地震史料集テキストデータベース
[未校訂]当村の義、去る（十一月）十二日大地震にて御百姓家不残潰候処、
数日雨もり等にて、拵立候御米過半痛み米出来仕、御年
貢米に可撰立米怔（ママ）不足仕迷惑至極仕候依之御収納高の内
五分通米納仕、残り五分通りは金納被 仰付、当十二月
来丑三□三ヶ度に以御割合御上納被 仰付被下置度奉願
上候、然る上は御定の通御払御値段に五分高の積り以代
金上納可仕候間、何卒格別の以御慈悲願の通り被 仰付
□□（ムシ）難有仕合奉存候 以上
文政十一子年十一月
中条村長百姓
与左衛門
組頭
安右衛門
庄屋
弥忠太
御役所
一大野願書右同断
右願不差出候付御代官所へ御内見に入候処、先奥書いた
し差出候様被仰付奥印いたし差出候
大野新田長百姓
安平
組頭
四郎左衛門
庄屋
勇蔵
庄屋
庄蔵
三島郡落札値段
五分高込値段
一金拾両に付 弐拾三俵七分三厘
人足五分高
一金拾両に付 弐拾俵九分
荏
一金拾両に付 拾九俵六分九厘八毛
両替六貫七百弐拾文
川東蒲原郡五ヶ村
一金拾両に付 弐拾弐俵三分弐厘 落札
一金拾両に付 弐拾壱俵八分弐厘 五分□（ムシ）
子十一月
私共村々当郷方の儀、順気悪敷一体出来劣御座候得共、
御上様御苦労筋差上候義奉恐入、鎌立苅入仕追々増立置
候米籾共、去る十二日の変事にて御百姓家不残震潰、数
日の雨漏にて濡米に相成、御年貢に被納可仕候儀無之当
惑至極仕候、依之両村御収納米の内半高米納半高金納、
当子来丑三□（四）月三ヶ度御割合を以上納被 仰付被下置度
奉願上候、然る上は御定の通御値段五分高を以上納可仕
（五四八頁に続く）
文政十一子年十一月十二日地震に付
■焼失印 拾七竈
○潰家印 弐百六拾三竈
△半潰印 九拾六竈
大破四百八竈 神社破損無御座候 土蔵潰十
即死三拾四人 寺庵大破九軒 土蔵破損九拾壱
怪我人百拾人 社家大破弐軒 ××潰家焼失壱軒
潰家壱軒
候、尤延金納の儀御定法も御座候処、押て奉願上候段奉
恐入候御義御座候得共、前書の仕合何卒厚以御慈悲右願
の通被 仰付被下置候ハ小前一同御救と難有仕合奉存候
以上
安政十一子年十一月
中条村長百姓
与左衛門
組頭
安左衛門
庄屋
弥忠太
大野水村長百姓
安兵衛
組頭
四郎左衛門
庄屋
勇蔵
庄屋
庄蔵
御役所
（文政十一年十一月十二日の大地震）
乍恐以書付奉願上候
先達御注進奉申候通、信濃川通堤延長凡千三百間余当御
領方蒲原郡中野西村・鶴ヶ曽根村・末宝村・福原村・松
ヶ崎新田五ヶ村桑名御預所同郡中野西村・中野中村・中
野東村・亀ヶ谷新田四ヶ村都合八ヶ村受前の御普請所に
て、去る寛政年中ゟ文化年中迄、松ヶ崎新田始私共村々
地先江本瀬附寄迄分川欠引堤等にて損地出来仕 御公儀
様ゟ年々国役御普請数度被 仰付水難相遁難有奉存候、
右に付只今追々附洲出来平水の節は河岸ゟ堤迄余程隔り
候へ共、当夏中出水の砌堤通八九合水にて所々致越水、
或は蛇鼡の穴ゟ通水に□（ムシ）堤一円膿立既に切所に可相成
処、御普請受八ヶ村人懸を以昼夜出情（精）仕漸防留め候跡、
堤通り過分波欠越し水にて堤肩崩れ落候場所、早速人夫
取懸八ヶ村自普請に上置腹附等取拵候処、当十一月十二
日大震ニ而堤形大半裂ケ候内、割れ候口幅五六尺より三
四尺、其上地中えめり窪ミ、中には一向堤形無之体の所
も有之、只今少々の出水にも切所に可相成も難斗儀に危
急の大難場に相成、来春雪汁出水有之候はゝ可防手段無
之体歎ケ敷奉存候若し堤切に相成候而は御料所中野組
村々御当領は不及申上水下タ新発田御領数拾村一同亡所
頽転仕候は歴然ニ御座候、勿論石砂入に相成御田地開作
可仕様有之間敷、右体成行候而ハ莫大の御不益筋奉恐入
候、其□（ムシ）私共村々此度地震ニ而住家皆潰に相成、夫食農
具迄失へ殊に当年は越後国一統凶作にて、百姓夫食の雑
穀払底の所村々急難に逢当日[彳|タタズ]ミ場も無之、雪中路頭に
迷ひ候体、未た仮り小屋□（ムシ）取繕ひ兼候者の飢寒難凌悲
歎罷在候、此上水難に逢候ハゝ村々大勢の百姓餓死仕候
外無御座候、御慈悲を以 御料所御立会御普請被 仰付
度奉願上候、幾重にも御憐愍の上願の通被 仰付候ハゝ、
村々御救と難有仕合奉存候 以上
文政十一子年十二月
蒲原郡松ヶ崎新田
百姓代組頭権六
庄屋 幸助
鶴ヶ曽根村
百姓代利左衛門
組頭 長左衛門
庄屋 鉄次
末宝村百姓代
幸蔵
組頭庄屋六郎次
組頭 六蔵
庄屋 幸左衛門
鶴ヶ曽根村
百姓代惣左衛門
組頭 源之丞
同 友七
庄屋 茂兵衛
同 勝七
中野西村
百姓代由左衛門
組頭 角兵衛
同 兵左衛門
割元庄屋忠左衛門
与板
御役所