地震史料集テキストデータベース
[未校訂]嘉永七甲寅十一月五日勢州桑名より航（わた）りけるに海岸の方を見
れハ其音聞えねと並松のざハざハと云如し、数うち交して動
くさま大風にやと思へとも海上ハ穏なる故乗組の者皆訝り、
一同是を見るに暴に澳の方真黒く成り今見し方も見えす、驚（カ）
き思ハぬ人なし、其時船長客にいふゆう是ハ必津波なり早遁
るゝ道なし人々覚悟し給へと云、所持成せし物の内大切成を
腹に括して覚悟なす、折から潮濤々と鳴立て逆浪の打返と思
ふ所に舟底逆浪の撃する音して、二・三丈船ハ虚空へ閃めき
昇り、暫くしてとうと落れハ又逆浪に撃せられて昇るを初の
如く斯する事以上五度、活たる心地なく、程なく海上穏にな
り、岸に着熱田の駅に上り見るに、大地震にて家ハ震崩て梁
棟木に圧れ、泣叫男女の声耳を貫く、熱田に詣て猶往先を祈
んと路を抂（ママ）て社へ詣ける、不倒なるハ駅より道程僅八・九町
傍にして宮居少も損す事なく、社壇に捧し燈明の火さへ消る
事なかりし
一中山某遊歴して駿河に居れり、其日巳の刻頃中山氏外の方
に立出て人と物語なし居けるが、[破驚|すは]地震よといふ間もな
く両足痿て[磤|はた]と倒れ起上らんと成したれともたゝ転々とし
て立事難し、其時泥中より烟のことく沙の如きもの吹出て
満面を打るゝ程に目口たに開き得す、心昏瞑して前後もし
らす、暫くして揺静まり漸心地我に返り起上りて四辺を見
るに、家皆等しく崩れ倒て、四方に人の泣声聞へて、我家
も崩のこり三尺斗地中ニ入、衣類調度も屋根壁崩れ覆ひ[頓|にわか]
に出さん様もなし、□米もなし炊く器さへ地中に埋もれて
詮方なし、井皆崩れ崩さるハ泥吹入るゝ、人々飲食を絶た
り、翌日村の荘屋より漸く米を得粥に煮て施したれハ始て
喉を潤せり、翌日粥啜りしハ未尅なり
一此頃駿府の様子ハすハ地震と云程ことなれ蔀格子も忽破れ
く（カ）しげ戸障子倒れ、縁先の槻柱一時に倒て、外に出んとす
れど足も立す、漸転出して頻に震ふ事烈しけれハ、傍に在
大木の一抱も在んとするに抱き付しか、其大木幹大小揺に
より手を放こと凡三度、又地上ニ転し者ハ更に起上る事叶
ハす、其時大地裂て泥沙吹出し遍身泥に塗れて面目も分た
す、震止て漸起上るといへとも眩暈て歩（ママ）歩叶ハす、然に凡
半時斗にしてまた揺返し来る事初めに競ふれハやや緩し、
夫ゟ時々刻々震ふ事数を知らす
安政三（ママ）寅十一月四日巳之刻頃と承、諸国大地震ニ而震候所
ハ紀伊・和泉・摂津辺と承、五日暮合備後境芸州怒田本郷
ニ而大震ニ逢、旅宿四壁砂少し落たる位ニ而、地抔少々破、
石燈籠等落候場所も有之、備後尾之道辺ハ痛家多見不申、
福山領鞆辺茂格別之損承不申、播州赤穂城下潰家多分之
趣、同国網干ハ丸亀領ニ而潰家多分之趣及見候処、姫路明
石之間加古川沢（駅カ）
大潰ニ而、往還筋崩塞通路、両三日差支、
前後村ハ右様ニ無之、曾根高砂辺痛家少々、兵庫・西宮・灘
辺損多相見へ不申、尼崎城下潰家大痛多相見へ、城屛崩落候
一大坂之儀痛家等少、海辺之小家は潰痛有之候、塀壁等白土
少々落候処見へ、諸役宅都而格別之損見へ不申
阿知川口江ハ津波入方少、木津川口ニハ四国之方江川口向
候故に津波多、大船多押入、大橋八ケ所押流、此節川近之
町人地震之難を遁れんと、老人女子供等家財大切之品等川
舟ニ乗積候処、大船押入橋々落候位之勢ニ而乗潰候而、三
町程之間大船之下ニ押埋、弥か上ニ重り大川舟ニ而埋候
故、舟人共家亡致候由、川口留り候而ハ市中惣体日産ニ支
候故、両奉行出張、与力同心江下知を加へ、大船引退又解
舟致し、其下ゟ小船潰候を引揚候得共、死骸手足所を違い
たる多、且大船浅瀬に押上引退等種々手を尽し、下知有之
候得共、大船之儀急ニ捗取兼、震後八・九日後ニ半ニ至兼
候趣、御城ハ大破も無之、大船引退等一々見届取斗、入用
出方ハ川浚金等を以取斗、小前困窮救方身元相応之者多場
所故、奉行所江差出金致し、救方ハ被申付候由、市中風聞
ニは、凡大船五百艘大損、小損可有之小舟千艘茂粉之如く
相成候哉、死亡凡千五百人位も可有之趣申候得共、□（推カ）て大
凡之見積と相聞候
一泉州境も大坂位之地震格別風聞無之、伏見損不見
一京都は無難ニ而市中損聞不申候
一大津駅ゟ桑名辺ニハ宿寄村々共、当六月十四日地震災厄請
候処、少々宛損、格別之処無之、庄野宿之厄病ニ而十四・
五人死去候由
一伊勢神殿御平安燈籠茂落不申、勢州津・志州鳥羽之間度々
地震ニ別条不為渡候
一志州鳥羽辺津波城際迄大波打入、人家流失三分之二ニ至候
趣、乍併宿初七尺程之高波ニ而悉逃退死亡六・七人之趣
承、尤小島数多場所柄ニ付可逃退登（ママ）無之故皆亡所皆（ママ）死亡も
可有之推察仕候
一鳥羽領ニ並ひ紀州領長島家数二百軒近流失、残二十七・八
軒之由、紀州熊野浦辺四国ニ向合候故、津波地震大損之趣
と斗風聞承り、勢州松坂大破潰家多由
一勢州津城下大破潰家多候由
一四国淡路島格別之大地震ニ而、阿波徳島城下惣潰、出火所
々起、津波流家之残ハ皆焼失と承申候、同領淡路島皆潰、
出火等有之候哉、火の手見へ、外七ケ村程津波ニ而田畑平
沙に成抔と不取止儀申触候
一土州高知城下大潰ニ而出火、翌六日午刻頃迄ニ壱里四方程
之地皆潰焼失、同領宇佐浦と申湊城下より三里家数千軒も
有之候処、津波ニ而皆流失之趣、同国飛脚咄候由風聞ニ而
候
一尾州名護屋損無之趣、津島家数六十軒潰候由承り、宮駅は
本陣大半潰、旅籠屋半潰多相見へ、惣体痛家相成、内二十
軒大痛、即死ハ相聞不申、鳴海宿ハ宮ゟ軽く、町はつれ十
四・五軒潰有之
一三州池鯉鮒宿之儀少々痛家相見へ格別ニ無之、苅谷城壁所
々落城下大破之趣
一藤川宿一体分、□宿古家ニ而大破無之、悉少損ニ而候
一岡崎城并町駅共先無難ニ而少々宛痛相見申候
一矢矧橋西之方ニ寄、弐拾間程橋杭震込候哉、真中ニ而三尺
程下り相見へ、同中央ゟ東ニ寄拾八間程真中ニ而弐尺六・
七寸之下り相見へ、通路ニは差支無之
一矢作川通堤所々割下多、川下ニは一町程之間河原同様平地
成候程震下候場所有之趣及承候
一赤坂宿御油宿ハ両駅共無難ニ而候
一吉田領村々皆潰大痛多、就中吉田城櫓三ケ所崩落塀多門潰
崩落、武家住居大損ニ而八歩は潰家ニ成候趣、駅旅籠屋ハ
潰家少傾痛多、其外両城下入口町・裏町等大潰家多、建候
家ニ而も大潰同様、悉不立替候而ハ難用立家多見候
一二川宿は休泊少き貧宿ニ而、家並茂不見、半潰痛家多有之
由、通行不仕承候斗ニ而候
一田原城ゟ伊良湖崎ニ至海中ニ出張、尾州・勢州ニ向候地故
津波山崩等大荒之趣ニ而、海岸之小山海中ニ震出し、小嶋
は海底ニ埋候抔と申風聞ニ而候、殊四日巳之刻ニ付、漁舟
乗出居候処、沖より高波見候ニ付、身命限漕戻、上陸ニ而
声々ニ津波々々と呼立逃退候故、死亡は存候ゟ少候得共、
悉臘（ママ）舟猟具を流失仕、差当産業を失、海辺漁家田畑作不申
者多必死ニ而難儀致候趣ニ候
一二川宿白須賀宿ハ御救筋願候趣
一新居宿は地震津波ニ而潰家流家等多休泊支へ、御関所御門
并番所等皆潰候趣ニ承申候
一舞坂宿之儀三方ニ海を請皆亡所ニ相成候様風聞之処、新居
ゟ軽く流家ハ宿西端ニ而少々有之由、宿囲堤ハ中ニ成候由
一同所渡海之儀甚六ケ敷相成、元来今切ハ波際ニ洲両方ゟ
出、波冠澪口狭候処、凡三倍程広相成、深も多分相増、波
荒く少々帆立ニ茂小舟之渡海難相成、殊に地震後同月十六
日茂高汐陸江上り候位ニ有之、日々刻々留□仕候趣ニ而多
く本坂通行仕候様子ニ而、両道とも難儀仕候趣ニ御座候
一浜松宿多分潰家損家有之由、同領川々堤凡三万八千間（カ）割
下、其外損橋損所多候由
一本坂通気賀町家居ハ無難候得共、地震後ゟ潮水高、田方六
七歩潮冠居
一市野村家数百五・六十軒之村潰家弐拾軒程、五十軒程半
潰、土蔵皆潰、宿寄村之大方同様之由
一天竜川通堤悉割、或は減下り切石同様相成、下川海近之村
ハ荒強、堤損所も出来割下人家潰家多有之由
一天竜川下掛塚湊宿寄共格別潰家多皆潰同様之由
一同川渡舟場立場皆潰同様同村上土蔵新田堤減下り、水面ゟ
高弐尺程之堤ニ成候所凡五十間程有之由
一浜松ゟ見附宿迄道四里之間橋々多落、地所割下りて通路難
相成一□（谷）坂之近道仮通路致候得共、素ゟ馬荷通行難成、無
拠人足を以馬荷継送、右故格別人足多く継立難儀之趣
此儀ニ付諸家通行人足賃相払候哉尋候処、道中奉行下知
ニ候ハハ可相払抔申払不申由
一見附宿之儀大破致候家茂有之候得共、休泊相成候家并曲起
直壁塗替被用立家多、本陣等は大損じ趣ニ候
一中泉陣屋長屋等皆潰、陣屋潰痛等ニ而、都而海辺迄之村々
大体潰ニ成候趣ニ候
一袋井宿は無高ニ而家数百七十六軒皆潰焼失、即死は七十一
人、怪我人不数知、四方囲堤百三十八間減下り、必至と難
義仕実ニ可及飢体ニ有之候
一右宿西三ケ野橋崩落、請負橋此辺ゟ日坂手前迄間之村々悉
大潰、格別之様見へ申候
一掛川宿之儀城三重櫓上一重崩落、弐重ハ半潰、其外櫓城門
塀不残崩落、城門土蔵不残潰、家中東北之辺之小身之者家
少々立家有之趣、其余皆潰、伝馬町十一町家数八百四十九
軒之内五百四軒焼失、四百弐軒ハ潰、即死五十二人、怪我
人三人、宿馬二疋日坂宿馬一疋焼死、伊豆国下田御堅参居
ル武士津波ニ逢、衣類諸道具武器迄流失、川通堤悉割下り
滅入候由
一日坂宿は元来困窮宿ニ而近年焼失致未普請茂出来揃不申位
之処仕合是地震ニ付潰家等無之痛家位ニ而先は無難之方ニ
候
一小夜中山立場茶屋皆潰、菊川立場先無難之方、痛家而已ニ
候
一金谷宿大潰多立家少々ニ見候、河原町潰之上焼失等、橋々
震落橋台震出往還割候処外宿ゟ多、並木松土居敷震込震
割、田畑震上震下、大井川堤同様之損、大□（ムシ）川堤悉震滅出
水之憂片時も安心不仕由
一大井川通西縁村々下側谷口村・大柳村家半潰多下八幡島新
田・大日村・高嶋村・川尻村潰家多、川尻村之海口浜之方
ハ潰少堤通惣体大破之内、八幡嶋新田・大日村辺は河原同
様堤平地之如く震込急水留願候由
一同川東縁村々山寄は痛少、島田宿ハ上泉村迄六ケ村起直可
相成家多、西島村以下五ケ村潰家損家多、堤通惣体割下り
土類（ママ）割下り多、西島村・中嶋村辺ハ河原面ゟ堤之方三尺程
低成候程震下、急水留不仕候て寒中渇水ニ茂堤門ト川筋ニ
流入可申挙て相願候由候
一嶋田宿ハ金谷宿ゟ潰少、本陣三軒潰其外大痛ニ相成候而、
起直し壁等塗替可相済家多候
一藤枝宿は島田宿同様之痛ニ見へ裏町焼失、宿東ニ而往還筋
ハ焼出壱町余両側焼失也
田中城は大痛ニ而塀等大方崩落、城主武家皆潰草葺之仮屋
漸立候趣、格別難義之由領分村方城下町之風聞ニ候
一岡部宿は大破ニ成候得共、中々之起直ニ而可済家見へ、岡
部宿半潰五十八軒・小破百二十軒之由、内谷潰家八十五
軒・半潰五十七軒・損家三十六軒之由
一丸子宿ハ痛家茂有之、先ハ無難休泊差支無之候
一駿府入口弥勒町皆潰半潰多、市中九十六町痛不見中軒並皆
潰之町々入交惣体大損ニ見へ候
御城大破櫓多門崩落、石垣凡方崩落、御城門大破之趣、伝
馬町近辺江川町ゟ出火東横田町迄焼失
府中町焼失竈数二百七十四軒内、百十三軒家持・百五十九
軒表裏借家・土蔵十六ケ所焼失・半潰七ケ所・即死九人・
怪我人四人
惣町家数四千四百拾軒之内、潰家四百三軒・半潰三千百十
八軒・焼失六百十三軒・小破二百七十六軒・潰土蔵四百五
十五ケ所・焼失四十三棟・即死四十五人・怪我四十九人
一清水湊町数八ケ町竈数七百五十軒人別凡三千六百人不残
潰・五ケ所出火不残焼失・土蔵凡百七十ケ所潰焼失、即死
五十人・怪我人二百五十人余り申事ニ候
一江尻宿ハ家員三百八十八軒潰之上焼失・外潰家七十五軒・
即死十九人・怪我人多分之由、巴川橋西詰二間程橋台共崩
落、海舟てんま舟ニ而渡舟候
此舟馬舟ニ無之荷物積事危、一般ニ而手間取諸人難儀ニ成
候間、古橋ハ杉丸太三本並古板並橋杭ニ添柱立候様申談
候、此橋駿府町奉行支配と承知ニ而差図致候
一興津宿は潰家損家と見へ候得共、休泊差支有間敷候宿裏波
打際震揚以来普請ニ心及様見へ候
一三保松原洲先半里程海中ニ引入、海中岩震上ケ青（ママ）筈枯失候
一由比宿ニハ無難見へ差支無之候
一蒲原宿家員五百二十軒之内、潰家四百九軒潰之上焼失、家
百十一軒之内本陣一軒・脇本陣一軒・旅籠屋廿四軒・寺七
ケ寺大潰・二ケ寺半潰・即死十人加宿小金村家八十四軒内
五・六軒皆潰余ハ半潰之趣
一中之郷村家員百九十七軒之内、百九十三軒大潰・四軒半
潰・寺四ケ寺潰・即死一人・怪我人四人之由
一渡舟場岩淵村之家員三百六十四軒之内、三百四十四軒潰・
二十軒半潰・四軒潰之上焼失、人口千五百三十一人即死十
六人・怪我人二十五人・渡舟高瀬船七艘流失、畑地高台弐
町余欠崩、往還石垣三十間余崩落候趣
一東縁松岡村家数二百七十五軒之内、二百五十七軒大潰・十
三軒半潰・怪我人三人之由
一富士川通堤土類（ママ）割下等多有之趣
元禄年中加島新田出来後岩淵中之郷蒲原水当年来普請有
之、西縁松岡村下は富士川新田出来候処、地震後本瀬一円
松岡村三番出下富士川新田堤根通付西縁高成、松岡水下村
々人数千人程河原堀割可申処、西三ケ村取合可相成処也
一潤井川用水路山崩土砂崩落不残埋候趣
一森島村・宮下村・五貫島村凡七分大焼（カ）二三分歩破候趣
一吉原宿家員五百三軒之内、二百七十六軒大潰・百四十五軒
大破・四十六軒小破・焼失家三十五軒・土蔵潰四十一ケ
所・寺十ケ寺潰、時々山手村々小損海辺加島郷大破多由候
一原宿は小破ニ而潰家少ニ而休泊差支無之候
一沼津宿ハ潰家三百四十軒・半潰百四十一軒・大破七十一
軒・流失家五軒、其外小破潰土蔵六十八ケ所・半潰六ケ
所・大破土蔵百九ケ所・即死人拾人・怪我人多分・斃馬六
疋・外潰寺十一ケ寺・狩野川宿囲石垣石出七分通潰損候由
領主館皆潰家中七分皆潰其余大破之由
一城下宿寄田畑山崩津波荒、網場打崩、臘（ママ）具舟等流失
一同十三日戌上刻字上土町出火、六十五軒潰家焼失
一城下北上小林村地所三町程幅一町程地所落窪、深五丈或三
丈と申家七軒程地面共々落入、亡死助命両三人之由
一三島宿潰家千八十二軒・半潰四十二軒・焼失家五十軒・土
蔵潰四百ケ所余、即死無之怪我人多分休泊家無之
一駿東郡須走辺痛少、竹下御殿場辺多分損候趣
一箱根山ニ掛村々潰家少、山中立場ハ休泊之旅人ニ有之由
一箱根宿伝馬役家百軒・歩行役之内本軒三軒皆潰、三軒ハ大
破・脇本陣一軒皆潰・旅籠屋七軒皆潰・五十三軒大破・七
軒ハ小破・死人怪我人無之、出火三ケ所防留候由
一御関所番所大破、仮番所ニ而相守候
同山東畑湯本辺都て以東無難由
右此度長崎表帰路通行筋見聞仕候趣申上候 以上
寅十二月