地震史料集テキストデータベース

[未校訂]143　嘉（一八五三）永六年三月　地震による高尾村御助力金頂戴帳
「（表紙）嘉永六丑年
御助力金頂戴帳
三月　両高尾村　」
嘉永六癸丑年二月二日巳ノ刻大地震ニ付、甚変□（破損）直ニ同日
村役人御高札場は勿論鎮守ノ社・清雲寺、且は村方即死・
怪我人・皆潰・半潰・灰屋・薪部屋迄相改、逐一書面ニ認
メ、明三日未明を相待申候て小田原御役所様え御届奉申
上候処、則御城内・御城下迚も大震ニて、其外四方之御領
内より御注進之大変御昆（混）雑被為遊候ニ哉、同月十五日ニ
至り、御代官鵜沢勇之介様并ニ御手代神田啓蔵様為御見分
と御入被為遊、難渋之者共え御助力として御貸被下置
候御旨意之趣、皆潰・半潰之者共え金壱分宛又は郷蔵御籾
四斗入ニて弐拾三俵之所御貸被下置候ニ付、小前末々迄
難有奉拝借拝分候
皆潰勘右衛門印　惣右衛門印　市五郎印
代治郎印　彦右衛門印　居宅潰栄治郎印
半潰市蔵印　太吉印　安五郎印
五左衛門印　儀左衛門印　甚蔵印
与左衛門印　喜右衛門印
〆御金高三両弐分也
右同日鵜沢勇之助様より金弐分、御手代神田啓蔵様より金
壱分、各様内を以御懐中金之内貧窮之者共え御給被下
置候所、別て難有奉頂戴候
銭七百文勘右衛門印　三百文市蔵印　同太吉印
同喜右衛門印　百文長右衛門印　同吉蔵印
同甚蔵印　同不治五郎印　同佐兵衛後家印
同安五郎印　同惣右衛門印　司五左衛門印
同栄治郎印　四百文代治郎印　同儀右衛門印
同岩五郎印　同市五郎印　同彦右衛門印
郡同二月廿二日御奉行竹之内藤左衛門様并ニ洞田安兵衛様為御見分
御入被為遊被下候
御同二月廿八日代官鵜沢丈助様、御作方森田慧治郎様・内田安兵衛様、
郡御奉行御支配入江良右衛門様・内田雷蔵様荒地為御見
分と御入被為遊、直御普請被仰付候
同三月廿二日御役所様え　村役人被　御召出
一金弐両壱分也
右は線香料として即死弐人え金壱両宛、又は療治金として
怪我人壱人え金壱分也
難有奉頂戴候
勘右衛門印　女房怪我子即死
喜右衛門印　子即死
一金拾五両也
右は極貧之者共え永続之ため難有奉頂戴候、乍趣法恐此訳
天明度より村中所持之地ニて村畑と相唱え置候畑弐反八畝
歩程之地御座候処、然ニ先年村方困窮ニ付金拾六両弐分ニ
売置申候処、今般奉頂戴候御金子を以前書之畑請取、
従是　御殿様畑ケと相名付、永代極貧之者共え三ヶ年宛
所持為致、相引立為可申、一統難有熟談仕候
一御同月同日手元金　御代地高尾村
会壱分弐朱ト弐百拾弐文
一御同月同日手元金　御伝馬替地
高尾村
銭七百六拾四文
右は御手元金壱軒ニ付百三拾七文宛、村役人を始メ小前
末々迄不残難有奉頂戴候、且五百文之義は後年ニ残シ
置、慥ニ奉御預り候て、年々懸穀出精無違失可仕候
一御銭五百文
預り主長右衛門
同五左衛門
嘉永六癸丑年
三月
儀右衛門印
惣右衛門印
栄治郎印
市五郎印
吉蔵印
勘右衛門印
安五郎印
太吉印
不治五郎印
代治郎印
甚蔵印
喜右衛門印
長右衛門印
市蔵印
五左衛門印
岩五郎印
佐兵衛後家印
彦右衛門印
御名主重右衛門殿
御組頭儀左衛門殿
同与左衛門殿
百姓代初五郎殿
（高尾　近藤　巖氏蔵）
解説　二月二日の嘉永の大地震で被害を受けた高尾村
に対して、小田原藩が郡奉行・代官その手代などを出張さ
せ、その対応に当たらせた記録である。二月十五日から三
月二十二日の一か月余にわたって、被災者への助力金・郷
蔵の籾の払下げ、二名の死者への弔慰金など、手厚い救済
策が取られたことを示している。
146　嘉（一八五三）永六年六月　山田村村民の救済金拝借と年賦返済
に関する一札
差上申一札之事
一金三拾両也
右は先般稀成大地震ニ付、従　御領主様壱組ニ金弐両宛
御拝借御貸附被仰附、冥加至極難有奉存候、　然ル所右金御
返上納之義ハ、無利足五ヶ年賦御割済被仰付候ニ付、
年々十一月七日急度御上納可仕候、若又組下ニ御上納出
来兼候もの有之候ハヽ、連印之者共罷出急度埓明可申
候、少も村役人え御苦労相掛ヶ申間敷候、為後日拾五組
判1頭之者共連印差上申候、仍て如件
山田村
嘉永六癸丑年六月
判頭四郎兵衛印
亀右衛門印
治左衛門印
清蔵印
忠左衛門印
与惣兵衛印
惣兵衛印
忠兵衛印
清五郎印
佐治兵衛印
徳蔵印
三郎右衛門印
円七印
今右衛門印
五郎左衛門印
御役人衆中
（山田　了義寺蔵）
1[判頭|はんがしら]　五人組の筆頭