[未校訂]天保元庚子七月京都大地震の時狂哥
「大平の御代□なす世直リハ国もゆつたり
家もゆつたり
右此狂歌ハ加茂季鷹共又蜀山人共言ふ也此度も此もじ
り多し
「世直リと人も言ふなり 地震にハ
国もゆつたり 余所もゆつたり
「耕作ハミななへよりハ生すれハ
こたひのなへハ豊年の吉
「大地震諸国ゆるゆる 取沙汰に
夘の年ゟハ豊年てあろ
「ゆる〳〵と帯紐解て 高鼾
じしんは無分別条もなし
大変の地震にて年号安政元年と改める
「年号を嘉永とゆつた 大地震
年も替りて民ハ安政
「異国より来た禍い ゆり嘉永
納る御代の 天下安政
席(序、カ)に記す昔明和の安永と替りた狂哥
「明和九ハ霜月切に 辰の年
巳ハ安永を祈る初春
又天明の寛政と替りたる狂哥
「天明ハ喰ふやくハすて 八九年
けふから安い 米くわんせい