地震史料集テキストデータベース
[未校訂]（稲束家日記）
七月
二日 晴天 中村政介寄、申上刻大地震也、文政二己卯
六月十二日未五刻大地震以来之地震也、尤其節小兵衛
裏二階居候乾ノ方ハ無曇外ハ曇在之其夜初夜ゟ夜中迄
五度在之、夜中之地震ハ大体之地震夕方空屋（や）け在之、
大地震之跡は照続候様是迄承居候得共三日之朝一寸時
雨東風さワ〳〵と吹在之候得ハ雨ニも可相成哉と存候
如何、伊丹宮石鳥井倒折レ候趣、井筒屋喜介酒蔵崩候
趣当所ゟハ甚敷、京都大地震之粗在付録
五日 晴天 先月廿四日出江戸御状着添状いたし、才佐
へ差出候、并ニ当二日之地震ニ而京都大変之実説申上
候を尤附録ニ扣へ有之候、尤便き介箱ニ入遣候、酒会
所勘定
七日 晴天、東風、此比臥ニ蒲団不用、小堀様元〆中豊
彦地震見廻出状、横丘家禰津ゝり昼飯小昼米ニて四人
弐升遣候、朝き御帰
廿日 子刻ゟ雨巳下刻於丑寅小雷雨止雲立□卯中
刻中ノ大地震
十一月
今六日酉ノ半刻ニ当
七月二日ニ震候地震□□し、なかき地震有之、其地震
ニ続き風在、復吉郎子供仙吉裏二階ニ居
十二月
廿八日 晴天 酉刻地震
口上
当二日（七月）申刻大地震定而御地は御同様之儀と奉存候、御領
分始御家中御一統御無難ニ御座候哉奉窺候
一御聞も可在御座と奉存候得共只今実説承候ニ付申上候
一京都ハ二日之夜かけ〆三十度斗も地震在之、御所 御
城余程御破損、夫ゟ町家へ向家二階落入損も御座候趣
雷のことく音いたし夫ゟ家之内ニハ不居皆々通りへ逃
出候趣未聞ニ大変ニ御座候、久世之橋落其辺壱尺弐尺
或ハ三五寸程地われ底ヘハ深さ不知趣ニ御座候
一当所ハ無難ニ御座候、先卯年六月十二日未半刻之地震
ゟハ少ク御座候
一伊丹ハ宮ノ石鳥居笠木落候井筒屋喜介酒造蔵崩候趣ニ
御座候
七月五日 おかもと
大南様
能多様
一七月六日大南镹太郎殿ゟ返書京都之大変驚入候
一亀山御城破損潰家数多在之人死も五六人も在之趣
一十一月六日酉之下刻地震七日丑ノ刻〆両度大体中大地
震、但し京都ハ七月已来いと少々宛地震有之趣為□不
快事
（天保二年□）
一去寅七月二日大地震ゟ京都数度地震尚当春も折々京都
ハ地震之趣如何事哉