地震史料集テキストデータベース
[未校訂]嘉永七年十一月
一左之通書付坂梨潤左衛門ゟ借受写置候事
十一月四日
三嶋箱根両宿ゟ廻状写
一三嶋宿之儀堂（ママ愛カ）宕町家壱宇も不残震潰レ、其上出火有之、
人馬御継立等も難出来候間、御通行之御向江無難之宿方
ニ而其段御断奉申上呉様申趣、右廻状江箱根宿之儀も同
様之儀ニ而申立呉様と同所ゟ申越候
小田原宿役人出府之者申聞候
一小田原宿之儀は一昨年地震ゟ少々軽キ方ニ而潰家は御座
候得共、往還指支は無御座候
一箱根宿七歩通相潰、本陣之儀も五軒之内天野平右衛門斗
相残申候
一沼津宿ゟ府中迄八ケ宿何れも潰家出来、其上出火等有之
休泊人馬継立も差支候也
但沼津・蒲原・吉原、三ケ宿別而甚敷、御本陣等も震
潰候由
一下田最寄海辺拾三ケ村津浪ニ而家作流失仕候也
一右大地震ニ付宿駅破損書之写、紀伊国屋六右衛門差出候事
一箱根宿南原町之儀は問屋場共皆潰、三嶋町之儀は問屋場
共半潰、本陣柏屋・鎌倉屋又原皆潰、天野平左衛門は半潰
一三嶋宿町中皆潰、明神前ゟ出火いたし、夫ゟ下方は弐町
程流失、明神拝殿皆潰
一韮山村方半潰ニ而御役所は大破損ニ御座候
一沼津宿不残皆潰、御城内大破損ニ而出火有之、怪我人多
ク有之
一原宿町中半潰
一吉原宿町中皆潰、家数三拾五軒程焼失いたし候
一岩淵大破損ニ而富士川江落入、三町程水流レ不申候由
一蒲原宿町中不残潰家数弐百軒程焼失いたし、怪我人多有
之候
一由井宿格別損所は無之候
一興津宿右同断津波少々有之候由
一江尻宿町中皆潰焼失、清水湊は皆潰レ焼失之由
一駿府宿同城内大破損、町方は出火なく、鷹匠町・伝馬町
迄不残焼失いたし候
一久能山不残焼失、奥之院御霊屋斗残り候由
一鞠子宿格別損所も無之由
一岡部宿実説未タ不相分
一藤枝宿御城内大破損、町方焼失、外皆潰
一日坂宿実説不相分
一懸川宿御城内大破損ニ而町方皆潰出火有之由
一横須賀御城内大崩之由
一袋井人家潰レ出火ニ相成候由
一見附浜松人家潰怪我人有之由
一舞坂人家潰
一荒井御関所町屋共潰レ、其上津波ニ而押流怪我人・死人
夥敷由
一白須賀二タ川人家潰、怪我人有之候由
一吉田御城内崩レ人家潰レ
右之通吉田宿迄荒増相訳リ、其先は紀州辺迄地震有之候得
共、実正相訳リ不申候
一甲州海道小仏峠ゟ先は宿々野陣ヲ張候也、甲府所々潰出
火ニ相成候
一信州松本同城内大破崩、町家潰
（注、以下他出あるため省略）