[未校訂]次に、倅代まで入立御免、永代入立御免の書付がある。
倅代迄入立御免
岩野入立 松下次兵衛
旧冬大地震ニ付而御城内を始御破損所多、御物入之段奉恐
察、為御普請料、預銀壱貫四拾目献上之儀願出、奇特之至
候、仍而願之通御取納被下、被賞其志、書面之通被仰付之
安政二卯十月
「旧冬大地震」というのは、安政元年十一月五日昼七ツ過ぎ
(今の午後四時過ぎ)に起った大地震で、高御城、胡摩堂・
十二輪蔵御門・御中間長屋など皆崩れ、大台所の梁落ち、九
日頃まで余震が続いたという。『上村史』によると、安政五
年十一月廿六日付で、「生善院仏前勝手向き、去る寅年大地
震の節、殊の外大破に及び、修理方の儀自力計り難く、御郡
中に相対し奉加の儀願出られ候、寺社奉行より御沙汰に及ば
れ候処、御免成され候間、其意を得らるべく候」との廻文
が、藩庁から発せられた事が知られる。預銀壱貫四拾目を献
上したというのは、藩札をもって、献上したという程に解し
たらよいであろう。