地震史料集テキストデータベース

[未校訂]廿二日　丑中刻大地震　所々土裂テ水涌出屋宇或ハ破壊シ
或ハ顚倒ス　所ニヨッテ強弱アリ　所々ニテ死亡スル者
多シト云云　御城廻石壁所々崩ル　御櫓塀等太敗壊ス
御殿モ頗破損スト聞ユ　甲府黄門家ノ御亭殊ニ敗壊甚シ
御長屋ハ倒レ且火出テ数十間焼亡スト云云　吾御上屋敷
并新御屋敷大塚御屋敷ニハ破損モ少シ　御中屋敷ハ少府
監君ノ御亭大ニ破壊ス御舞台ト時習齊稽古所
十五間
ハ忽ニ顚倒
ス外廻ノ土塀悉ク崩ル　御屋敷中所々地裂テ泥水涌出ス
雖然御家人下々ニ至マテ無恙
廿三日　（中略）今日モ少ノ地震終日終夜枚挙ニ遑アラス
或曰百有余度ナリ　就中夜中繁多ナリ　故ニ諸人安寝ス
ル事ヲ得ス　外庭ニ出テ夜ヲ明ス　此以後毎日地震セスト
云コトナシ
（十二月）
朔日　（中略）新室家今朝松寿院殿ヨリ大塚御屋敷へ入セ
ラル　松寿院殿モ御亭地震ニテ破損スルニ因テ熹内主ノ
白金ノ御下屋敷へ移セラル
二日　御本丸奥方ノ火之御番　仰付ラルノ旨老中連名ノ奉
書　相模守ヨリ来ル是マテハ牧野備前守勤ラルゝノ処ニ亭宅地震
ノ為ニ甚破壊スルニ因テ御免許アリト云云
（宝永元年二月）
十九日　（中略）此日　御城追手冠木御門去冬地震ニ破壊
スルニ因テ修補ノ為職人等登ル処ニ忽顚倒ス　溝口源左
衛門往合テ主従四人壓シ死ス云云