地震史料集テキストデータベース
[未校訂]覚
一弘化四丁未三月廿四日夜四ツ頃大地震ニ而善光寺大門横
町岩石伊勢町新町東町東ノ門西町西ノ門桜小路阿弥（陀脱カ）院立
町荒町横沢御山内此辺不残潰ニ相成大門町現金屋裏通横
町能登屋うら辺ゟ出火少々程過西横町北側新見世西の角
ゟ出火其外いせ町湯屋桜小路湯屋ゟ出火同廿五日同廿六
日夜四ツ頃迄不残焼失 御本堂山門相残北御屋敷半潰ニ
而相残下後丁新町石堂半潰ニ而相残る東後丁蔦屋平三郎
迄西後町吉のや善助方ニ而焼留る
四月八日召遣之内死人書上ケ左ニ
□（ムシ）□在倉井村 横沢町藤助妹
徳右衛門 よし
風間村 戸隠領上野村
幸助 喜之助子
西之門町直二郎妻 米吉
さと みき
〆六人
貴札忝致拝見候如貴□（ムシ）薄暑之節ニ御座候得共弥御壯健被成
御勤致候由珍重奉存候然は御地清左衛門忰清一郎仁五郎忰
仁助両人之衆中当山参詣ニ罷越去月廿四日之夜当宿平五郎
方ニ止宿有之候処同夜大地震ニ而市中一同皆潰ニ相成其上
出火故止宿之旅人并ニ家内之者潰焼死之者多分有之取調も
未行届折柄御書面ニ付早束（速）平五郎江申聞□出し方御立合之
上遺骨掘出し被致持参候間左様御承引被下候委細ハ御出之
仁江御尋向可成先ハ取込貴報迄如斯御座候以上
四月九日
善光寺町
問や
小野善兵衛
庄や
中沢与三右衛門
大野町
御年寄
小□源蔵様
朶雲致拝見候陳ハ中山村庄屋惣左衛門殿并供人壱人去月廿
四日夜当宿平五郎方ニ止宿御座候処同夜大地震ニ而市中一
同皆潰ニ相成其上出火ニ而旅人并家内之者多焼死之者有之
取調も未行届折柄風聞御聴候付御子息直蔵殿御光来御座候
故早速平五郎江申聞御立合之上遺骨堀出し御持参被成候間
左様御承知被下候委細御当人ゟ御尋向被下候先ハ取込故貴
報迄如斯御座候以上
水原村
郡中代
□□□孝□郎様
（四月十三日）
同 七ツ半時頃
一犀川川上抜出し大満水川中嶋一円如海ニ相成小市酒蔵
流レ六尺桶□市村辺へ迄上ル丹波島入口□□二三軒流
ル余ハ跡ニ而承り候上書記ス
十七日
一家作之義不及遠慮勝手次第可致普請事
一田畑等へ小屋掛ケいたし居候者又は他所へ立附（越カ）居候者
□銘々屋敷地へ小屋懸ケ致引取可申事
一焼残ニ而も無差支適（カ）用可致事
右之趣被 仰渡候間銘々組下へ不洩様可被申渡候
四月十五日 岩下浅太夫
水□□人
右被仰渡候趣組合へ可被申渡候
四月十五日 役元
組頭
紋右衛門殿□□前次郎殿伴助殿太七殿九平殿弥助殿大吉殿政
右衛門殿三右衛門殿彦次郎殿早々順達廻□（留カ）ゟ可被相廻候
以上
十八日
一いつミや清右衛門へ上屋輔（カ）地当□小屋掛ニ□ス
十九日
一小坂氏達之助殿一同平林村半平と申組（カ）之方へ賣建家見
に参る
以飛札奉啓上仕候薄暑之砌ニ御座候□□御中間衆中様御揃
御安泰可被成御座候□然ハ犀川瀬流れ留之処当月十三
日七つ時過抜出し川中嶋一円の海の如ニ罷成小市村弐三□
相残建家土蔵等迄押流し四ツ谷小松原辺も同断其外川中嶋
村々田畑建家等迄大破ニおよび前代未聞の大災ニ御座候則
水損場所絵図面入貴覧候間御仲間衆中様方へも御廻□（ムシ）被下
候尤犀川筋定水ニ相成候得共散物直□候而已通路差支は
無御座候其上地震水等之心配ハ相止少々は安心仕候間乍憚
御安意被下候
御場所御廻之儀五月節句過ニ相成可成丈ケ遲様ニ御出駕可
然哉ニ奉存候当時御出御座候而も山中辺ハ勿論川中嶋中々
御取合申候様子と相見江不申候間此段御案内申上候
尤関東筋当国上田松本佐久辺は無□右ば所御廻之御方様
ハ御差支無御座候半と奉存候 往還御用御継立之儀当時往
来留ニ相成居候得共□（ムシ）之義ハ相対賃銭ヲ以継送候様子
乍去駄賃等高直之様子ニ御座候此段御承知被下候先右之段
得貴意□（度カ）御座候取込故乱筆御免被下候恐惶謹言
四月廿一日
甲州□（路カ）信州□
御役用衆中様
尚々御仲間衆中様方へも尊君繾方ゟ可然様御伝声奉希上候
以上
（廿一日）
同
一廿四日此方之地震いたし候