地震史料集テキストデータベース
[未校訂]（表紙）一 弘化四年 芦ケ嵜村
御用留書帳
丁未正月吉日 庄屋太郎右衛門 」
昨夕ゟ近年稀成地震ニ付又今震動不相止候ニ付不相安組中惣
民為安堵明廿六日ゟ同廿八日迄二夜三日之間十日町付於（カ）諏訪
宮御祈禱修行被仰付候間勝手次第参詣可致、尤於村々ニも其
村鎮守ニ而震動平安之祈禱可取計候此旨早々村々江可申聞候
事
三月廿六日 飯田義兵衛
十日町郷之
庄屋方へ
右御廻状三月廿七日到来即刻赤沢村へ御廻江□□之川越始赤
沢留
三月廿七日六郎左衛門殿ゟ書状写
今度地震変難咄御驚可被成候、乍併御互無難悦入候信州筋上
郷村々之内噂有之内ニも石坂ニ御家一軒寄潰れ横死人も有之
且新（カ）成之もの先ツ三人山畑へ参居横死之者風聞有之幸ひ惣二
郎殿御出組（カ）屋御咄し合薄々仕候義在所ゟ不申来故中組之分ニ
而罷在ル信州并上郷之義御尋私へ被仰付谷内ゟ南方信州飯山
善光寺其外も昨夜四ツ時書上相済候、御両村之義猶又御尋ニ
御座候既ニ御呼出し可被成間今日私ゟ飛脚（カ）差立候旨ヲ以申延
置候若□□之義罷出候猶更御届たとへ無之共廿日町（カ）中沢見新
成其外も御聞之所御両会所ゟ御書取、尤御見分ハ御願不申上
趣可然御書取之上早々御届書可成候、新成変死人候ハゝ御加
印不成候一同之義は御見分ハ無之尤も此趣惣二郎（カ）ゟ可申上、
近所昨夜中条之御出留之御□ニ候へハ此様ニはつれ候尽（カ）私へ
被仰聞候故申上候 以上
三月廿七日 六郎左衛門
吉郎右衛門様
久四郎様
此度地震ニ而所々大変之趣ニ付俄ニ
御代官様明廿八日朝十日町之御陣屋御出立外佐々木様并小千
谷御詰御同心御手廻御両人都合五人左之村々御延引新所村々
御見分在之候間為御案内庄屋中御壱人罷出凡々差支無之様御
取計可成候、別段御先触御出無御座候ハゝ此段御承知可有之
候 以上
三月廿七日 関□左衛門
（カ）（中略）
信州地震変難ニ而丹波嶋辺ゟ一里程先ニ而山崩有之水断差塞
り凡五里四方程水湛此節堀抜取計有之趣ニ相聞不時ニ出水致
候哉も難計信州ニ而も川辺村々家財取片付候趣相聞候ニ付、
御預所川附村々兼而差止度不時之患難相逃候趣早々手配可取
計候事
三月廿八日 宮野原村御用達
飯田義兵衛
（中略）
一大井村ゟ廻文上筋江州守山迄家居潰信州犀川両山ぬけ五六
里水湛相退無之趣川附村々用心之義為念廻文来ル
信州地震変難ニ付而ハ彼表へ罷越候もの共之内即死等致候ハ
ゝ相糺し人別取調有無共来月二日迄ニ申出候様村々無怠早々
可申聞候事
三月廿八日 飯田義兵衛
十日町組
江元兼
庄屋方へ
信州地震変難ニ付而ハ当部之義ハ国境之義ニ有之自然悪もの
抔入込間敷義ニ無之口留番所ニおゐて厳敷相改候様申聞候所
尚村々ニおゐて心付兼而被仰聞置候通り（カ）通り筋一夜宿は二夜
と不差置胡乱成ものハ不差置候様小前へも可申聞旨村々江早
々可申聞事
三月廿八日 飯田義兵衛
（中略）
以廻章得貴意候、然は去ル廿四日之大地震信州筋之取沙汰前
代未聞之義ニ付無宿悪党共或ハ難渋之余り右ニ類し候もの共
当辺狼藉等難計ニ付村々用心いたし風俗不宜もの決而留置申
間敷旨此程御出役様御廻村先々ニおゐて村々へ可申聞趣私へ
被仰付候間此趣御承引被成下御取静向無油断様御心付可申
候、且無申迄候へ共右之趣小前末々迄御申聞聊不埓之義無之
様可被成下候此廻文早々御順達留りゟ御返し可申候 以上
三月晦日 谷内村
三平
庄屋太郎右衛門様
最寄十四ケ村
庄屋中様
急以廻文為至（急カ）申上候兼而信州水湛義同州山中ニ而岩倉と申山
安庭と申所へぬけ廻犀川水留候□少しも不流当町（時カ）水中ニ相成
居候村数左之通
さの村 水内村 新町村 ほかり村
下市場村 大原村
右六ケ村一円水中ニ相成居候趣今朝及聞候間急々為念申上候
一日ニ水嵩五六寸ツゝ日々相増候由ニ届候同村々ニおゐても
御用心之御手当第一ニ□□当村ゟ差立候飛脚未タ不帰右之も
の帰り候ハゝ委細相分り可申上候追々可申上候
四月三日朝 寺石重原
外丸迄（カ）村々庄屋中様
急以廻文申上候兼而信濃国犀川水堤之場所江見届として当
村ゟ差立候飛脚両人只今相帰り見届候場所并御覚書持参之
分左ニ為念申上候
一新町村上条村水内村宮倉（ママ）村此四ケ村ハ水内郡也竹房村今井
泉村三水村此三ケ村ハ更級郡ニシテ両川端ニ而水中ニ相成
居候
一岩倉村こくう蔵山ゟぬけ出し凡長サ三十六丁余幅拾丁余犀
川江押出当町水中長サ八リ余巾ハ未タ不相知由水嵩凡六十
丈も当時有之よし、同所ゟ同（ママ）所ゟ拾丁程下り藤倉村共ニ山
右同断犀川へ押出し是又横巾五丁も有之趣但一日ニ水嵩高
弐尺或ハ壱尺位も相増候へ共水中ゟ抜山頭迄ハ凡弐丈も有
之義ニ而左候へハ来ル十日迄ハ右堤水流出申間敷由
一安庭村名主泰之助方ニ飛脚止宿之所同人申之候よし、右堤
水茂々押懸ケ来り候場へハ容易ニ有之間敷候とも申事ニ御
座候へ共是ハ人力ニ不及義先ツ御村々御用心第一ニ御座
候、同州ニおゐても川下村々ハ高キ所或ハ高山へ不残登り
居候趣右水中ニ相成候村々大凡松代様御領分之よしニ候へ
共抜場所ハ御捨置川下之村々御要害御才□不被申之趣、此
節御出役様方くしのはヲ引が如くニ而大騒動之よし飛脚之
ものも水押出し方伺見候所先つ川附村々ニ候ハゝ用心可然
歟被仰聞候も小市辺ハ先日之地震ニ而不残潰差立候ものも
殊之外難渋いたし候趣ニ御座候へとも先御無難ニて相帰候
間御同祝被下度候、此廻状無御写昼夜早々御順達留ゟ寺石
へ御返し可被下候 以上
四月四日夜 寺石
五ツ時 庄屋十兵衛
前村順庄屋中様
追而芦ケ崎公へ申上候先村々へハ御手元ゟ宜敷御達し可被
下候
（中略）
此度信州変難ニ付而は悪もの共入込間敷義ニ無之取締方大切
之砌ニ付村々為締同心出役申付候処其最寄へハ不差出候間其
方共先支配中ハ取締筋兼而申聞有之趣ニも候間此節之義ハ別
而心を付最寄村々役人共へも申談如何之もの徘徊不致様締筋
宜取計者也
四月十二日 十日町
陣屋
谷内村
庄屋
三右衛門
外丸村
同
固左衛門方へ
信州変難ニ付悪党共入込候義も難計村々取締向大切ニ可致
旨兼而先達而御廻状を以被仰付候所尚又別紙御用状を以私
共方へ被仰聞候間御覧御承知可被下候、且申上候迄ニハ無
御座候へ共当節柄之義御村々一際御心付御取締方御大切ニ
被為成候様御尤ニ御座候
一頸城郡辺之義悪党共多分入込狼藉いたし候趣ニ而同郡之義
ハ昼夜番人心を付其上手ノ物等出し候へハ尚悪もの共入込
可申哉ニ付村々申合一切手ノ内不差出よし、此程大嶋ゟ承
り候左候へハ近々当郡へ罷越可申哉ニ在之候而此趣御含候
云々も御心付御取締方専一可申候此廻状留り村ゟ御返し可
被下候 以上
四月十五日 固左衛門
三左衛門
（中略）
以連書得貴意候然ハ此度出水ニ而千曲川添村々別条も無之哉
下筋村々ニ而ハ追々水押届申出候ニ付此最寄村々於当村ニ相
糺信州抜払之様子等迄（カ）届早々可申出佐々木様ゟ昨夜御書付到
来ニ付、明後十九日拙村ゟ為御届出勤仕候間御村々之様子御
取調明昼後迄ニ御申越被下度此段得貴意候
四月十七日 大□（井カ）村
□右衛門
谷内 赤沢 芦崎 庄屋中
秋山夜（カ）之一条見聞之次第是又為御知可申
信州ゟ為知状写
宮ノ原ゟ出候
急キ仁義御免可被下候、然ハ御承知之通御同前心配仕候山中
溜り水之義最早七分通出払候由、今度中之条御出役様今晩西
大滝村御泊りニ而被仰聞候間、尤水元迄御糺し有之候上之義
安心仕依之右之段御返達申上候 以上
四月十七日夜
志久見
名主
善右衛門
いそ脇
○三左衛門
宮ノ原
庄屋六郎左衛門様
右之通只今志久見村ゟ書状到来信州山崩之分又々洪水甚心配
罷在候所如斯之趣安心いたし候、依之不取敢申上候此廻文急
□□御順達於十日町ニハ （ママ）其御筋へ被仰上候様宜敷御頼候
以上
四月十八日卯上刻 宮ノ原
庄屋
六郎左衛門
子種
大井平
谷内
赤沢
芦崎
下舟渡
江沢
馬場
十日町迄
右庄屋中様
（中略）
信州変難ニ付而ハ御預所ゟ他郡へ多分抜米有之趣相聞候間以
来他郡出来之分は陣屋ゟ切手差出候間其村番不相改可相通候
無切手之分は差押早々陣屋へ申出候依之印鑑相渡置候もの也
六月七日 十日町
陣屋
宮野原村
口留番人
六郎左衛門
大元村
六郎右衛門
（中略）
信州地震変難及不気候ニ付而は心得違之もの共猥りニ他邨抜
米等も致候哉ニ相聞候以来他邨出米或ハ船積等いたし候分は
吟味之上陣屋ゟ切手相渡候間信州出米之分無切手之分も寺石
宮ノ原両口留番所ニ而取引候様申聞候、尤船積之分無切手之
分は積受申間敷旨船頭共へ申聞置猥ニ積受之趣相聞候ハゝ早
々陣屋へ可申出、小前ニおゐても不相当之直段を以致取引心
得違之もの無之様村々へも早々可申聞候事
六月七日 陣屋取立方
十日町組
江元
（郷カ）庄屋方へ
右之通被仰出候条被得其意心得違無之様小前へも相触可申候
已上
六月九日 江元
（郷カ）川治村始
赤沢迄