地震史料集テキストデータベース
[未校訂]五〇 享和三（二）年十一月地震による小木湊御普請記録
（表紙）「小木湊御普請記録」
地震度数記録并国中破損之評
享和二壬戌年十一月十五日朝五ツ時ノ一ツハ、四十一年
前九月十五ノ地震ト同シ。同日四ツ時九ツ時二ツハ小、
八ツ時ノ分ハ、タトヲルニモノナシ、小木町ハ格別、小
木町近郷近村神社・仏閣在家ノ破損、山崩、田畑并呑井
ノ水キレ、永代荒田地、村里町方ノイタミ第一小木町ノ
近村、二番金丸、三番新町・河原田、此外村々ノイタミ
カソヘカタク、雖然ト国中北側通り外海府・内海府・相
川辺ハ格別ノ大破無之、新町ヨリ沢崎ノ鼻、ソレヨリ前
浜・赤泊マデ拾間ヨリ或ハ六・七十間マテ灘通り震上ケ、
徳和村ヨリ下ノ浜辺ハ元ノ浜ヨリ満汐ニナル、誠ニ此度
ノ地震ハ古今未聞ノ大変、無常ヲ感スルノミ、ソレヨリ
一両年ノ間、地震度数ヲリ〳〵無止事トイエトモ、其内
ノ大ナルヲマゝニ記ス、十一月十七日暮六ツ時二ツ、同
月十八日夜一ツ、十二月一日夜、同二日朝四ツ時、同十
五日暮六ツ時、翌年亥正月二日、同三日ノ夜、同六日ノ
夜五ツ時、同十七日昼七ツ時、殊ニスクレタル大也、二
月八日四ツ時、同日八ツ時大、同十三日夜五ツ時、同十
八日夜、同十九日昼、同廿二日夜半、同廿五日昼、同廿
八日朝、三月二日昼、同日明六ツ時大、同廿三日昼、同
夜、四月十五日一ツ、同十六日一ツ、同十七日一ツ、同
廿一日一ツ、同暮六ツ二ツ、廿四日朝、同暮六ツ、五月
ヨリ七月迄ノ書記忘失ス、八月二日五ツ時大ニ震ス、九・
十ノ両月穏ナリシヲ、十一月七日四ツ時、同八日夜ノ九
ツ時、同九日ノ夜半、同十日朝五ツ時、同十四日数度地
震有之、昼九ツ時前後二ツハ殊ニスクレタ大ナレハ、人々
前年ノ大変ヲ感シ、驚入コト不斜サレハ、正当十五日ハ
世間ノ説コトコトク如薄氷踏臨深淵、人々恐怖無限、当
日ハ地震ノケハ少ニハアレ共、不及失変、ミナ人祝万歳
昇ス
享和三亥年十一月記之 釈千乗誌焉
亥十一月前年之地震思出卒賦之
去歳仲冬三五辰 天鳴地動似神瞋
女童叫喚皆悶絶 殖矣凶変不死人
小木町御検使之事
江戸広間役
関根甚三郎
御目付役
長嶋小右衛門
地方掛り
藤浪次郎兵衛
町同心
野沢隼人
一潰屋敷四拾四軒 一破損家弐拾軒
一焼失家弐百三軒 一死人拾九人
一夫食米高
一御拝借銭高三千貫文
是は五ケ年賦割済、小屋掛入用として御貸付、内六拾
貫文は問屋船宿之内、他国客ともへ助力に不出者共江
御貸付、残り之分ヲ町家持共へ一軒ニ付五貫文宛、外
ニ貸家持ヘハ借屋壱軒ニ付弐貫五百文ツゝ御貸付有之
一両御番所御普請掛リ
江戸広間役
関根甚三郎
御普請所定役
丸田藤左衛門
地方掛り
渡部次郎太夫
其外ハ御棟上ケ規式ニ委し
一安隆寺クリ震潰建替、光善寺、同断、神明同断、後同
断世尊院同断・震潰屋鋪替ニ而建替、阿弥陀院・正覚
寺焼失ニ而建替、焼失潰屋之町家ハ文化二丑年迄之間
ニ大方建ツ、此節町巾、山方ニ而弐尺、浜方ニ而三尺
引込候ニ付、両方ニ而五尺広し、此節堀切埋ル、城之
越御役家立町へ引取、御船蔵屋根并長屋建替、則畠山
土佐ハ長屋と屋敷替ニ成
一小木大変之節御在勤覚
御奉行
鈴木新吉殿
御組頭
南条助七郎殿
阿久沢弥平治殿
江戸広間役
関根甚三郎
平野仁左衛門
小木定番役
中沢理右衛門
永井半十郎
同御番所役
蔵田茂三兵衛
井上権兵衛
渡部甚助
小木町年寄
藤井与三右衛門
名主
俊吉
与頭
七兵衛
百姓代
六右衛門
一御普請掛リ之覚
阿久沢弥平治殿
御普請所定役
丸田藤左衛門
御目付役
井上儀右衛門
定勘定役
渡部次郎太夫
加藤孫左衛門
澗ノ内見分
辻吉兵衛
一枡形御普請掛り覚
広間役
関根甚三郎
町同心
三国周吉
御目付役
井上儀右衛門
地方掛り
仙田八三郎
御普請役
今井忠四郎
使役
竹村九十郎
町年寄
藤井与三右衛門
名主
俊吉
柳屋孫右衛門
備前屋平右衛門
定人足
忠次郎
熊助
一両㗴（澗カ）御普請掛り覚
広間役関根甚三郎
御目付役
井上儀右衛門
御普請所定役
下山左太夫
地方掛り頭取
水田与一兵衛
御勘定役
長井甚左衛門
御普請役
今井忠四郎
使役
竹村九十郎
町同心
藤沢弥作
三国周吉
下掛り
藤井与三右衛門
柳屋孫左衛門
備前屋平右衛門
大黒屋文右衛門
越前屋加左衛門
赤泊
仁右衛門
相川
定人足拾人
文化元亥年三月十六日より同九月七日迄皆出来
一赤泊取㗴御普請御入用高銭千六百七拾貫文余
広間役
関根甚三郎
御普請所定役
下山左太夫
地方掛り頭取
水田与一兵衛
下掛り
二階屋惣左衛門
菊屋六左衛門
定人足
織助
御目付役
井上儀右衛門
御勘定役
永井甚左衛門
伊之助
一沢崎取㗴御普請御入用高銭三百拾貫文余
広間役
関根甚三郎
御目付役
井上儀右衛門
地方掛り
仙田八三郎
町同心
藤沢弥作
下掛り
菊屋六左衛門
定人足
熊助
乍恐書付を以奉願上候
去戌十一月十五日大地震ニ而、当湊及変地、磯際より六
七拾間斗も干潟ニ相成、其上山崩等ニ而落石多く、是迄
諸廻船数百艘も㗴掛り仕候、内外両㗴共、干潟又は遠浅
ニ罷成、只今之通リニ御座候而ハ、諸廻船繫方悪敷、且、
北国筋江罷下リ候廻船ハ、何レも当湊ヲ目当ニ䑺下リ、
別而越後・羽州辺川湊行ハ、当湊ニ而様子并諸相場等を
茂承合候場所儀下（ママ）御座候得共、右体変地致し候而は、容
易ニ入船茂難相成、其上、上方登り之諸廻船ハ西南風強
ク相成、能登路取兼候節ハ、当湊ヲ心掛ケ䑺戻り候処、
両㗴共右体変地ニ而、千石以上之荷船、高波之砌難儀及
候趣、船方之者共も相歎申候、既ニ当春以来ハ、是迄入
津之廻船、累年と見合候而は格別減少仕、私共一同難儀
仕候、尤、番所之儀は外之場所と違、農業等仕候者も少
く、重ニ入津廻船を目当ニいたし、諸交易ニ而渡世仕罷
在候之処、入津之廻船年々劣候様相成候而ハ、自然と衰
微仕、往々居住をも難計奉存候間、何卒格別之御慈悲を
以、両㗴共御普請被成下候様、御憐愍之御掟奉仰候、依
之連印を以奉願上候 以上
享和三亥年四月 羽茂郡小木町
惣町中
百姓代
組頭
船宿
問屋
名主
町年寄
御奉行所
右願書ニ御番所ゟ御添簡申請、名主・問屋・町惣代両
人相川江罷出差上ル
一両御番所并御役家其外御普請場御掛リ、御広間役関根
甚三郎殿出役之上、両㗴御普請御入用積リ帳面仕立、
可差出旨被仰渡、則問屋・船宿・町方評儀之上、帳面
相添差上ル
一四月下旬両㗴御普請願ニ付、積リ帳面等重ニ手掛ケ候
問屋船宿之内、町年寄差添両三人可罷出御飛脚罷越、
則藤井与三右衛門・柳屋孫右衛門・備前屋平右衛門・
越前屋嘉左衛門、御役所へ罷出候処、上下御番所下枡
形之儀、仕越御普請被仰付候ニ付、近々御出役有之候
趣、右ニ付御入用諸品等、用意可致置旨被仰渡有之、
且、下御番所下ゟ外欠ノ方御締不宜候ニ付、是又枡形
堀割致候而は如何之旨、御尋有之候得共、左候而ハ永
井半十郎御役家年々欠崩可申旨申上候処、柵矢来可致
旨被仰渡、則間数積リ書付を以申上置
仕越御普請出来形ケ所覚
一枡形 弐拾間四方、深サ平均六尺五寸、但溜りとも
一艀通り 長弐拾間、巾五間、深サ平均五尺
一艀入口 長拾五間、巾拾間、水下三尺浚
左右砂除石積
右之方元積り五拾間
惣長五拾間半、内訳 築始より波打際迄弐十三軒、
夫ヨリ築留迄三十弐間半
巾築始壱間、波打際迄次第太ク、夫より築留迄平均
三間、高サ平均三尺
左ノ方元積三拾三間
惣長三拾弐間半、内訳 築始より波打際迄十九間半、
夫ヨリ築留迄三十弐間半
外ニ
右側石積築留より沖へ石積長七間 巾弐間高平均三尺
是は艀入口先左右砂払
一枡形 弐拾間四方、深平均六尺
一艀通 長弐十間、幅五間、深平均四尺六寸余
一艀入口 長拾五間、巾拾間、水下三尺、
艀入口外堀 長七間巾五尺
外ニ芥除石積
右拾四間、幅平均五尺、高平均弐尺五寸
左
長二十四間半
巾高同断
一下御番所下御役家角ヨリ沖方遠浅迄
柵矢来 長拾五間、棚木百三十本、扣柱共六尺五寸
胴貫弐通リ
柱扣弐枕組 但六尺末拾本送り三尺末五本送り
〆
此御入用高
差上申一札之事
当湊之儀、去戌十一月十五日地震之節変地仕、内外両
㗴海底地震上ケ候哉、至而遠浅相成、取分ケ内ノ㗴灘通
り大造之干潟出来、諸廻船艀往来難相成体ニ罷成、市中
一同家業ニ抱リ候儀ニ御座候間、船掛リ場所并干潟之内、
上下両御番所下弐十間四方、枡形艀通り入口海中堀割之
儀とも、当春中奉願候処、書面枡形并艀通し入口とも、
早速御普請被仰付、今般皆出来仕候処、願之分枡形砂留
臨時御掘下ケ、其上左右砂除石積之下、御番所下枡形尻
左右芥除石積等迄、御手厚御普請被成下、艀往返ハ勿論、
存之外近国小廻り船・地廻リ船等迄出入心易罷成、重畳
一同難有奉存候、然上ハ為冥加、此後一ケ年ニ一両度程
茂、汐活（ママ）之時分、船宿共ハ不及申、市中小前ニ至迄一同
申合、砂浚并石積場所等折々見廻り落石等御座候節ハ、
見当り次第早速取揚置、損所出来不仕様、小破分ハ手入
可仕候、依之御請一札差上申処如件
享和二亥年九月
小木町惣代
佐四郎
勝右衛門
佐兵衛
船宿三人
問屋廿人
名主
町年寄
関根甚三郎様
井上儀右衛門様
仙田八三郎様
今井忠四郎様
竹村九十郎様
一外ノ㗴下御番所下柵矢来際より字藻崎城山迦（辺カ）迄、灘通
り長弐百拾間穿割浚 但水際より沖へ深サ
外ニ
艀付一ケ所延長百四間土留拾ひ石垣
一右同断藻崎城山角より沈枠際迄、長六十九間波除石垣
御築立
一右同断沈枠重枠ニ而御築立、延長七十五間半、但、枠
之左右大石積立
一右同断沖ノ手沈枠迄、蛇籠・帯籠・襟籠御居渡、右何
レ茂枠数ハ絵図ニ委し
一右同断㗴沖〓グリ沈瀬御割取
一御座ノ澗、長三十一間風波除石垣積立
外ニ
桟橋付一ケ所、是は御奉行御乗船場也
土留拾ひ石垣延長八十間
元積り之外増御築立
一同所出先沈枠ニ而御埋立長十六間
但、重枠廿枚十弐間四方、外ニ内側ニ堅メ枠一ツ
出崎埋立有之
一同所灘通り長七拾間御穿割浚、但、御水下平均
一上御番所下枡形より下枡形迄、延長百弐十三間余、汐
抜御掘通し
外
汐抜掘通し左右所々延長四十八間半之間土留拾石垣
右同断右側延長弐百四十間砂留場は
一安隆寺立町并裏町両所溝浚下水請溜枡形蛇口御仕付
一上御番所下枡形入口砂除石垣長拾三間増石垣御築立
一人沖礒通り延長百間御穿割浚灘より沖江水下
外ニ
人沖礎迄波除石垣長四十間御築立
同断延長六拾間土留拾ひ（ママ）石垣
同断岸通り長四拾八間砂留端は
一二子嶋沈瀬御割取
右は当湊之儀、去戌十一月十五日地震ニ而変地仕、内外
両㗴海底震上ケ候哉、至而遠浅ニ相成、別而灘通り大造
ニ干潟出来、諸廻船㗴掛リハ勿論、艀往来差支、市中一
同渡世ニ抱リ候儀ニ付、御普請之儀去春中奉願候処、則
願之趣を以御普請被仰付、今般書面之通り皆出来仕、且、
内外両㗴共灘通り御浚、㗴内ニ有之候落石之分石残御繕
取、其外風波当リ強キ場所は沈枠御居渡、左右大石を以
御堅メ、㗴外沈瀬諸廻船出入之節、枠障リニ茂相成候分、
是亦御割取、上下両御番所下枡形内并艀通共、駈込砂之
分御取揚被下、何レモ無残所御手厚ニ御普請被成下候ニ
付、却而変年以前よりハ㗴所結構ニ罷成、追々入津廻船
茂相増、重畳難有奉存候、然上は此後問屋・船宿ハ不及
申、町中一同申合、日々御場所見廻リ、落石等茂有之候
ハゝ、早速取揚、別而海荒之節ハ一統駈付、防方手当仕
損所出来不致様仕、前文両枡形之内并艀通りとも、駈込
砂有之候節相用ひ候積り、此度御仕立被成候砂取道具、
其儘御番所御預ニ而御渡置被下候上ハ、不怠見廻り、少
も駈込候砂有之候得は、不嵩高内取揚可申候、依之御請
一札指上申処如件
文化元子年八月 小木町惣代 拾人
船宿三人
問屋拾人
名主
町年寄
御広間御役
関根甚三郎様
小木御番所御定番役
中沢理右衛門様
永井半四郎様
御普請所御定役
下山左太夫様
御目付御役
井上儀右衛門様
地方掛り御取次
水田与一兵衛様
御勘定御役
長井甚左衛門様
御普請御役
今井忠四郎様
小木御番所御役
蔵田友太夫様
井上権兵衛様
渡部甚助様
御使役
竹村九十郎様
差上申一札之事
当湊内外両㗴御普請被成下候ニ付、外ノ㗴〓クリ瀬之
儀、積石千石内之廻船は、往来指支茂無御座候得共、千
石以上積石之大船汐落之節は楫障りに相成候ニ付、右沈
瀬御割取御番所ニ而茂御見分有之、私共へ茂右場所為御
見被下候様、最早少茂楫障リニ相成候儀無御座候ニ付、
是迄建置候瀬印引取、其外内ノ㗴沖二子嶋脇沈瀬、去々
年変地以前迄は、大小御船并瀬上之処、往来差障リも無
之候処、変地以来ハ右沈瀬立あがり通船難相成ニ付、瀬
印之儀瀬先へ振出立替候処、右場所茂今般願之通、御割
砕被仰付、変地以前よリハ却而水下深く相成、御船は勿
論、甚（カ）荒繁之節致入津小廻船少茂往来不差支様相成、右
ニ付瀬印之儀御元建場所江引建直、一同安心仕、難有奉
存候、依之一札差上申処如件
文化元子年八月 船宿惣代弐人
問屋惣代四人
名主
町年寄
宛所番所御出役計り
文化元子年八月廿九日ゟ九月朔日迄大荒ニ而損所出来、
御繕ひ左之通り
一長三拾壱間幅拾間御座ノ㗴波除石積
長拾四間流中平均三間
南側沈枠取付際より出崎沈枠外根堅、石積共、打
廻シ一円打崩候ニ付、なたれ石垣ニ築立、北側沈
枠外同断ニ付、元形之通り取繕ひ
長四間巾三尺
重枠詰石上は、石共押流候ニ付同断
三組
右場所南側出崎共打崩候所元ゟ水下五郎太築、水上なた
れ石垣足石取直し、枠内共元形通り詰石、仕上は通同断
石置渡欑石飼堅メ
一長七拾五間半内平均六間余藻崎沈枠場
内
長四拾三間、流巾平均三間壱尺
南側出崎より上枠根堅石積一円打崩候ニ付、な
たれ石垣ニ築立
長六間、幅四尺
北側同断ニ付、元形之通り足石取繕ひ
長八間、巾平均壱間余
上枠内詰石打流候ニ付、元形ノ通詰石仕
長三間弐尺、巾壱間余
同枠上敷石打流候ニ付、足石いたし、元形之通
り足石取繕ひ
長拾間、巾平均八間
上枠より中瀬へ取付し処、上枠打崩候ニ付、右
石を以なたれ石垣ニ築立、波除石共置渡し
長拾間三尺、巾平均弐間余
南側沈瀬取付際石積打崩ニ付、元形之通り取繕
ひ
長所々より三間、巾五尺
北側同断
長弐拾間半、巾平均四間壱尺余
沖ノ瀬間沈枠打流候ニ付、如元形沈枠五ツ入居
堅メ
右南側石積元よりなぐれ、犬走り石垣之処、此度大石
巻取築直し、出鼻之処、上枠打崩候処ニ而、尺切大石積
重ね、中瀬迄なたれニ大石居渡し、高波之節、汐抜通候
様仕、惣体欑石飼堅根形とも築堅、北側如先足石取繕、
上枠内詰石足石詰、上通り亀甲石敷、足石置渡し、中の
瀬より沖之瀬間、沈枠五、但入詰石根堅石共元形之通り、
足石巻取埋堅メ
一大石九百六十九
一中石弐千九百七十四
一小石四万八千六百三十八
〆五万弐千五百八十一
右書面之通り取繕出来仕候以上
子十月
下掛り
藤井三右衛門
柳屋孫右衛門
備前屋平右衛門
㗴瀬屋松太郎
関根甚三郎様
井上儀右衛門様
水田与一兵衛様
右十一月十三日皆出来、同十五日御出立
享和三亥四月吉辰
小木御番所御棟上御規式
一辰ノ上刻揃
一御掛リ御広間役様始諸御役人御出席、前如左飾置
一御棟上棚龍注弓矢共神酒・洗米・昆布・鯣并掛銭打盤
ニ飾之
一誦文櫓㗴鈴飾之
一玉女檀・神体幣・御棟札・神酒供昆布鯣掛銭飾之
一御掛り諸役人御番所江御列座、御規式相始候段述之、
御広間役様請取之、御目付役席を立、御広間役ノ前に
着座、会釈有之、御規式相始候様棟梁江演説之、棟梁
席ヲ立、玉女檀江入誦文、本座ニ得と修清有之、柏手
打拝伏、玉女守護之者檀上より罷出、幣を棟梁ニ授之、
入檀、座具持棟梁之前江打盤座具差置、棟梁右ノ膝ヲ
立、誦文、夫より幣を振拝伏、誦文檀ニ而初ニ而壱人、
二ニ而三ニ而一同ニ唱へ、㗴鈴有之、四方固メ御棟ノ
棚共一同ニ三度槌打、右之如く三度務之、棟梁座ヲ立、
玉女檀へ幣を収め、御所納ノ式勤之、本座ニ帰る、土
器持出机上六ツ引渡し、棟梁机ノ前着座、銚子加へ持
出、棟梁神酒供ス、二度目より御広間役出席、御目付
役差図ニ而御普請所定役・棟梁・番匠召連罷出、拝領
物被仰付旨、御広間役申渡之、御台持出頂戴之、御普
請所定役・棟梁一所ニ罷出御礼
御規式役
拝領物申渡 関根甚三郎
蒔銭蒔饌 丸田藤左衛門
飾付并御規式始、御規式差引 井上儀右衛門
御規式出指出同相済 渡部次郎太夫
御台持出 蔵田友太夫
㗴鈴 井上権兵衛
御引渡 渡部甚助
玉女神 重留嘉右衛門
振幣仮棟梁 本間重吉
誦文初ニ而山尾勝守
二ニ而藤井与三右衛門
三ニ而柳屋孫右衛門
幣持 末竹平右衛門
御棟札持 笠木六郎右衛門
洗米持 中川儀兵衛
銚子持 笠木松太郎
加へ 木村忠五郎
座具持 海老名泰蔵
乍恐書付を以奉願上候
小木町上町より下町迄浜側住居之者共御願上候、去々
戌年十一月十五日地震ニ而、浜通り干潟ニ相成候場所、
汐抜御普請被仰付水上方銘々地先之処、屋鋪請ニ奉願候、
尤、元来海中之処、干潟ニ相成候場所不足地ニ御座候間、
御高入ニは何分仕得不申候、一体当所之儀ハ至而地狭其
上家込ニ而、屋敷之内宜地も無之差支ニ付、御願申上候
儀ニ御座候間、何卒格別之御儀を以、見取屋敷請ニ被成
下候様奉願上候、御年貢銭之儀は、被仰付次第上納可仕
候、右願之通り被仰付被下候ハゝ、難有可奉存候以上
文化元子年三月
小木浜方惣代
仁兵衛
初右衛門
清六
宇左衛門
文左衛門
与十郎
文四郎
与三五郎
百姓代
仁兵衛
組頭
喜兵衛
名主
俊吉
右願之通り被仰付、上御番所ゟ上江は、地先より凡廿間
計、上御番所より下ヘハ、地先ゟ凡拾間計、右之余分田
町より下御番所迄は、空地ハ惣町中仲間地ト相成
浜方分米高
惣町中仲間地分米高
尾関浜変地之事
一田町浜より小せきか日立岩迄立長
一山岸より灘迄干潟場所
右場所変地以前ハ不残海中ニ而有之候処、新田見取場
まて願相叶、則開発ス、願書略之ス
右新地新田開発仕候而茂、古田・古畑ハ勿論、町方何
ニ而茂差障リ有之故、用水之儀ハ田町泉財川右川々よ
り江道を作り開発仕度、御上納物之儀ハ、鍬下三ケ年
被下候ハゝ、其上ニ而御棹入申請度旨則相叶
享和三亥年
上町 七兵衛
田町 六兵衛
同 六右衛門
此反別
其後又、世尊院相願、おせき押詰、白立岩之岸穴地有
之所、則新田願相叶、開発ス
此反別
小木町変地御普請図
一尾関より下后明神下迄山岸之朱引迄元海中之処、変地
図之なきさ迄凡六十七間計干潟ト成
一城山押廻し弐拾間三拾間或ハ拾間計干潟ト成外ノ㗴よ
り小比叡川尻迄同断
一三嶋二子あるひハ船嶋何レ茂六七尺計震上ル
一元尾関より人沖迄、灘通り歩行からさる所、変地後は
如図式三拾間も干潟ト成ル
一御普請場之儀は墨引を以図ニいたし置、委ハ別紙皆出
来帳ニ引当テみるへし
小木両㗴并町内絵図
御褒美之留
小比叡山蓮花峰寺クリ等茂破却ニ及候処、小木町変時
飢のもの百余人も押込候処、山野に萱・菰を以小屋を志
つらひ、十七日十八日迄粥等をあたへ勿論小木ヘハ粥等
を送り、尤、小比え・村山ハ前々より村継人足等御免之
処、百姓共へ申渡、何ニ而も変事中御用向無差支、外村
同様相勤候様ニ、住持恵教申渡候之段、寄特ニ付、御老
中牧野備前守様より御褒美之御書出、同寺所持ス、小木
町安隆寺・光善寺・西入庵・明王院変事之節、住家失候
者共押込罷居候ニ付、御奉行様より御褒美之御書出ル、
小野秀庵変事之節、病人江施薬調合ニ付、父玄恭同様御
出入医師格ニ成、町年寄藤井与三右衛門変事之節、御出
役旅宿へ昼夜詰切、諸事御用向御案内致し候ニ付、御褒
美之御書付出ル、金三百疋被下置
御普請御褒美留
御掛リ御役人様方江戸御褒美頂戴
金三歩外壱歩 藤井与三右衛門 鳥目 名王俊吉鳥目 柳屋孫右衛門 同 備前屋平右衛門
同 大黒屋文右衛門 同 越前屋嘉左衛門
赤泊
同 㗴閉屋松太郎 同 菊屋六左衛門
同 二階屋忠左衛門
赤泊
仁右衛門町年寄格ニナル
（佐渡郡小木町 中川ササ子所蔵）