地震史料集テキストデータベース

[未校訂]（泰國院様御年譜地取）
（注、「新收」第四巻別巻、二四八頁下段（中略）のとこ
ろに入る）
一主殿守（頭）様御病気ニ付、為御見廻御使者馬渡右兵衛被差
越之
一右之末五月朔日、弥平左衛門偖亦米倉権兵衛義、神代
被差越置候処、嶋原表地変之様子相鎮候程畾不相知、
急ニ引取候期も不相見、一先守山表江相勤、振合見合罷
帰候様被　仰付ニ而は有御座間敷哉之旨、最前奉伺候
処、其通被　仰出候付、其段申越候、然処主殿頭様御
病気ニ付、御医師被差越被下候様、○御家老中ゟ及御
「彼」（朱字）相談之趣申来候付而は、両人共引払候儀見合候半而相叶
間敷、夫共此末数日相滞引取候詮無之通ニ而は不相成候
条、彼地之様子次第引取可然趣候ハヽ、其段申越、得
差図候様申遣方ニ而可有御座段、申上ニ相成候
（注、同巻二五〇頁下段（中略）のところに入る）
一嶋原領温泉山之内、去朔日山潮・津波ニ而御城下町家押
流、死人等有之候趣、別紙之通御奉行所相達候由、彼
聞役ゟ長崎聞役中へ以廻状申来候由ニ而、聞番ゟ差越之
肥前嶋原、先達而申上候三月朔日之地震鳴動追〻相
鎮リ居候処、一昨朔日酉刻過、到而強地震仕、即時城
槨ニ付候前山と申高山、頂上ゟ根方迠一時ニ割（朱字）達「れ」崩、
山水押出シ、右同時ニ城下海ゟ津波打上、山水と一所
ニ相成、城下町家悉暫時ニ押流、潰家・大木等城槨ニ
流懸リ、死人・怪我人等ハ数相知不申候、城下町家へ
居候ものハ過半即死候様子ニ御座候、海付之山沖中
押出シ、海上ニ小山夥敷出來仕、只今迠ハ先城内別条
無御座候
右之趣申越候
四月三日
一同十一日、松平主殿頭様江干菓子一箱・薬酒二陶・粕漬
鰡一桶、右は頃日山水・津波ニ而御城下破損所等有之候
由、此節之大変ニ付而は、彼是御心遣之程御察被成候、
右付而御用事等御座候ハヽ御領内神代表江御役人被差
出置候間、無御用捨被仰聞候様ニと被　思召、依之猶又
為御見廻被進之
（注、同巻二五二頁上段二つ目の（中略）のところに入る）
一同廿八日、松平主殿頭様先頃ゟ御不勝ニ被成御座候処、
去十九日押而御城下為御見廻御越被成候末、御労等被
為見御食事も御不進之由、右付而御医師壱人被差越被
下候様、従彼御家老中相談有之候由、米倉権兵衛其外
ゟ請役所申来候付、西岡春益御見廻御口上被　仰含、
早速彼地被差越之
一同廿九日、御同人様へ、先達而ゟ之御不快御勝不被成候
処、去廿日比ゟ猶又御勝不被成、近日は御労強一円御
快方無之由ニ付、御様子御承知御見廻旁、御使者馬渡忠
兵衛を以、紅切一箱・煎海鼠（いりこ）一箱被進之
一同日、江戸ゟ去ル九日立之飛脚、同十四日立町飛脚ニ而、
四月九日松平越中守様ゟ御呼出付而、志波四郎左衛門
罷出候処、古賀弥助於　聖堂講訳（釈カ）等仕候付、白銀五枚
被為拝領旨御書付、御用人を以候相渡