地震史料集テキストデータベース
[未校訂]（「史料」第三巻一八頁下段二行目の次に入る）
一四月廿三日御勝手懸御老中松平越中守様御用人より御
呼出之旨申来候聞即刻御留守居川口長兵衛罷出候処御
用人を以左之御書付御渡被成候
奉書半切 折裏ニ 松平主殿頭江
松平主殿頭
領分島原城郭近所山崩高波抔ニ而町在共ニ人家も流失
怪我人茂不少趣ニ相聞候夫々手当は可被申付候へ共損
所も夥敷様子ニ付金弐千両当分為手当拝借被仰付候御
金請取方並上納之儀は御勘定奉行より可相達候間可被
談候
但右御礼之儀は拝借金相渡候以後使礼可被差越候
一右ニ付翌廿四日御勘定奉行御勝手掛月番柳生主膳正様
江御書付之写壱通長兵衛持参御金請取御証文御下書之
儀御頼申込候其節左之御書付御用人を以御渡被成候
松平主殿頭
留守居
所之内何方ニ而御請取有之候哉右否之儀早々可被申聞候
四月
一右之御書付相渡候付翌廿五日主膳正様江持参左之書付
差出
昨日以御書付被仰渡候趣共奉畏候勝手ニも宜御座候間
大坂ニ而拝借金御渡被下候様仕度奉存候依之此段申上
候 以上
松平主殿頭家来
四月廿五日 川口長兵衛
一四月廿五日夕方柳生主膳正様より御留守居江御切紙到
来即刻川口長兵衛罷出候処御拝借金請取証文下書御渡
被成候但本証文下書仮証文下書弐通相渡候得共本証文
は殿様御逝去ニ付不被差出候間不載之仮証文左之通
請取申金子之事
合金弐千両
右は領分島原城郭近所山崩高波抔ニ而町在人家流失怪
我人も不少損所夥敷当分為御手当来々寅より来ル午迄
五ヶ年賦返納之積を以拝借被仰付書面之通請取申候当
時在邑ニ付追而主殿頭直判手形ニ引替可申所仍如件
松平主殿頭家来
寛政四子年四月 島田平右衛門 印
松平石見守殿 坂部能登守殿
春田半十郎殿 酒井与左衛門殿
羽太織部殿 伴吉五郎殿
右之通相認翌廿六日主膳正様江御留守居持参差出候処
同廿九日御裏書御調印相済御呼出ニ而相渡ル
表書之金弐千両御渡追而主殿頭直判手形ニ御引替可
有之候所は本文ニ有之候 以上
子四月 大久保内膳 印 佐久間甚八 印
村垣左太夫 印 大林与兵衛 印
佐橋長門守 印
公事方 無印形 曲淵甲斐守
公事方 無印形 根岸肥前守
久世丹後守 印 柳生主膳正 印
松平石見守殿 坂部能登守殿
春田半十郎殿 酒井与左衛門殿
羽太織部殿 伴吉五郎殿
右証文五月朔日御徒横目持参大阪江差立ル
（「史料」第三巻二一頁上段左から五行目の次に入る）
一五月廿三日御留守居持参差出ス
一筆啓上仕候去月廿三日御宅江家来之者被召呼私在所
山崩並高波抔ニ而破損所御座候付当分為手当御金弐千
両拝借被仰付候旨以御書付被仰渡難有仕合奉存候右御
請為可申上捧愚札候 恐惶謹言
五月三日 御名
松平越中守様 参人々御中
一御拝借被蒙仰候為御知御老中様本多弾正大弼様江御留
守居相勤ル
（「史料」第三巻二一頁上段最終行と下段第一行の間に
入る）
一六月五日松平越中守様並御用番鳥居丹波守様へ左之通
御届書御留守居持参差出ス
父主殿頭江当分為手当被仰付候拝借金去月十六日於大
坂御金蔵請取候段申越候此段御届申上候 以上
六月五日 松平主計頭
一六月六日御勘定奉行四月御用番柳生主膳正様へ平使者
ニ而左之通御届
亡父主殿頭江当分為御手当被仰付候拝借金去月十六日
於大坂御金蔵請取候段申達候此段以使者御届申達候
以上
松平主計頭使者
六月六日 保母軍蔵
一柳生主膳正様江御留守居持参差出
先達而肥前国島原大変ニ付右為手当拝借金被仰渡御金
家来仮以証文於大坂表請取申候本証文入替可申候処主
殿頭病死仕候付主計頭証文入替可申候右証文御案文被
下候様ニ仕度奉存候未忌中ニ御座候得共無程忌明仕候
間此段奉伺候 以上
松平主計頭家来
七月十一日 川口長兵衛
右差出候処同十七日呼手紙到来同人罷出候処別紙之通
御証文下書御渡被成候
請取申金子之事
合金弐千両
右者領分島原城郭近所山崩高波抔ニ而町在人家流失怪
我人茂不少損所夥敷当分為御手当書面之通拝借被仰付
請取申候返納之儀は来々寅より来ル午迄五ヶ年賦上納
可申処仍テ如件
寛政四子年七月 松平主殿頭 印
松平石見守殿 坂部能登守殿
春田半十郎殿 酒井与左衛門殿
羽太織部殿 伴吉五郎殿
右之通相認御調印相済写弐通相済七月廿一日御勘定所
江長兵衛持参差出候処御引合相済御改印相済御渡被成
候右差出候御証文写ニ受取書認候様ニと有之候間則左
之通相認差出罷帰尤御証文本紙は請取罷帰追而御印鑑
差出候様ニと有之候
本紙証文御改印相済御渡被成請取申候 以上
松平主殿頭家来
七月廿一日 川口長兵衛 印
右御証文七月廿二日松平越中守様江御老中様方御印為
申請差出候処翌廿三日御調印相済御渡被成候間御老中
守様江御礼御留守居相勤之
御裏書左之通
表書之金弐千両可被相渡候所は本文有之候返納相
済候は証文可被相返候 以上
采女 印 和泉 印
伊豆 印 丹波 印
越中 印
右御証文 岡部武兵衛守護大坂江被差立
一七月廿四日御印鑑壱枚御殿御勘定所江差出
松平主殿頭家来七月廿四日 川口長兵衛
印鑑松平主殿頭○
（「史料」第三巻二一頁下段十二行目の次に入る）
一七月廿九日右同所江留守居持参差出候処翌朔日御附札
を以伺之通御差図有之
私在所之粕漬梅例年七月中献上仕候処当春より山焼出
水抔ニ而木損梅不熟仕候依之当年は引替葛粉献上仕度
奉伺候 以上
七月廿九日 御 名
（「史料」第三巻二七頁上段五行目のあとに入る）
一右御拝借被蒙仰候為御知松浦越前守様石川六右衛門様
江早速御手紙差出ス
以手紙令啓上候昨日申入候通拙者儀就御用今日致登城
候処領分当四月山崩高波ニ而城下市町数ケ所及荒廃候
付格別之以思召金壱万両拝借被仰付旨御用番戸田采女
正殿委細之御書付を以被仰渡難有奉存候此段御知せ為
可得御意如此御座候 以上
九月四日 松浦越前守
外御同役中江も乍御世話御通達可被下候頼入何へも
同文 但致啓達 石川六右衛門 外同断
一九月五日御勘定奉行御勝手還り平使者ニ而遣ス
久世丹後守殿
柳生主膳正殿（当月御用番之処御忌中ニ付御代り、佐
橋長門守御勤被成候右御使者も差延ル）拙者儀御用ニ
付昨日致登城候処領分当四月山崩高波ニ而城下数ケ所
及荒廃候付格別之思召を以金壱万両拝借被仰付旨御用
番戸田采女正殿被仰渡難有奉存候此段為可得御意以使
者申述候
但佐橋長門守様江は同様御留守居御使者相勤御拝借
金請取御証文御案詞之儀も御頼申伸ル
一九月十日弐千両之御拝借金御証文大坂御金蔵ニ而仮証
文と引替相済大坂より差越候付柳生主膳正様へ御留守
居持参御勘定奉行様方御消印之儀金左衛門相勤ル
一九月十一日御拝借金被蒙仰候為御礼今朝戸田采女正様
へ御対客御勤被成
一同日御勘定奉行柳生主膳正様佐橋長門守様より御呼出
御切紙到来翌十二日櫛田金左衛門罷出候処御勘定組頭
若林市左衛門を以御拝借御請取証文御下書御渡被成候
左之通
請取申拝借金之事
金壱万両
右は領分当四月山崩並高波ニ而城下其外亡所多諸普請
万端之儀別而可為難儀ニ付格別之思召を以拝借被仰付
候間書面之通請取申候返納之儀は来巳年より十ケ年賦
上納可申処仍如件
寛政四子年九月 松平主殿頭印
松平石見守殿 坂部能登守殿
春田半十郎殿 酒井与左衛門殿
上而除ニ成 中島宇右衛門殿
海野新左衛門殿
右下書相渡候付即日柳生主膳正様へ平使者ニ而御挨拶
左之通
一柳生主膳正殿 今日は家来之者御呼出拝借金請取証
文下書御渡被下忝存候右御挨拶以使者申述候
一佐橋長門守様ハ御介月番之節右下書御頼櫛田金左衛門
相勤候付同日右御挨拶同人使者相勤ル
但御金ハ大坂受取ニ相成候様致度趣先達而相咄置候処
大坂渡ニ被仰出候間右御挨拶も兼相勤ル
一九月十三日御金証文御下書之通相認御印判相済候事右
写弐通認添御留守居相渡
一同十四日右御証文御勘定所江御留守居持参差出候処御
定印相済御渡被成候間今日松平越中守様江御裏印為申
請差出候也御留守居被申候
一先達而御拝借之仮証文御消印相済御渡被成候ニ付御老
衆江差出候也是又御留守居被申候
一同十六日松平越中守様より御呼出ニ付御留守居罷出候
処御拝借証文御裏印押損出来候之間認直差出候様ニと
有之早速罷帰認直候尤右御証文宛名之内酒井与左衛門
様昨日御役御免ニ候間相除候而可然旨御用人申聞候間
則相除認ル尤差出置候御証文は御差戻受取罷帰
一同十七日右認直御証文今朝御勘定所江金左衛門持参右
認直之趣申達御定印之儀申込候処早速御定印相済候而
御渡被成候間即刻越中守様へ持参御調印之儀御用人江
申達頼置候
一同十八日、越中守様御用人より切紙到来即刻金左衛門
罷出候処御証文ニ御老中様方御調印相済御用人を以御
渡被成候依之越中守様丹波守様伊豆守様和泉守様采女
正様御調印之御礼同人相勤ル
表書之金壱万両可被相渡候 所は本文ニ有之
候返納相済候ハゝ証文可被相返候 以上
采女 印 和泉 印
伊豆 印 丹波 印
越中 印
一同十九日御勘定所江金左衛門罷出昨日御調印相済御渡
相成候段御届申達先之証文ニ有之候御定印御消印之儀
申述候且殿様御印鑑壱枚持参相納申候
一同二十日御拝借御証文相渡候付今日神谷七右衛門守護
ニ而大坂御蔵屋敷江出立申候
右七右衛門三田大御殿勤番交代帰之処被仰付候其外御
徒横目足軽抔御留詰より居残候者罷越候事
一九月十九日寺社御奉行松平右京亮様へ寺社役へ差出ス
杉原半切上包美濃
覚
一主殿頭領分肥前国島原当四月朔日変災之節城下ニ有之
候寺社之分山水高波抔ニ而押流シ右地所亡所ニ相成候
場所茂御座候右ニ付而は地所替之儀願出可申哉ニ奉存
候地所引替差遣候而も不苦儀ニ御座候哉此段各様迄御
問合申上候 以上
松平主殿家来
九月 川口長兵衛
十月十四日附札ニ而差越ス
書面地所替之儀容易ニ難成筋ニは候得共格別之変災ニ
而亡所ニ相成候場所古復不致候ハゝ無拠儀ニ付地所替
決而不相成筋と申ニも無之候併いまた願ニ出儀ニも無
之相聞候上は申出候節之趣意ニ寄り可申儀ニ付極メ候
而之御挨拶ニは難及候
子 十 月
一十一月五日御用番鳥居丹波守様江御留守居持参差出ス
私在所肥前国島原当春以来打続変災御座候処普賢山之
儀は今以湯煙出申候地震等者追々相鎮一体穏ニ相成申
候旨在所より申越候此段申上候 以上
十一月五日 御 名
右之御届書松平越中守様本多弾正大弼様へ壱通宛御留
守居持参御勝手江差出ス