[未校訂]20 嘉永七年寅(一八五四)十一月四日
前代未聞の大地震
大河原村名主所の「当寅歳御用村用記録」によれば、
地震見聞録
この日は晴天であったが、午前九時ごろ大地震があり、
人馬が大地に立っていられないほどであった。夜に至る
までに二、三十回の地震があり、その夜人々は外にたき
火して夜を明かした。翌五日に昼夜二十五、六度、六日
には昼夜十二、三度の地震であった。被害は土蔵の土が
落ちた程度で、人家の倒壊はなく、人身にも怪我はなか
ったが、前代未聞の大地震であった。
大河原村は今後も地震による災害のないように、神々
に祈願することに決め、十一月二十六日遠山八幡社前宮
において、全村神社の祢宜五人それに神子を集めて、早
朝から祭事を行った。総費用金壱両三分二朱、銭七七七
文、この費用は全村民の寄進(銭又は大豆)で賄った。