ風烈、昨夜ノ火事、今日午ノ中刻本所深川ノ末砂村ト云処ニテ漸火鎮ル、夜ニ入六つ半時、地震余程強シ
火事ニ付　上使小笠原佐渡守遣サル進物
金二万両　水戸宰相殿　御屏風、二、双、、同中将殿　御屏風、二、双、、桧重一組、宰相殿簾中へ
八重姫君へ、松平美濃守、上使トシテ金五千両被進
居屋敷類焼ニ付、以　上使、御尋ノ方
上使、御奏者田村、右京大夫、松平加賀守、同若狭守
同、御使番溝口、源兵衛、藤堂大学頭、宗対馬守
御城内御普請ニ付月次御礼無之
地震御祈祷、於芝明神一昨日ヨリ今日マテ千座抜有之 一、二日、地震今ニ至テ折々震フ
藤堂大学頭類焼ニ付、御普請御手伝御免ナサル処、家督以後始テノ御用改、達テ勤度ヨシ願ケレトモ、御免之、其跡松平右衛門督へ被　仰付 一、三日、申刻、丑刻両度余程ノ地震
御城廻御普請奉行大岡市十郎類火ニ付、代り酒井壱岐守組天野弥五右衛門
小田原馬次今日ヨリ相立由 一、四日、地震今ニ不止
松平加賀守類焼ニ付、上使御側衆水野肥前守ヲ以テ御屏風大小二双被遣 一、五日、地震同前
箱根三島見分御暇　御代官小長谷勘左衛門
八重姫君今日駒込屋敷へ御移徒
箱根道作今日ヨリ荷付馬乗物往来アル由 一、六日、地震同前
常陸国鹿島大明神、地震御祈祷相勤、御札献上
惣代　東長門、神宮寺 一、七日、風烈、申刻ヨリ和ク、地震末止、夜ニ入テ少強ク、星甚月ニ近、
先月廿九日夜格別有馬郡湯山出火、家数二百十九軒寺四ケ寺、社一ケ所焼、湯宿不残焼
地震ニ付、於京都、七社七寺ニテ御祈祷アリ
上七社　伊勢、石清水、加茂、貴布祢、是ハ上加、茂ニ付、、松尾、平野、稲荷、春日
七寺　東大寺、興福寺、延暦寺、園城寺　仁和寺、東寺、広隆寺
今度火事地震ニ付、当年諸大名、又ハ御役人ノ内ヨリ拝借金上納ノ義、当未ノ年分御用捨被　仰付候、先達テ上納ノ分モ被　返下之
町方ヨリ出候犬扶持、当未ノ年分御用捨ノ旨、寺社奉行、町奉行、勘定頭へ老中被申渡
御城廻り御手伝ノ面々場所
大手并喰違、百人組御門、中ノ御門、御玄関前通、此通路、大手、小、屋場一つ橋外明地、松平右衛門督
上梅林坂、下梅林坂、平川口御門并帯郭、此通路北引橋平川、口、小屋場。北ノ丸、丹羽五郎三郎
内桜田、和田倉、馬場先、蓮池御門、日比谷御門、年内片付可被申候　此通路、紅葉山坂下、、小屋場ヤヨスカシ、立花飛騨守
西丸不残、此通路、、西丸大手、、外桜田、半蔵御門、田安御門、年内片、付可申、、竹橋御門上ニ同
小屋場、外桜田御堀端　　　　　　松平大膳大夫
常盤橋ヨリ神田橋、一ツ橋迄、神田橋ハ年、内片付可申、小屋場　　　　戸沢上総介
一ツ橋ヨリ雉橋迄小屋場　　　　　加藤遠江守
鍛冶橋ヨリ呉服橋迄　　　　　　　稲葉能登守
右通路向寄次戸、小屋場、外桜田向御堀端
残り候分　二丸　　　　　　　　　　松平右衛門督
三之丸、北引橋、西引橋　　　　　丹羽五郎三郎
紅葉山下、坂下御門　　　　　　　立花飛騨守
清水御門　　　　　　　　　　　　松平大膳大夫
被　仰出
覚
最前ニ申渡通、下馬其外供ノ者トモ集候処ニテ、下々タハコ給不申候様ニ主人ヨリ堅可申付候、人足等往還并集候所々ニテ一切タハコ給不申候様ニ、是又可申付候、以上
十二月日 一、八日、地震不止、星甚月ニ近シ
昨夜増上寺天神谷周意寮庇ヨリ出火、早速消 一、九日、卯中刻余程地震アリ、夜星甚月ニ近シ
今日被　仰出
覚
一、今度地震火事ニ付、作事申付候義、前々も相達候通、分限ニ応し弥軽可仕候、仮令　御成道筋ニ而も急不申、緩々と普請可申付事
一、衣服其外、向後結構無之、音信贈答料理等ニ至る迄、軽く可仕候、惣して奢かましき義、可為無用候事
一、最前も申渡候通、火之元弥念入可申付候、若出火候ハヽ精出し早速消可申候、尤近所よりも早々駆付消之、大火ニ不成候様ニ可仕候
一、火事場へ馬上にて見分遺候義、堅可為無用事
一、火事之節、昼夜にかきらす所々御門并橋々往来不滞様ニ可仕候、且又所々橋際へ諸道具差置間敷候、此段兼而向々へ可申付置事
右之通被　仰出候、堅可被相守候、以上
十二月日
地震ニ付、相州鎌倉鶴岳八幡ニ於テ御祈祷被仰付候、御札巻数献上　神々　大友山城守、大別当　相承院、小別当　光昌 一、十日、風吹、午刻ヨリ和ク、卯刻近頃無之程ノ地震、今夜モ星甚月ニ近シ 一、十一日、今暁地震強シ、今夜モ又星甚月ニ近シ
老中ヨリ三奉行ヘ御書付
覚
御代官所并町方より定り候而公儀江納り候運上物ハ、只今上迄の通たるへし、其外ニ早々納物有之由相聞へ候間、可赦免之候、以上
十二月日 一、十二日、丑刻強地震、小ユリハ度々
町奉行御船手ノ面々へ被　仰渡
自然火事等ノ節、両国橋、新大橋、永代橋きわへ御船手之面々早速罷出、退候者并諸道具等船にて渡し可申候、且又渡し船とも寄させてつかへ無之様ニ町奉行、御船手可申付候 一、十五日、地震未止、御普請故月次御礼無之
一、十六日、今暁列風申刻一度、夜ニ入二度余程ノ地震 一、十八日、地震未止、辰ノ刻芝金杉三丁目ヨリ出火、安東寺ト云寺ニテシツマル
松平大膳大夫家来吉川勝之介モ今度御手伝被仰付場所ハ大膳大夫ヨリ割渡スヘキ由 一、十九日、地震未止
松平右衛門督御手伝場大手御門コハシ候ニ付、家来付置足軽等出シ、縄張置候処ニ、御直参溝口源左衛門依召登城ノ由ニテ縄張ノ内押通ラン候処ニ、冠木落掛リ壁落怪我
、面ノ内三所、左ノ足少、溝口源左衛門、面足トモニ、少シツヽ、同侍一人
、壁ノ下ヨリ殿出ス、両人トモ胴打ル、同中間二人　　　　面打コワシ　　右衛門督平大工一人
右源左衛門、此疵ニテ死スルノ由 一、廿一日、地震未止、夜ニ入曇り、巽ノ方電ノ如ク、戍ノ刻ヨリ晴、寅刻月ノ廻り九尺計雲甚赤ク、村々トシテ月ノ近ハ薄ク外ホト赤ク、煙ノ如ク万ノ月ノカサトハ違ヘリ
松平陸奥守任左近衛権少将 一、廿二日、巳刻ヨリ富士南ノ風甚シク、夜ニ入風雨、丑刻甚強ク、寅ノ中刻静マル、地震未止
地震ニ付鹿島大宮司ヨリ御祈祷ノ御礼献上
地震ニ付テ　　　　　　中院通茂卿
くに津神千代の岩間をゆりすへてうこかぬ御代のためにそ引

将軍家へ従　禁裏　春宮　御移徒ノ御祝義ヲ進セラル　御屏風一双、二種一荷
春宮ヨリ　　御太刀　金一枚　縮緬五巻
御入輿ノ御祝義トシテ外ニ進セラル物
禁裏ヨリ　　御太刀、金二枚
春宮ヨリ　　御太刀、金二枚、二種一荷
本院ヨリ　　御太刀、金一枚、二種一荷
中宮ヨリ　　縮緬五巻、二種一荷
女五宮ヨリ　緞子二巻
御台所、姫宮ヘモ為御祝義純子縮緬御肴樽被進

常憲院御自身易経御講尺、大名諸出家折々拝聞有之、且亦於殿中大学頭講尺被　仰付、諸ノ人之聴聞、
常憲院様御講尺拝聴願、万石以上并寄合ノ面々モ松平美濃守、松平右京大夫宅へ毎月二度、或ハ三度罷越、用人ニ対面、拝聞願申込、拝聴相済候後モ右同事、但追而不及願由、以用人被申伝相止
同御代万石以上於御城能或ハ大鼓、小鼓笛大鼓被仰付、松平右京亭ニテ西尾隠岐守へ狂言被仰付、加藤遠江守ナトモ舟弁慶被仰付
同御代井伊掃部頭、大久保加賀守、阿部豊後守、戸田山城守、土屋相模守、松平伊賀守、御三家、甲府殿御成有之、松平美濃守、松平右京大夫、牧野備後守、護持院護国寺、本荘因幡守へ　毎度被為　成、日光御門主、増上寺、金地院、小石川御殿、麻布御殿、品川御殿ヘモ折々被為　成、聖堂、山王、浅草、覚王院ヘモ被為　成 注、内閣文庫蔵本「改正甘露叢」の元禄十六年十一月二十二日条から巻末までを掲載する。『内閣文庫所蔵史籍叢刊』解題によると、「改正甘露叢」には序跋がなく、著者やその目的、経緯、成立年代が記載されない。内容から、著者は江戸幕府の祐筆か、将軍側近のものであろうとみなされる。元禄十六年十二月をもって終わっているところから、同年以降それもさほど遠くない年次に成立したと思われる。今日多くの写本が存在していて、江戸時代に注目され、識者によって転写され、読みつがれた書である。
内閣文庫蔵本「改正甘露叢」（影印本）は昌平坂学問所の旧蔵本である。『増訂大日本地震史料　第二巻』所収の「甘露叢」は、内閣文庫所蔵本とは別の写本で、若干の違いがある。