[未校訂]同九月七日の夜五ツ半時虚空ニ雷の如くのひゞき有而地し
んゆり出しおびたゞしくゆり申候惣而石塔なとの高き石皆
ゆりたをし棚の上ニ置候物こと〳〵く落し人も打たをれ今
古まれなる大地しんなりゆりかえ〳〵〳〵夜中十度計りゆ
り申候しかし始程ニハつよくハ無之候得共諸人家をあけて
外へ出て戸棚なと敷て夜をあかし申候翌日より段々聞合候
所大ゆり之所ハ白石より蔵王山の内湯の原山の内也白石の
城ハやくらも屛も皆崩れ候故八日より町屋の戸ひらを集め
て仮のかこい被仰付候人死も御座候由なり蔵王山天狗の岩
屋と申十丈余の大石ハ此時ゆりぬけ谷そこへ崩れ落候高湯
の家ニも破損多く庄屋喜兵衛縁の下地形ゆりぬき家中つり
候様ニ成申候又山の内戸沢の財木岩も悉く崩れ谷合ニ落入
不動堂へ落かゝり不動の立玉ふ所少し残り外の分は皆打つ
ぶし申候此上より落候石と石当り合火出而火光山中を照ら
し其ニ而召雷電(カ)
とも可申此時より財木石の下往来不叶故西
の方山の上に新道廻りて仙台より切ひらき増駄賃被仰付候
前代未聞の大地震古今の大変事なり外の方ハ少し計りゆる
なり