地震史料集テキストデータベース

（表紙）
「元禄十六年
万留帳
九月より
癸未正月吉日　安藤吉右エ門改」
（中略）
一、廿三日蔵王下苅明日より山入之由、初日故斉藤善八郎申付遣候。
一、同日昨二十二日夜八ツ過地震ニて、表浜河原半潮上り、網船少シ流申候得共、沖ニ相見へ追々取留申由、注進ハ無之長兵エ咄申ニ付、御用番九右エ門殿へ申達候。
（中略）
一、二十六日、去ル二十三日夜江戸大地震、御屋敷別条無之由、仍之伺御機嫌御使者矢木仙右エ門、早追ニ今晩戌下刻ニ持筒茂左工門添被遣、駕篭、馬申付候。路金二拾両相渡候。小粒無之ニ付荘屋、年寄ニ申付請取、則相渡候。右之小粒代金二十八日ニ御賄より五郎右エ門ニ為相渡返済也。
（中略）
一、三日、今夜子ノ下刻雇切飛脚到来、去月二十九日酉刻過、水戸様より出火、御上屋敷不残焼失、御土蔵何も残候内、御文庫・御椀蔵焼失之由、右ニ付御家中登城町荘屋年寄、組頭桜御門迄来。
一、同日、右ニ付、丹羽作左エ門江戸ヘ被遣、御持筒源七添被遣、為御用作左エ門ニ金子百両被遣候。近藤五郎右エ門前より相渡ス。路金二拾両相渡候。
一、同日、同刻江戸御用金弐百両被遣、山口甚平、鈴木喜兵エ、立花六太夫三人被遣候。御金日高弥吉ニ相渡、手形取申候。五郎右エ門、儀左エ門包
一、同日、右御金
百五拾両杣山金　　近藤五郎右エ門より出
百五拾両石代金　　向坂武右エ門より出、但清六郎上納ノ内
小粒三十両鰯金之内杉山長兵エより出
一、四日、世上凶事ニ付、為御祈祷、神社ヘ御初尾被献候。金右エ門病気ニ付、吉右エ門申渡候様、年寄被仰渡、私宅ニて申渡、金右エ門ニも申通。
神明宮江金百疋
蔵王権現へ金百疋　右金田八郎九ニ申渡
八幡宮へ金百疋　清谷兵部ニ申渡
秋葉山へ金百疋　東学院ヲ遠州ヘ被遣
みとの観音へ三拾疋　右同人ニ被遣
金二分、東学院路金ニ被下、病気ニ付名代大行院参候。
一、同日、右之御初尾、福田儀左エ門ニ申付遣ス。
一、同日、御上屋敷御家中ヘ、石代百両遣シ、定高割ニ五分増ニ遺候。五郎右エ門、左次兵エ包、吉田より町便ニ被遣、斉藤善八郎相渡、手形取金高割付之目録一通、状箱ニ入添遺候。吉右エ門印也。今度印鑑初て遣之。
右金百両石代金　高橋吉左エ門より出ス。
（中略）
一、十日江戸御やしき御用木として家中居屋敷、控屋敷ともニ被申付候様被仰出、不残廻状遣候事。
一、十二日江戸御用木、八間屋ニて今日より伐杣入山ニ候ヘハ、往還ニ付て矢頭七郎左エ門申付候。
一、同日浅井権十郎方ヘ和地片谷ニて為伐候様ニ申遣候。
長一丈一尺八寸末一寸八分　木数千二百本
内四百本ハ九尺木也
（中略）
（二十七日）
一、先頃江戸小石川辺焼失之、吉田沙汰ニ付、早便之足軽両人被遣候。此者ともニ頭衆より願ニ付金五両被下儀左エ門より相渡候由。
（後略） 注、本史料は、『田原藩日記』解説によると、三河国田原藩の藩政日記には「万留帳」「御祐筆日記」「御玄関留帳」御用方日記等があり、「万留帳」は郡奉行が記述した日記である。