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項目 内容
ID J2800017
西暦(綱文)
(ユリウス暦)
1179/12/07
西暦(綱文)
(先発グレゴリオ暦)
1179/12/14
和暦 治承三年十一月七日
綱文 治承三年十一月七日(一一七九・一二・一四)
書名 〔平家物語 上〕新日本古典文学大系44梶原正昭・山下宏明校注一九九一・六・二〇岩波書店
本文
[未校訂][法印問答|ほふいんもんだふ]
 入道相国、小松殿にを(お)くれ給て、よろづ心ぼそうや思
はれけん、[福|フクハラ]原へ[馳|ハセ]下り、[閉門|ヘイモン]してこそおはしけれ。[同|おなじき]
十一月七日の夜、[戌剋|イヌノコク]ばかり、[大地|だいぢ]おびたゝしう[動|ウゴイ]て
やゝ久し。[陰陽頭安陪泰親|インヤウノカミアベノタイシン]、[急|(いそ)]ぎ[内裏|ダイリ]へ[馳参|ハセ(まい)]ッて、「今度
の[地震|ヂシン]、[占文|センモン]のさす所、其[慎|ツヽシ]みかろからず。[当道三経|タウダウさんギヤウ]の
中に、二[根器経|コンキキヤウ]の[説|セツ]を見候に、「年三をえては年を[出|いで]ず、月を
えては月を出ず、日をえては日を出ず」と[見|(み)]えて候。
[以外|もってのほか]に[火急候|クハキウさうらふ]」とて、はらはらとぞ[泣|ナキ]ける。[伝奏|テンソウ]の人
も色をうしなひ、君も[叡慮|エイリヨ]をおどろかさせおはします。
わかき公卿・殿上人は、「けしからぬ[泰親|ヤスチカ]が今の[泣|ナキ]やうや。
何事の有べき」とてわらひあはれけり。され[共|ども]、この[泰|ヤス]
[親|チカ]は、[晴明|セイメイ]五代の[苗裔|ベウヱイ]をうけて、[天文|テンモン]は[淵源|エンゲン]をきはめ、
四[推条掌|スイデウタナゴヽロ]をさすが如し。一事もたがはざりければ、五さす
の[神子|ミコ]とぞ申ける。いかづちの[落|お]ちかゝりたりしか[共|ども]、
[雷火|ライクハ]の為に[狩衣|カリギヌ]の袖は[焼|ヤケ]ながら、其身はつゝがもなかり
けり。上代にも[末代|マツダイ]にも有がたかりし[泰親也|ヤスチカなり]。
一 陰陽道で依拠する金匱経・枢機経・神枢霊轄の三
書。
二 正しくは「金匱経」。
三 年でいえば一年以内、月でいえば一月以内、日で
いえば一日の内に災厄が起こるの意。
四 推論は手のひらの物を指すように正確である。「推
条」は、占いの結果を筋道を立てて説きあかすこと。
五 「さす」は、推理して言い当てること。推理が的確
で人間業とは思えないことから、神意に通じる神子
に譬えたもの。
出典 日本の歴史地震史料 拾遺 二
ページ 4
備考 本文欄に[未校訂]が付されているものは、史料集を高精度OCRで等でテキスト化した結果であり、研究者による校訂を経ていないテキストです。信頼性の低い史料や記述が含まれている場合があります。
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