地震史料集テキストデータベース
[未校訂]（嘉永七年京都）
六月十六日清田より
一筆致啓達候……
一昨十五日子中下刻頃地震之処、当御座敷并伏見御屋敷共御別
条無之、其外御兩家様三条様ニ茂御別条無之、奉恐悦候
一右地震之節 主上当時仮御所桂宮様より 近衛様江被為遊
御退候由
右之段江戸江及言上候付、為御存知申達候 恐々謹言
（同 大坂）
六月十七日佐久間角助より同廿六日着
一昨十五日子中刻頃、当地稀成地震有之、巳刻迄之内三度斗
震動強く、其後次第ニ間遠く相成、薄らき候得共、今日午
刻迄茂折々動揺相止不申候、右付而当御屋敷御茶屋御台所
下屋根御家中御小屋之内下屋根崩落、其余御蔵等損候ケ所
茂有之候得共、格別大破と申程之儀無之、怪我人等も無之
候、尤播摩路辺より泉州堺大和辺は就中震動強く為（ママ）有之
由、伏見大津草津辺迄も同様之由ニ候得共、風説区々ニ而
未聢と相分り不申候、此節之地震近国之高山抔異変有之た
る様子は相聞へ不申、早故之震動ニ茂可有之哉と評儀いた
し居候、此段為御存知申達候 以上
（欄外追加）
「本文之趣昨十七日飛船幸便を以申達候処、今十八日江戸ゟ
之雇飛脚差通候ニ付猶申達候、尤十七日午刻より夕七半時頃
迄之間軽く五六度程動揺いたし、夫より強風ニ而微雨降添、
戌刻過迄之内風和キ雨天ニ相成、ふるひ不申候処、今十八日
朝猶又両三度軽く動揺いたし未安心之場ニは至り兼候得共、
今十八日朝迄も雨天ニ付是ニ而発散、平穏ニ至り候へかしと
祈候事ニ御座候事」
六月廿四日佐久間より七月四日着
当地之震之趣、去ル十八日之状を以申達候通ニ候処、其後
一昼夜之内両三度程宛も致動揺候得共至而手薄く、昨廿三
日夕七時分少々動揺其後は穏止申候、此節之地震先便も申
達候通、和州郡山・奈良笠置・伊賀上野夫より伊勢路江懸
四日市辺は至而震動強く、潰家等夥敷即死怪我人も多有之
たる由、且四日市駅抔は家ゆり崩候上出火も有之、通行差
支、此節之御飛脚も美濃路江踏替罷越候由、右之釣合を以
相考候得は、当所京都とも右之響ニ而、格別之被損も無之
相済、病根は笠置辺と相見へ申候、右之通ニ而此表之儀、
相替儀無之候得共、任御便此段得御意申候 以上