[未校訂]十月廿六日七つ時大地震津波にて山浜通溺死廿五人外に
旅人二人、怪我十人、流失家屋九軒、潰家七十軒、半潰
百十一軒、土蔵七十九、流失人九人、雑小屋二百棟船二
百艘牛馬五と承り候
廿六日八つ半時大地震其上海辺大浪上り諸方大痛前代未
聞のこと
大山町、家三軒潰れ酒蔵塗落不知数鶴岡城下、格別の
痛なく方々塗落
広野新田村百六十間の処四十三間潰れ四人死す
街道筋所々一寸程づゝ口あき青砂吹出申候
河北村々多く痛有之
海辺大浪上り痛み場所
由良、油戸、今泉、加茂家三軒流れ死人四人金沢浜湯
の浜人死す小波渡浜茶屋三軒流水死五人大波渡五十
川、小岩川、鼠ケ関、大岩川何事も無之 早田浜大痛
水死九人 此辺船其外家痛候事数不知
庄内鶴岡、大山、槙曾根、南吉田、奥井新田、広野新田
等は半潰となり狩川は破損甚だしく西平田村四十軒の全
潰あり、加茂方面には地震後に津波打寄せ加茂、今泉、
金沢、宮沢、油戸、及び湯の浜の六村落に潰家破損家七
十軒、水死十五人流失家八軒、流失船九十二艘あり、三
瀬以南越後境迄の沿岸の震災は一層著しく小波渡、堅荒
沢、五十川、湯温海、大岩川、鼠ケ関、及び由良の七村
落に於て潰家破損家二百三十間、水死二十三人流失家百
五十軒、流失船二百十三艘あり
暮より疫病流行す
庄内領九月弥々不順気其上初雪二尺降り稲雪底となる