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項目 内容
ID J1900287
西暦(綱文)
(グレゴリオ暦)
1854/12/23
和暦 嘉永七年十一月四日
綱文 安政元年十一月四日・五日・七日(一八五四・一二・二三、二四、二六)〔関東以西の日本各地〕
書名 〔佐古郷土誌〕○徳島県S29・12・25佐古小学校郷土史研究同人編・為実謙一発行
本文
[未校訂]十二 阿波地震人噂控書(福田剣山所蔵)
◎嘉永七寅年(同年十二月安政と改元)
一嘉永七年甲寅年、拾月廿七日朝七つ時より震い出し、一昼
夜少々宛八度。同十一月四日暖、晴天、七つ時より震い出
し、一昼夜大小十度。同五日晴、暖、昼七つ時より震い出
し、一昼夜大小十八度。同六日曇天、折々時雨、一昼夜少
々宛十二度。同七日冷風、晴天、一昼夜十度。同八日、一
昼夜八度。同九日、十日、十一日、十二日、一昼夜に五度
宛少々震う。
一右五日昼七つ時半過に乾より巽の方へ大波打つごとくうね
り出し、山中へうねり込み、俄に山鳴り天も砕け地も裂け
しと思う心地する。うねる時は、只平地行く事能わず。眩
暈いたす様にて、はいにじりもあたわず。地にかみつくば
かり。其後に成つても、波荒き時、船に乗りゆられし心持
にて、座上にいてもふらり〳〵といたす。
その夜又四つ時ころも同じ事にて、其後始終地鳴り絶え
ず。
右地震がゆりし時は、海川干汐の時なれども、俄に海水せ
ゝなげの色のごとくの大波高さ、浦辺にて二三丈余。半道
程打込む時は、五尺ばかり。右につき徳島市中は勢見山
か、佐古庚申堂上の山々へ、何れも蒲団、喰物、用意して
逃げ登り、御家中は遠在へ御立退
一徳島分。潰家五軒、損家数ふる能わず。福島大工島、安宅
築地分。潰家三十八軒。安宅分。大火。常三島、助任分。
潰家二十軒。助任町分へは常三島町に小屋打。前川西分
は、潰家十八軒。御家中、御奉公人は、裏庭に小屋を打
ち。大岡、馬脊、潰家十五軒、小屋同所。寺島、出来島
分。潰家四軒。富田分。潰家八十軒、小屋同所。佐古分。
潰家七軒。佐古分、一丁目より、五丁目迄潰家なし。此儀
は山近き故、外より震い少なきゆえなり。九丁目より三つ
合まで、次第と山遠くなる故、凡そ八分通り潰家あり。此
間は、間中へ小屋を打ち、往来人は家を小屋との両間を通
し。一丁目より九丁目迄皆山へ逃げ、新町分は、小供、女、
年寄は喰物、蒲団、用意して寺町寺内並に、三島山より勢
見山迄、人山をなし、三社、金毘羅参詣人市を成し、其外
市内神仏、昼夜祈念。神主、神女、僧尼、山伏、修験先達
に至る迄、丹精をこらし勤む。潰家三十軒、何れの町も何
一つも売買なし。津波の節に、新町川にも、三艘かえり、
死人六人、津波の後は、新町川に小船悉く引つくりかえる
一内町分七つ時半過より、大震にて大火。通町一丁目より出
火、内魚町より出火、四方へ焼け、五つ時に紙屋町火うつ
る。又紙屋町より出火。翌昼七つ時迄に、新し町、中町、
紀伊国町、八百屋町、残らず焼失。稲田御氏、加島御氏、
御両家建物残らず焼失。加島御代米二千石、稲田御氏米五
百石焼失。内町潰家十三軒、米屋二十八軒焼け、米麦都合
七千石余、牢浜、塀浦、横町、藍場浜、相残り、新し町三
丁目に十四軒残り、通町三丁目拾軒残り、紀伊国二軒。地
震より出火に相及ぶと内町の事故。人往来へ逃げ走ること
あたわず、右往左往せり、押し合いする内に、火追い詰め
られ、又は家柱にて打たれ死に、鎮火の後、七つに成る子
供、四つに成る子供と焼跡へ来り、とうさま、かかさまと
尋ねけれども、何屋何兵衛の子と知り申さず、御上に御養
育下さる。羽織屋吉右衛門とゆう女房、焼跡へ参り子供の
行くえを、相知れ申されずにつき相尋ね候所、焼灰の中
に、拾才に、七才の子供、手を引ながら死に居たり。其の
外婦人など、髪丸焼と成り、又は片頰こと焼のごとく成り
焼あとへ来りて、猫がおらぬなどいう。ひきうすをかかえ
て、新し町へ逃れし女もあり。死人七十三人、怪我人百三
十一人。親焼殺し、子焼殺し、夫に離れ、女房にはなれし
もの幾人とも数を知らず、稲田御部屋様行衛知れ申さず。
小者、女中二十人ばかり相わからず。加島氏にも、家来男
女三十人相分申さず。
出典 新収日本地震史料 第5巻 別巻5-2
ページ 1839
備考 本文欄に[未校訂]が付されているものは、史料集を高精度OCRで等でテキスト化した結果であり、研究者による校訂を経ていないテキストです。信頼性の低い史料や記述が含まれている場合があります。
都道府県 徳島
市区町村 徳島【参考】歴史的行政区域データセットβ版でみる

版面画像(東京大学地震研究所図書室所蔵)

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