[未校訂]三日 昨二日夜四時過、殊の外の地震あり、住居向破損につ
き、美賀君引取の儀猶予を幕府に申請し、同四日認めらる
(番頭・用人日記)
四日 美賀君品川宿泊予定の処、地震のため川崎宿に逗留
す。(番頭・用人日記)
此度の地震により勘定所大破につき、西物見を仮勘定所と
なす。(御手前書付留)
五日 地震につき、当年中本丸月竝の礼、玄猪の祝儀を行な
はざる旨令せらるゝにより、邸にてもこれに準ず。(番頭・
用人日記)
美賀君九半時江戸城本丸に著く。(番頭・用人日記)
七日 慶喜登城の儀、朔望はこれに及ばず、定日は是迄通り
と申渡さる。(番頭・用人日記)
誠順院御守殿地震にて大破につき、本丸逗留を願ひし処、
晴光院(家斉女喜代姫、姫路酒井忠学室)も逗留し、美賀
君下向のため取込み中なれど、止むを得ずとてこれを認め
らる。但、女中召連を減じ、且早く取繕ひ帰殿すべしと命
ぜらる。(番頭・用人日記)
十一日 地震にて皆潰又は類焼の邸臣へ、幕府附人を除き、
拝借金を許し、四石以下へは下され金とす。(番頭・用人
日記、御手前書付留)
十二日 上野凌雲院位牌所地震にて破損につき、参詣留とな
る。(番頭・用人日記)
十六日 邸向惣体修復中、請負人より邸臣各個に建築資材を
買取り、又は他方へ世話するを禁ず