地震史料集テキストデータベース

[未校訂]（前略）
一當六月十四日・十五日大地震之儀、江戸表御別條無御座
趣被仰下、恐悦御同意ニ奉存候、其外被仰下候趣、逸〻
承知奉畏、別段御請不申上、文略御免可被成下候
（後略）
閏七月九日認　西田半右衛門
山田惣兵衛樣
［五六三］
（端書）嘉永七寅
（前略）
一六月十四日暁八ツ時比、大地震ニ而驚入被申候由、余程
厳敷、家居抔も建具等少〻ツゝ損、壁抔も柱筋割損、古
家作之分曲リ、又者、壁抔落候やら、夜明方まて大騒動
被致候へ共、崩家又者怪我人等壱人も無之、不難ニ相凌、
別条無之段御申越被成、早速入御聴候処、御満悦被遊、
御同意目出度存候、勿論、其後も、先月中ハ昼夜四五度
も少〻ツゝ震、尤、折〻者、ひく〳〵被致候由、御尤ニ
存候、此度者上方筋も、京・大坂共、格別之儀無御座、
御知行所邊同時之專噂、南都者餘程強趣、崩家等も夥敷
出来、怪我人・死人共多分之風聞、其後、追〻風聞ニ、
太（大）躰尾刕辺迠ニ而、関東筋筋（別カ）条無御座趣、伊賀上野・江
州辺・勢刕四日市駅抔、餘程之大荒之趣ニ取〻噂ニ候へ
共、何分関東辺者別条無御座趣ニ付、別段取急御伺も不
被申上候段、巨細御丁寧ニ御申越被成、逸ゝ申上候処、
入念候儀、宜可申進候樣被仰付候、右一条者、甚御心配
被遊、当地ニ而も、所〻ニ而御聞合等有之候処、御知行
所之辺者、多分子細も有之間敷哉ニ御聞込被遊、既ニ七
月八日、御相番樣之内、町野樣与申御方、京都江御代人
ニ御登リ被成候間、右之御方樣へ御賴被成、書狀差進申
候処、定而、水無瀨殿御屋敷ゟ相届、御承知有之候事与
存候、寔ニ以、御知行所別條無御座、御同意奉恐悦候、
全御信心之御蔭ニ而、御廻リ合宜被爲成候事与、難有事
ニ思召候、右ニ付、村中一統難有狩、無難之歓事ニ一日
休日いたし、氏神江御千度参リ致候由、呉〻目出度事ニ
御座候
一当稲作之儀、先便相届被申候通リ、程克皆植附出来、其
後、六月十日比ゟ、先月中天氣續悪敷、三日ニ二日も少
〻ツゝ小雨しけ天氣困リ居被申候へ共、格別大雨も無之
故、無難ニ先月初比、田方相應ニ出来、大悦仕居候上、
一両日快晴ニ相成、大体地震も止候姿ニ而、安堵仕居候
段、其節之樣子ニ而者、当年も豊作に可相成与百姓一統
相楽罷在候由、偖〻此上なき目出度
殿樣御満足無限思召候、其樣成天氣ハと存、既ニ先便荒
増、江戸之天氣之事申進候処、御同樣ニ而可有之、江戸
ゟハ、時候抔者宜樣子ニ被存候、其後、江戸表者至而時
候も宜相成、天氣續ニ而、既ニ所〻井戸之水無之、困リ
申候場所多、昨年同樣之姿ニ有之候処、漸此一両日以前
より雨天ニ相成候得共、一通リ之濕ニ相成候斗ニ而、大
雨抔者、更〻無之、定而、其表も同樣之事与存候、右故、
弥当年も豊作取入可被申事与
皆樣、日〻御噂有之、御悦被爲入候、且又、豊作ニ相成
候ハゝ、昨年之通リ御拂直段も宜与存候、外國〻早損・
虫附等承リ、又者、前書之地震も、米直段之爲ニ者大ニ
相成可申与存候、江戸表も此節追〻直段宜、小賣百刄ニ
付、八合位白米賣申候、京都抔者六合之由ニ承リ及申候、
追〻新石之比者下落も可致候へ共、格別之事者有之間敷
与御楽被爲在候
（中略）
壬七月十一日　山田惣兵衛
西田半右衛門殿
［五六三］
（端書）嘉永七寅
（前略）
一当六月十五日、大地震之処、江戸表者、何之御別條も無
之段申進候処、被致安堵候之由、御尤ニ奉存候、其地者、
今ニ折〻地震いたし候へ共、甚軽、先達而も、先〻無難
ニ而御同意大慶いたし候
一當稲作、当月九日御状被差出候比迠、少〻不順氣之儀も
有之候へ共、大風雨も無之、今暫時所第一之由、御尤ニ
存候、当地時候も同樣ニ而、其後者、殊之外残暑強、日
〻御知行所之御噂出、定而、実入宜、豊熟之事与、御悦
被爲入候、当年も無相違御収納方目出度、皆上納ニ可相
成、其上、先便も申進候通リ、地震一条、江戸表相場宜、
旁御拂時分ニ者下落も可致候へ共、爲差事者有之間敷、
御爲宜次第ニ可相成与、誠ニ御悦可被在候
閏七月廿二日認　山田惣兵衛
西田半右衛門殿
［五六三］
（端書）嘉永七寅
一此間中、八せんニ入候而雨多、既大坂ゟ御下リ之御方樣
方、御川支等も可有之哉与思召被爲入候処、無御滯御下
着ニ相成、左候ハゝ、東海道筋者、格別雨も無之事与御
察被遊、就而者、上方辺抔も格別之事ハ有之間敷哉ニ被
思召候、奥刕邊者、大水大荒之趣ニ御承知被遊候、江戸
表米相場追〻下落いたし候得共、奥刕辺之儀、弥実ニ候
ハゝ、又氣を持チ可申哉、上方者地震之一条ニ而、格別
下落も無之事与被存候、何卒、程克御直段ニ御拂相成候
樣、御同意奉祈候、先者右等可申進、御報旁、如此御座
候、餘者重便可申進候、恐ゝ謹言
八月廿四日　山田惣兵衛
西田半右衛門殿