[未校訂]十二月八日(木)曇
昨夜は[峻烈|しゆんれつ]なり大地震あり。短時刻なりと雖も、其の
振動や実に希に見るべし。而して後、劣れと雖も振動実
に拾回餘、恐々として眠るも得ず。明くれは天空異様に
暗黒を呈し、名のみの降雨ありて誠に穏やかならさる雲
行なり。雨か風か果た雪か。而して朝後又二回の震動を
見る。何か地変の起るにや。聞けば可なり器物の破壊せ
る等、被害の尠少ならざる家ありと。殊に墓地の石碑の
倒壊せる少からざるには一愕を喫す。
此の日且って傳言ありし如く、送兵[旁々|かたがた]四季会の開催。
余当番にて朝来炊事等に奔走、寸暇だになし。今年度最
終の事とて豫算を計上、鶏を一羽求して鳥飯の嚮(饗)應をな
す。