[未校訂](文化元年)
八月五日 出立仕候 出羽靍ヶ岡へ参リ候所 道中ニて
六合ヨリ本庄塩越通リ致候所 先六合ヨリかべこわれ 家
つぶれ 石ノ地蔵こわれ 石とうたヲれ 塩越ヘ参リ候
所 家皆ひじやけ 寺杉木地下へ入込 喜サ形と申所
前度ハ塩なき時ニ而も 足ノひざノあたりまで水有 塩
参リ節ハ くびまでも有之候 其形九十九嶋有ルと申事ニ
御座候 大じしんヨリ 下ヨリあがり をかとなり申候
其地ニ 少し之舟入候 みなとも有 これもをかとなり
申候
六月四日 夜四ツ時之事ニ御座候
地われて 木わき出る事甚きうなり 年寄 小供 甚な
んぢう之義ニ候 馬牛死ス事多し 酒田迄浜通リ残りな
くいたみ申候
酒田ニて蔵三千之ヨ いたみ申候と申事ニ候 酒田町中わ
れ 北がわ三尺斗高クなり申候と之事ニ候 長鳥山其夜
峯やけ出し岩くづれ下ル事甚なり